「肩こりの原因」は別の意味で大きな問題となりましたが、最近の研究では骨、筋肉、神経、血管のどれか1つにでも問題があると、肩こりの原因となることがわかってきています。今回は骨、特に首の骨が原因となる肩こりの対策です。
首の骨が原因の肩こり対策
肩こりの原因は、骨、筋肉、神経、血管の異常です。どれか1つでも異常があると首の後ろから背中の上方や付け根の上がりに、不快感やコリ感、重苦しさなどを感じるようになります。
なぜ肩がこるのか、そのメカニズムは後述していますが、ここでは椎間板や椎間関節という首の骨の変性が原因で起こる肩こり対策についてお伝えします。
ただし、椎間板や椎間関節が変性していても、必ず肩こりが起こるわけではなく、一部の人のみに起こります。
検査で椎間板や椎間関節に変性があることが判明しても、その中でどの人に肩こりが起こるのかは、まだわかっていません。
首の骨が原因の肩こり対策は
首の骨に肩こりの主な原因がある場合の主な対策は
- 頚椎カラー
- 頚椎牽引
- ブロック注射
などがあります。
頚椎カラー
首の周りに装着し首の骨を固定して保護する装具です。むち打ち症などで使われる装具で、首にかかる負担を軽くすることができ、肩こりにも使えます。
頚椎牽引
専用の機械を使って首を上に牽引し頭の重みによる首への負担を軽減します。特に椎間板や椎間関節の編成により、首の骨と骨の間隔が狭くなっている場合に有効とされています。
ブロック注射
痛み止めなどの注射を異常のある椎間板や椎間関節に打ち、痛みを和らげる治療です。効果の持続時間は使用する薬の種類などにより異なり、ステロイド薬を使った場合は、1~2週間ほどの持続性があります。
日常生活の注意や工夫
普段から首に負担をかけないような注意、工夫が大切です。パソコンなどで仕事をしている時は、首が前かがみの状態になります。
首が前屈しているときには、正常のときに比べて、1.5~2倍もの大きな負担が椎間板にかかっていると言われています。前屈した姿勢を長時間取り続けると肩こりは悪化します。正しい姿勢に改善することが大切。
できれば20~30分程したら休憩をして、首を休ませるようにしましょう。首のストレッチをしても良いでしょう。
ストレートネック対策の枕
頚椎は本来前側にカーブ(生理的彎曲)して頭の重みを支えています。それが長時間のパソコンやスマホ操作などで姿勢の崩れや慢性的にかかる頭の重みにより、文字通り首の骨がまっすぐな状態になってしまうのがストレートネック。
肩こりや首の痛みの他にも、頭痛、めまい、耳鳴り、自律神経失調症、プチうつなどの原因にも。
ストレートネック用の枕も市販されていますが、NHKで今年のはじめに、ストレートネック対策のバスタオル枕を紹介していました。タオル枕を簡単に作れる作り方の動画がありましたので参考まで。
通常の枕のように頭をのせると言うより、「下から首を支える」ということを意識します。まっすぐになってしまった頚椎を、正常なアーチにもどすように首の骨がそるような形にしてストレートネックに対処します。
なぜ肩がこるのか
これまで肩こりが起こるメカニズムはよく分かっていませんでしたが、最近様々な研究により、少しずつ明らかになってきました。
一般的に肩こりの原因は、運動不足、悪い姿勢、ストレス、冷えなどが原因というイメージがあります。確かにこれらは肩こりが起きやすい条件ですが、肩こりが体のどの部分にどのような異常が起きて起こるのかを説明するものではありません。
X線検査やMRI(磁気共鳴画像)検査などの画像検査で、体のあちこちを詳しく調べても、肩こりにつながるような異常は捉えられないのです。
そのため、運動不足や悪い姿勢、冷え、ストレス等が肩こりにどのように関係しているのかははっきりしていませんでした。
肩こりのメカニズムで注目されているのは、骨、筋肉、神経、血管です。この内のどれか1つにでも問題があると、肩こりが引き起こされてしまうということがわかってきて、中でも骨の異常では、首の骨が原因となります。
首の骨の異常が原因の肩こり
一見首の骨と肩こりは関係ないように思われますが、最近の研究で首の椎間板や椎間関節が原因となり、肩こりが起きることがわかりました。
首の椎間板や椎間関節の変性自体はMRI検査などでわかります。例えば椎間板は水分をふくんでいるので
- 正常な場合 白っぽく映る
- 変性すると 水分が減少するため黒っぽく映る
椎間板が変性するとしなやかさが失われるので、首の骨にかかる負担が大きくなってしまいます。
加齢によっても変性するので中高年になると程度の差はありますが、殆どの人に椎間板や椎間関節の変性が起こっていると考えられます。変性があっても実際に肩こりが起こるのは一部の人のみです。
椎間板や椎間関節の変性
首の骨は頚椎とも呼ばれています。7つの骨が積み重なるようにして構成されており、一番受けの骨から順番に、第一頚椎、第2頚椎と言い、一番下が第7頚椎です。
- 椎間板 首の骨の前側、上の骨と下の骨の間に挟まれるような形にある
- 椎間関節 首の骨の後ろ側に左右に1つずつある
椎間板は首を前後に動かす際にクッションの役割を果たし、椎間関節は、上の骨と下の骨をつなぐとともに、首を左右に動かす上で欠かせない役割を果たしています。
頚椎と肩こりの痛みが現れる場所との関係
椎間板や椎間関節に痛み止めを注射すると肩こりが改善することから、首の椎間板や椎間関節の変性が肩こりの原因となることがわかりました。
首の骨(頚椎)は7つの骨で構成されていますが、どの部分の椎間板や椎間関節に異常があると、どこに肩こりの痛みが現れるかもわかってきました。
の痛みは異常が起きた場所により頭や首、肩、腕の左右両側に現れることも、左右どちらかだけに現れる場合もあります。
異常が起きた場所により痛みが現れる場所
第2頚椎と第3頚椎(C2/3)後頭部(頭痛と間違えやすい③)
第4頚椎と第5頚椎(C4/5)首から肩にかけて
第6頚椎と第7頚椎(C6/7 )肩から腕、背中にかけて広範囲
まとめ
肩こりの原因は骨、筋肉、神経、血管のいずれかの原因で起こります。今回は首の骨による肩こりが起こるメカニズム、肩こり対策についてお伝えしました。日常生活での注意点や工夫で肩こりを起こしにくくすることは可能です。
特にパソコンやスマホの使用が多い方は、休憩や姿勢を意識することが大切です。ストレートネックのある方はタオル枕を試してみてください。
次回は筋肉が原因で起こる肩こりのメカニズムと対策をお伝えする予定です。
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