肩こりの原因として、骨、筋肉、神経、血管があること、またそれぞれの原因による肩こりの対処についてお伝えしてきました。更にどの原因でも共通して行われる治療は薬物療法です。日常生活では休養と運動を心がけましょう。今回は薬物療法、運動を取り上げます。
肩こりを和らげるには原因を見極めて
肩こりの原因がどこにあっても共通して行われる治療は薬物療法です。その上で、原因にあった治療を行うことで肩こりを和らげていきます。
原因にあった治療を行い、また日常でも肩周りに負担がかからないような生活を意識して心がけるようにすることが大切です。
まず、薬物療法から見ていきましょう。次の3つの方法があります。
肩こりの薬物療法
- 飲み薬
- 外用薬
- 注射
飲み薬による治療
肩こりの治療で用いられる飲み薬には以下の様なものがあり、単独で使用することも併用して使用することもあります。服用しながら肩こりが改善されているかどうかを確認しながら、使用量などを調整します。
飲み薬の種類
薬の種類 | 主な働き |
---|---|
消炎鎮痛薬 | 炎症による痛みを和らげる |
筋弛緩薬 | 筋肉の緊張を緩め手血流を改善、こりを和らげる |
ビタミン剤 | 筋肉の疲労回復や神経の機能の回復 |
漢方薬 | 痛みを和らげる |
ビタミンB1やB6: 筋肉の疲労を回復させる効果
ビタミンB12: 神経に直接作用し、神経機能の回復を促す
ビタミンE: 血流を改善
漢方薬: 血流を改善したり炎症を抑えるなど、痛みの軽減につながる効果がある漢方薬を用います。肩こりに良く利用される漢方薬は
- 葛根湯
- 大柴胡湯(だいさいことう)
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
などです。
これらの飲み薬は効果と副作用を見ながら薬の変更、追加などをしていきます。
外用薬による治療
肩こり治療の外用薬は炎症を和らげるために消炎鎮痛薬を配合したもので、
- 湿布
- ローション
- ゲル
- スプレー
など様々な種類があります。それぞれの長所と短所を知り、自分の体質や生活に会うものを選んで使いましょう。
外用薬の種類と特徴
種類 |
メリット | デメリット |
---|---|---|
湿布 | 手軽で効果が長続きする | 皮膚のかぶれ 日差しの当たる場所に長時間いると、湿布を貼った場所以外の皮膚が赤く腫れたり、湿疹が出ることがある |
ローション ゲル スプレー |
湿疹などは殆ど出ない 素早く効果が感じられる |
持続性がやや劣る |
注射による治療
注射による肩こり治療には、
- こりや痛みを感じる場所の周りの筋肉への注射
- 肩こりを起こしていると考えられる神経への注射
があります。
筋肉への注射: 押して痛みのある部位の筋肉周りに局所麻酔薬やステロイド薬を注射(トリガーポイント注射)
神経への注射: 神経ブロック注射と呼ばれている。肩こりの原因となっている3本の神経(肩甲背神経、肩甲上神経、副神経)に行う。K点(肩甲背神経と副神経が交差するあたり)に局所麻酔薬を注射。
*ブロック注射については前回の神経や血管の異常で起こる肩こり対策を併せてお読みください。
日常生活で心がけたい肩こり対策
肩こりを和らげる、予防するには日常生活での注意も大切。休養と運動を心がけましょう。筋肉疲労の蓄積が肩こりの原因で、お伝えしたように腕をぶら下げている肩関節(懸垂関節)や周りの筋肉には、片腕約3~4kg、両腕では約7~8kgもの負担がかかっています。
これが肩こりの原因となっていることが多いので、腕をぶら下げる状態から解放してあげましょう。横になるのも良いですが、仕事中などは、時々腕を肘掛けに置くなどして、こまめに肩への負担を軽減させる工夫をしてみてください。
- 肩に掛かる負担を取り除く工夫をして休養させる
- 首や肩周りだけでなく体全体を大きく動かしてストレッチや運動をする
などで肩の筋肉の緊張を和らげます。
肩関節周りの筋肉を休ませるストレッチ
運動療法は、肩こりの原因が筋肉、血管、神経に異常がある場合に効果を感じやすい治療です。
体を大きく動かす全身運動は、いつでも手軽にというわけにはいきませんが、仕事中や日常生活でも手軽に行える肩周り(僧帽筋、肩甲骨)のストレッチをご紹介します。肩こりの解消にはこまめに動かすことが大事です。
僧帽筋を緩めるストレッチ
腕を支えている主な筋肉である僧帽筋を中心に、肩周りの筋肉の緊張を和らげます。
- 背筋を伸ばし、脚を広げて椅子に座る
- 肘は伸ばし腕がまっすぐになるように太ももに手をつく(付きやすい場所でOK)
- そのままの姿勢で肩をすくめるような感じで耳と肩を近づけ、体幹を前下方へ倒す
- そのまま数秒間保ち、体幹をもとに戻す
これを10回繰り返し、1セットとする。一日に2~3セット行う
肩甲骨のストレッチ
僧帽筋以外の肩甲骨の周囲を囲む広背筋や菱形筋、更に首の骨の周囲にある筋肉の緊張を和らげます。
- 椅子に座り頭の上に両腕を高くあげる
- 耳と肩を近づけ、ストレッチする方の腕をもう片方の手でつかむ
- そのまま掴んでいる方の腕を軽く引っ張りながら、からだを真横に倒す
- ゆっくりもとに戻し、反対側も同じように行う
10回を1セットとして2~3回行う
それぞれのストレッチは仕事に合間などに1セットずつ、分けて行っても構いません。
デスクワークなどで座りっぱなしで肩が凝った時など、肩甲骨を縮める、伸ばすのに私も意識して行っているストレッチをご紹介します。座ったままでもたった姿勢でも行えます。
肩甲骨を縮める
- 両腕を体の横に垂らす(手のひらを体にそわせるように)
- 肩の位置を動かさず肩甲骨を背中の真ん中に寄せるようにする
- 体側に添わせた手のひらを、親指で円を描くようにひっくり返す肩甲骨を寄せられる
- その姿勢をしばらくキープ
*なれてくると左右の肩甲骨で鉛筆などを挟めるようになります
肩甲骨をゆるめる
- お腹に大きなボールを抱えているように両手を体の前で組む
- 組んだ両手を前に、背中を丸めて後ろに引っ張り合う
- そのままの姿勢をしばらくキープ
*立って行う時は体を丸めるときにスクワットの要領で、お尻を後ろに落としながら行います。この時ひざがつま先より前に出ないように注意してください。
回数はあまり気にしなくても大丈夫です。仕事の合間にちょこっと行って肩の負担をこまめにリセットしましょう。バンザイをする伸びのポーズも気持ち良いですよ。
休養と運動が大切
肩関節はその構造上どうしても肩こりが起きやすいです。そのことを理解した上で、痛みがひどくなる前にストレッチや休養といったセルフケアを、しっかり行うことが大切です。
毎日意識して続けることで肩こりが和らぎ、また予防にもつながります。
運動は毎日継続して行うことが大切です。今まであまり運動をしていない人でも、ストレッチを続けるうちに筋肉がほぐれ、体を動かしやすくなってきます。
まとめ~肩こりは原因を明らかにして適切な治療を
原因がわからないまま肩こりの治療やセルフケアを続けても、良い結果は望めません。肩こりの原因となるのは、骨、筋肉、血管、神経です。そのどこに原因があるのか、受診して医師に相談してみましょう。
検査をしても原因が特定できないことも少なくありませんが、見極めが付く場合はより適切な治療やケアを行うことが可能です。
また、肩の負担を軽くするような日常生活での工夫、運動やストレッチを行うことも肩こり対策には重要です。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ
予告:ダイエットと肩こり
血流が原因の肩こりにいいかも!と思える商品レビューが来ました。実はダイエット用の商品なのですが、その特徴を見ると血流の改善、肩こりにも…とあるではないですか。
肩こりの痛みを軽減したり予防にもつながる運動は、健康にもダイエットにも基本となるもの。体幹を鍛えると、基礎代謝があがりよりカロリーを消費するようになるので痩せやすいと言われていますが、それだけでなく姿勢がよくなり、肩こりの痛みの緩和にも。
ということで肩こりつながりで、着るだけで体幹を刺激し適当な圧力を加えるという、加圧インナー女性用、エクスレンダーも近々ご紹介しようと思います。これです。
「世界一簡単なインナーマッスルの鍛え方」、丹田発声方法などとあわせてまとめる予定です。(2017年8月10日投稿しました。)
今流行の加圧インナー、女性用が発売されたのでどうですか、と言われまして、ダイエット記事の新たな役者登場です。男性用の加圧シャツがあるのは知っていました。女性用はないのかなあ、と思っていたところでしたので、加圧ブラトップ、エクスレンダーを紹介されたのはまさにグッドタイミング!
着るだけで加圧トレーニングと同じような…と言うのは正直期待していませんが、藁にもすがる気持ちは良く分かる。あわよくば着るだけでスレンダーボディを目指せるかも、なんてね。
葛の花由来イソフラボンサプリ、トライアルも終盤になりそろそろ結果報告の時期、なのですが…
ということで新たな方法に喜び勇んでお受けしました。現物は人気がありすぎて入荷待ちとのこと。いつ届くのか今のところ不明ですが、体を張った感想をご期待下さい!