体内のカルシウムが不足した状態が続くと、骨粗鬆症になりやすく、全身に影響が及びます。ロコモや寝たきりを防ぎ、元気に長生きするために、骨を強くする、カルシウムをうまく摂取する食べ方をご紹介します。
カルシウム不足を改善し元気に長生き
加齢に伴い、骨密度は低下します。更にカルシウム不足が続くと骨粗鬆症になりやすい。
特に高齢者では骨粗鬆症による圧迫骨折、ロコモなどが原因で生活に支障がでたり、寝たきりになるリスクも高まります。
骨を強くすることは、これらのリスクを低くすることにもつながるので、骨の成分であるカルシウム不足を改善することが重要です。
もちろん骨を強くするためには、食事だけでなく、運動や生活習慣の改善なども合わせて行うことが必要ですが、今回は、食事について取り上げています。
骨を強くする食べ方
骨を強くするカルシウムを上手に摂るための基本は、バランスの良い食事と、様々な栄養素を一緒に摂ることです。
カルシウムが多い食品、というと牛乳、しらす、ひじき、わかめ、大豆製品、などが上げられますが、ビタミンD (さけ、きくらげ、じゃこなど)や、ビタミンK(納豆、モロヘイヤ、わかめ、せりなど)、マグネシウム、ビタミンCなどの摂取も重要です。
それぞれの特徴
乳製品
カルシウムがとても豊富で、更に他の食品のカルシウムより吸収率が高いのが特徴です。
大豆製品
カルシウムが豊富で、吸収率も乳製品についで高く、豆腐は毎日利用しやすい食材です。
海藻・乾物
カルシウム、ミネラル、ビタミン、食物繊維を豊富に含むヘルシーな食品です。カルシウムの吸収率は乳製品や大豆製品には及びませんが、量を摂ることができるので、貴重なカルシウム源となります。
ビタミンD
腸でのカルシウムの吸収を促進する働きと、血液中のカルシウムを骨まで運ぶ働きをする
マグネシウム
カルシウム量を調整する(不足するとカルシウムを生かせない)
ビタミンK
カルシウムを骨に沈着させるのに役立つ
ビタミンC
骨の構造に不可欠なコラーゲンを作るのに必要で、骨の生成を助ける
※リンを摂りすぎると、カルシウムの吸収が妨げられるので、カップ麺などの加工食品や、スナック菓子の食べ過ぎに注意
しじみとさば缶
オルニチンで人気の高いしじみは、ミネラルを豊富に含む優秀な食材ですが、実は貝の中ではトップクラスのカルシウム量を誇ります。
しじみの身100gの中に、130mg含まれていて、これは焼いたイワシ1匹とほぼ同量です。
また、さばバーガーで話題となっているさばも、さば缶を使うことで、骨まで食べられ、ナマのさばを食べるよりも簡単に、効率よくカルシウムを摂ることができます。
汁にも栄養素が溶け出していますので、汁も一緒に使いましょう。
メニュー例
- しじみチャウダー(1人分のカルシウム量200mg、エネルギー222kcal)
- さば缶の豆カレー(1人分のカルシウム量339mg、エネルギー507kcal)
骨粗鬆症の原因カルシウム不足
高齢期を健康で元気に過ごすには、丈夫な骨や歯は欠かせない条件です。しかし、日本人は骨や歯の主成分であるカルシウムが不足している人が多いと言われています。
体内のカルシウムの99%は骨と歯に存在し、残りの1%は血液や筋肉にあります。
血液中のカルシウムは、神経の情報伝達を助けたり、筋肉を動かすなどの重要な働きをになっているので、血液や筋肉のカルシウムが不足すると、その1%を死守するために骨からカルシウムが溶け出し、不足分を補おうとします。
この状態が続くと、骨に蓄えられているカルシウムが減り、骨がスカスカになる骨粗鬆症につながってしまうのです。
カルシウム貯金
骨に含まれるカルシウムの量を骨量と言います。骨量のピークは20歳頃で、その後徐々に減少していきます。
若い頃にしっかり骨量をふやしておく、つまりカルシウムを貯金しておくと、加齢や閉経でカルシウムが放出されても、十分な骨量があるので、骨粗鬆症を防ぐことにつながります。
年を重ね、立ち上がるときに腰や背中が痛い、背中や腰が曲がった気がする、などの症状があったら、カルシウム貯金が不足していたのかもしれません。
特に女性は閉経後に骨量が急激に減少します。骨密度が低下し、骨粗鬆症になりやすいので、より積極的にカルシウムを摂る習慣が大事です。
カルシウム不足を補うサプリメントやOTC医薬品
カルシウム摂取量の平均値の年次推移(20歳以上)(平成7~27年)
出典: 厚生労働省 平成27年 国民健康・栄養調査結果の概要 PDF p42
成人女性では、カルシウムの1日の推奨量は650ml(牛乳ならコップ3~3.5杯分)とされていますが、厚生労働省によると、日本人全般、特に女性のカルシウム摂取量は、推奨量より下回っています。
カルシウムはどの食品にも含まれているわけではありません。また腸管から吸収されにくい成分です。たくさん摂っているつもりでも不足しがちです。普段から意識してカルシウムを摂ることが大切です。
また、カルシウムの吸収を高めるビタミンDや、カルシウム量を調整するマグネシウムの摂取も重要です。
食事で管理することが難しい場合は、これらが配合されているカルシウム剤を摂るのも便利です。
サプリメントも色々と出ていますが、あくまでも食品です。最近は服用する錠数も少なく、効能・効果のあるOTC医薬品もあるので、薬剤師などに相談して利用しても良いでしょう。
骨の生まれ変わり
意外と知られていないのですが、実は骨は新陳代謝を繰り返し、約3年周期で生まれ変わる、生きている組織です。
カルシウムとコラーゲンをもとに、骨を作る「骨芽細胞」と骨を壊す「破骨細胞」がバランス良く働くことで、健康な骨が作られます。
骨の生まれ変わりの仕組み
- 破骨細胞がピッタリと骨にくっつき、酸や酵素を出して骨を溶かす
- 骨芽細胞がコラーゲンを作り出し、「のり」の役割をするタンパク質を骨に塗る
- 血液中から運ばれてきたカルシウムが、「のり」に付着して新しい骨ができる
40代以降になると、男女を問わず骨量は減少し、骨を作る力も壊す力も弱ってきます。破骨細胞は、ホルモンなどのバランスが崩れると、必要以上のカルシウムを溶かし出してしまいます。そのため、閉経以降の女性に骨粗鬆症が多いのです。
ロコモとは
ロコモは筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態をいいます。 進行すると日常生活にも支障が生じてきます。
出典:ロコモチャレンジ(日本整形外科学会・博報堂)
骨粗鬆症、ロコモについてはこちらのエントリーもどうそ。
まとめ~若い頃からカルシウム貯金を!
骨粗鬆症が気になり始めてから慌てて、カルシウム不足を改善しようとするよりも、若い頃からのバランスのよい食事などで、カルシウム貯金をしておくことが大切です。
とは言え、時間を戻すことはできませんので、気づいたときからカルシウムを多く含むものを食べたり、カルシウム剤やサプリメントなどを飲んだり、骨を強くする骨ケアを初めましょう。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ