健康と日々の徒然~Anのひとりごと

心と体の健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

喉に詰まる餅から高齢者の窒息事故を防ぐ~備えあれば憂い無し

年末年始は高齢者のお餅が喉につまる窒息事故が、圧倒的に多く発生する時期です。もしものときに、予め知っておくことで慌てず対処できるよう、食べ物が喉に詰まる、誤嚥が起きたときの対処法についてお伝えします。

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高齢者のお餅による窒息事故、誤嚥の対処法

12月ですね、師走。1か月気が早いのですが、今日は高齢者とお餅のお話。

毎年今頃になると広報などでお知らせがくる「年末年始のお餅の事故」そう、お餅を喉につまらせる高齢者が続出し、救急車の出動がものすごく増えるのです。

喉に詰まりやすい食べ物は、お餅以外にも色々あるのですが、特にお餅が詰まりやすい。

特に高齢者は、物を噛んだり飲み込んだりする力が弱くなっているので、食べ物が気管に入りやすく、家族や周りの人が十分注意することが大切です。

お餅が喉に詰まりやすい理由、喉に詰まった時や、誤嚥の対処法を予め知っておき、緊急事態が発生したときに慌てず対処できるようにしておきましょう。

 

お餅が喉に詰まったときの対処法

お餅などの異物が喉につまったときは、家族など身近の人が救急車を待つ間に、異物を出させる努力をすることが重要です。

食べ物が喉に詰まると呼吸が苦しくなり、殆どの人がチョークサイン(窒息のサイン)を出します。

このサインに気づくことがまず重要です。ただし、高齢者では急にうなだれることもあるので、注意が必要です。

 

チョークサイン(窒息のサイン)

異物が気管に詰まって呼吸が苦しくなると、殆どの人が喉を両手でかきむしるような動作をします。これがチョークサイン(窒息のサイン)で、世界共通のサインです。

このサインがあったら、何かを喉につまらせたと判断します。

高齢者が食事中に急に「うなだれる」ことがあります。この場合、脳卒中などが起こっているケースもありますが、まず、食べ物による窒息を疑ってみる必要があります。

高齢者の場合、「反射が鈍い」「症状が現れにくい」などからチョークサインは出さず、急にうなだれてしまうこともあるのです。

周囲の人が気付かず、対処が遅れることもあるので、特に年末年始で、お餅を食べることが多くなる時期は、注意が必要です。

 

対処法

異物が喉に詰まったときは以下のような方法で対処します。

  1. 救急車を呼ぶ
  2. 咳を促す
  3. 異物を取り出す
  4. 背部叩打法(はいぶこうだほう)
  5. 腹部突き上げ法(ハイムリック法)
  6. 心臓蘇生

詳細な手順などは、後述しています。

 

お餅が喉に詰まりやすい理由

窒息は食べたものが喉に詰まり、気管の入り口を塞ぐことで起こります。お餅は柔らかくて粘り気があるため、気管の奥の方まで入り込んでしまうことがあります。

いったん詰まると、取り除きにくいので、重篤な症状に陥りやすく、大変危険です。

特に高齢者は、物を噛んだり、飲み込んだりする力が弱くなっているので、食べ物が気管に入りやすくなります。

年末年始は、お餅を食べる機会がぐんと増えるので、高齢者のお餅による窒息事故が飛び抜けて多くなっています。

 

お餅などで救急搬送9割が高齢者

一般に、呼吸が停止すると約15分でほぼ100%が死亡に至るとされており、救急車が到着するまでに、周囲の人の素早い対処が延命につながります。

以下は東京消防庁が発表した過去5年間のデータです。

 

図2 東京都における餅などに起因した窒息事故による救急搬送人員 年齢階層別

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窒息事故による救急搬送は、12月から増え始め、1月が突出しています。しかも救急搬送された人のなんと約9割が65歳以上の高齢者。

 

図3 月別の救急搬送人員

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入院が必要な中等症以上が約7割、初診時に死亡が確認されたケースが1割弱もあります。

 

図4初診時程度別割合

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出典:東京消防庁 広報2016年12月号 餅などによる窒息事故に注意 

図2~4(p5~p7)、応急手当の方法(p8)

 

食べ物が喉に詰まったときの応急手当の方法

チョークサインを出している、声が出せない、顔色が急に真っ青になった、高齢者が急にうなだれた、等の場合、食べ物が喉に詰まって気道閉塞を起こしている可能性があります。

救助者が一人だけの場合は、まず異物の除去を試みてから119番通報を。

人手がある場合は、救急車の手配と可能であればAEDの搬送も頼みましょう。異物の取り出しをすぐに初めます。救急車が到着するまで異物を取り出す努力をします。

ぐったりして反応がない、息をしていない場合は、直ちに心肺蘇生を初めます。AEDが近くにあることがわかっている場合は、まず取りに行ってから初めます。

 

咳をさせる

呼びかけて反応がある場合、患者さんは咳き込んで異物を出そうとするので、強く咳を促すように声をかけ、咳き込むことで吐き出させるようにします。

気管にものが詰まっている場合は、水は飲ませてはいけません。更に危険な状態になります。

 

異物を取り出す

口を明けてみて、目の前に異物があり簡単に取り出せる場合は、指で取り出します。

ただし、口の奥の喉元に異物が見えても、逆に押し込んでしまう恐れがあるので、無理に取ろうとしてはいけません。

また、歯で指を傷つけてしまう恐れがあるので、ガーゼやハンカチなど、清潔な布を手に巻いてから行いましょう。

箸でつついたり、掃除機で吸い出すのは危険です。絶対に行わないでください。感染防止にも注意が必要です。

 

背部叩打法(はいぶこうだほう)

  • 患者さんの背中を手で強く叩いて、異物を吐き出させるようにします。
  • 衣服をゆるめ、あごを手で抑える
  • 前傾させ、肩甲骨と肩甲骨の間を、手のひらの根元の方で強く叩く
  • 1秒間に1回程度
  • 咳をしたような状態にして吐き出させる
  • 異物が出るまで叩く。救急車が車で諦めずに叩く

意識の有無、年齢、性別に関わらず、誰にでも行えます。

※乳児の場合

  • 自分の片腕にうつ伏せにして乗せ、手のひらで乳児の頭を支える
  • 頭を身体より低くしてもう一方の手の付け根の硬い部分で叩く
  • 異物が取れるか反応がなくなるまで強く叩く

 

腹部突き上げ法(ハイムリック法)

この方法は、妊婦さんと乳児には行ってはいけません。内蔵を痛める恐れがあり、異物がでても必ず診察を受けることが大切です。

腹部突き上げ法を行った場合は、救急隊に必ずそのことを告げましょう。

  • 患者さんを後ろから抱え、患者さんのへその少し上辺りに利き手と反対側の手でグー、利き手をパーにしてグーを包むようにおく
  • 患者さんの腹部を素早く手前上方(自分側)に引き付けるようにグッと押し上げる
  • 胸の圧力を高めて、異物を気道から押し出すようにする

 

心肺蘇生

患者さんが動かなくなり、呼吸が止まった場合は、心肺蘇生を直ちに開始します。

心肺蘇生の手順は日本医師会のホームページ、または東京消防庁のホームページを御覧ください。

日本医師会 救急蘇生法(こちらのページでは心肺蘇生法、気道異物除去、子供の一次救命処置、それぞれの手順が解説されています)

◆東京消防庁 心肺蘇生法(既出)

 

誤嚥性肺炎

家庭で喉の詰まりを取り除くことができた場合も、異物が気管の中に残っている場合があります。腹部突き上げ法を行った場合だけでなく、必ず医療機関を受診し、診察を受けてください。

気管に残った食べ物を放置すると、細菌が繁殖して炎症を起こし、その最近が肺に入って誤嚥性肺炎を起こすリスクがあります。

症状はすぐには現れません。4~5日後に咳き込む、発熱、呼吸が早いなどの症状が起こります。

食べ物が喉に詰まる状態を起こした後数日間は、周囲の人が気をつけて観察することも重要です。

 

まとめ~持ちが喉に詰まったときの対処を知っておこう

備えあれば憂い無し。年末年始はお餅を喉に詰まらせる高齢者の窒息事故が毎年多発します。窒息は呼吸が止まって15分でほぼ100%死に至ります。

もしもの時の対処法を予め知っておくことで、救急車の到着までの間に適切な対処をする子も可能となります。

ぜひこの機会に、チョークサイン(窒息サイン)、気道異物除去、心肺蘇生についての理解を深めておいてください。

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