高血圧の治療は、生活習慣を修正(非薬物療法)ことから初め、一定の期間続けても降圧目標に達しない場合、薬物療法(降圧薬治療)も併用します。飲み忘れに気づいた時や漢方も一緒に飲んでいいのか、などちょっと聞きたいことを9例。治療に用いる薬のことも知っておきましょう。
教えて!高血圧の薬の飲み方Q&A
良く、血圧の薬はいったん飲んだら、生涯飲み続けなければいけない、と言われますが、止められる人もいるんですよ。
また長い間飲み続けると、いつの間にか自分勝手な判断をしてしまう人もいます。降圧薬の飲み方についてのQ&Aを9つまとめました。
薬の飲み方は、医師の指示に従うことが必要ですが、聞き忘れるようなこともありますね。そんな時の参考にしてください。もちろん、医師に相談することも忘れずに!
薬の種類や働きは次回で。以下はあくまでも目安です。
血圧が高いだけで、ほかに異常がない場合も薬は飲むのですか
高血圧は血圧を下げることが様々な合併症の予防に有効です。生活習慣の修正で適性血圧未満に下がるなら、薬は必要ありません。
生活習慣の修正だけでは下がらないなら、薬は飲んだほうが良いです。
高血圧の治療は血圧を下げることが最終目標ではなく、高血圧が要因となる合併症を防ぐこと。これからも異常が起きないように、血圧をコントロールすることが重要です。
降圧薬を飲むのは血圧が高い時だけにしても良い?
降圧薬は、「血圧が高い時に飲む」薬ではありません。
血圧は誰でも常に変動しています。測った時に低かったとしても、いつも低いとは限りません。そのため、何度も血圧を測定して判断します。
平均して高過ぎるのであれば、薬を続けて飲む必要があります。
高血圧の薬は、一度飲んだら一生飲み続けなければいけないのですか?
薬を飲んで血圧が下がっても、飲むのを辞めればまた血圧は上がってきます。降圧薬は高血圧そのものを治すわけでなく、血圧をコントロールする薬です。
多くの人は一生飲み続けることになりますが、生活習慣の修正で、薬を減らしたり止められる場合もあります。
飲み忘れた時、食事を抜いた時は?
食後、と支持された薬は食後に飲むのが良いのですが、降圧薬の場合、飲み忘れに気づいたら時間がずれても飲むのが原則。
一度に2回分を飲んではいけませんが、毎日かかさずに飲むことが優先です。
冬と夏では血圧が違うと聞きますが、降圧薬は同じように飲んで良い?
一般に寒い時には血圧は高くなり、暑い時には低くなります。それに応じて薬の量も増減します。
冬と夏の血圧の差はひとによって違うので、血圧をチェックしながら薬の量を調整します。
血圧は下がったが、意欲や活力も低下したような気が…
交感神経の働きを抑制するβ遮断薬などを飲んでいると、このような症状が出ることもあります。医師に相談して、薬を変えてみると良いでしょう。
他の薬でも同じ症状が出る場合は薬の量を減らし、徐々に慣らすという方法もあります。
同じ薬を飲み続けていると効かなくなることはないのですか?
降圧薬の場合は、長く飲んだために効かなくなるという例はあまりありません。
しかし、患者さんの身体の状態がかわり、血圧が上がる要因が生じて薬の効果が足りなくなる場合はあります。
よくあるのは肥満です。生活習慣が悪化しないように気を付ける必要があります。
降圧薬と、漢方や市販薬を一緒に飲んでも大丈夫?
降圧薬は一般に飲み合わせの問題は少ないです。
しかし、内服の非ステロイド消炎鎮痛薬は、利尿薬やACE阻害薬、β遮断薬などと併用すると、降圧薬の効果が弱まることがあります。
市販の消炎鎮痛薬でも影響が出る可能性はあります。
漢方薬の多くに含まれる甘草には、血圧を挙げる作用があるので、降圧薬の効果が弱まる可能性があります。
長期に使う場合は注意が必要です。
降圧目標以下の血圧で安定しています。薬を辞めるには?
いきなり中止するのはいけません。血圧を急激に変動させるのは良くないからです。
医師と相談しながら、複数の薬を併用しているなら、まず種類を減らすなど、徐々に減量していきます。
降圧薬を辞めるときは、血圧をずっと測定し続けることが大切。薬を飲まなくても血圧が安定していれば良いのですが、上がるようならまた薬は飲まなければいけません。
まとめ~血圧の薬は正しく使う
高血圧はありふれた病気。ですが、循環器病の重大な危険因子でもあります。現在は治療は容易で、血圧の薬による循環器病の予防効果は明らかです。
主治医の指示にしたがって治療を続けることで、高血圧であっても健康的な生活を送ることは可能です。
生活習慣の修正と血圧の薬を正しく使って、血圧をコントロールしましょう。
高血圧の治療に用いる薬について、詳しくは次回、血圧の薬の種類と副作用~高血圧治療で確認すべき降圧薬の話でまとめています。
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