大人の喘息は症状に気づかず、悪化して大きな発作を起こすことがあります。早期に発見して治療を始めれば、予防は可能なので、大人の喘息の症状と対処について知っておきたいことをお伝えします。
2週間以上続く咳は喘息を疑う
突然激しく咳き込んで呼吸困難になり、救急搬送された病院で喘息と診断されるケースが少なくありません。
喘息を発症していることに気づかないうちに発作を起こしていても、かぜが長引いているだけと思っているうちに重症化し、そのまま窒息死してしまうケースもあります。
風邪をひいたことをきっかけに喘息を起こすケースが良く見られます。様々なかぜの症状が治まって3週間以上たつのに、咳だけが続いていると言うような場合は、注意が必要です。
念のため、2週間以上続く咳がある場合、喘息を疑い医療機関を受診することが大切です。
喘息とは
喘息とは、気道に慢性的な炎症が起こり、過敏になっている状態です。ぜんそくは子供の病気、というイメージがありますが、大人が喘息を発症することもあります。
呼吸困難の発作が怒らない場合には、喘息であることに気つきにくく、実際の患者数はもっと多いと言われています。
早期に発見して治療を始めることで、悪化を食い止め、発作を予防することは可能です。
喘息の年齢別・性別総患者数(平成26年)
喘息が起こるメカニズム
喘息の患者さんの気管支は、いつも炎症を起こしていて、刺激に対して非常に敏感になっています。
少しの刺激でも発作が起こりやすく、炎症で平滑筋やその内側の粘膜層があつくなり、痰も出やすい。そのため、発作が起こると、空気の通り道が更に狭くなり呼吸が苦しくなります。
気管は途中で2つにわかれて主気管支となり、更に細かく枝分かれして、およそ100万本もの管に別れています。
それら1本1本の気管支の外壁に平滑筋と言う筋肉が巻き付き気管支を広げたり縮めたりしています。
気管支の最も細い部分は直径0.3mmです。健康な状態の気道では、空気の通る内宮が広く保たれていますが、喘息の患者さんの気道は、気管支の粘膜層が厚くなり、痰も出てきて内腔が狭くなります。
大人の喘息の特徴と要因
大人の喘息は、大きく次の3つにわけられます。
- 小児喘息があり、そのまま大人まで続く
- 小児喘息が治った後、大人になって再発
- 大人になってから初めて発症
これらはそれぞれ3分の1くらいの頻度で起きています。
大人になってから初めて発症するケースでは、60歳代以上の人が、かぜをひいたことがきっかけになるケースが良くあります。
発症の要因
かぜは一つの要因にすぎず、他の様々な要因が積み重なって喘息を発症することがわかっており、アレルギー性と非アレルギー性の2つに大きく要因はわけられます。
これらは喘息の発症のきっかけになるだけでなく、悪化させたり、発作を誘発したりすることもあるので、注意が必要です。
アレルギー性
犬やネコなどの動物の毛や拭け、ダニ、ハウスダストなどがアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因)となって喘息を発症します。小児喘息は、このアレルギー性の喘息が中心です。
非アレルギー性
- 風邪を引く
- 季節の変わり目の気温や湿度の変化
- PM2.5などの大気汚染物質の吸入
- 辛い食べ物や、たばこ、香水など気道に対する刺激物
- 精神的なストレス
- 運動
などが原因となります。大人の喘息は、約3分の1が非アレルギー性の要因によるものだと言われています。
大人の喘息の対処
早期発見のサインを見逃さず、自分の状態を把握して発作の予防に役立てましょう。
これまで一度も喘息になっが経験がないと、喘息を発症しても、咳き込む程度の症状しかない場合、喘息に気づかないこともあります。早期発見のサインは
- 呼吸をするときに、ゼーゼー、ヒューヒューと音がする(喘鳴)
- 咳が3週間以上続く
などです。このような症状に気づいたら、喘息を疑い、呼吸器内科やアレルギー科を受診してください。
喘息の検査
喘息を引き起こる要因の一つであるアレルギー体質の有無を調べるために、
- 血液検査
- 皮膚反応テスト
が行われます。アレルギーがある場合は、この検査でアレルゲンの種類も調べます。
また、1回にどのぐらいの速さや量で息を履けるか、スパイロメーターと言う機会を使い調べます。
ピークフロー値と喘息日記
ぜんそく日記
出典: http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-07.pdf PDF 画像p11
検査の結果喘息と診断された場合、薬物療法で気道の慢性的な炎症を押さえ、発作が怒らないようにします。また、自分の気道の状態を知ることも大切で、喘息日記をつけます。
喘息日記
ピークフローメーターを用い、ビークフロー値を測定し記入します。習慣化することで、気道が狭くなっているかどうか、自分で把握できます。
日記には、ピークフロー値の他、発作、咳、痰などの自覚症状の有無やその程度と苦しの使用状況、睡眠状態、体調、天候などを書き込みます。
測り方
- 胸いっぱいに息を吸い込む
- ピークフローメーターのマウスピースを加える
- 一気に息を吐き出す
ピークフロー値
吐き出した呼気の速度(最大呼気流量)のことです。朝、夕の2回以上、決まった時間に行います。
ピークフロー値は性別や年令によって値の範囲が異なります。自分の基準値内なら安全域にあり、それ以下に落ちてきたら、喘息が悪化しえいることになります。喘息日記は、医療機関にいくときに持参し、担当医に見せてください。
喘息日記をつけて、自分の喘息の状態を客観的に把握することは、発作の予知にもつながり、大きな発作を起こさずに生活していくことが可能となります。
生活の注意点
アレルギー性の要因がある場合は、まず、原因となるアレルゲンの除去が大切です。ペットの毛や拭け、ダニ、家のホコリ等がなるべくすくなくなるように、日頃から室内を清潔に保ち、換気にも注意します。
気温や湿度の変化にも注意します。急に気温が下がってくると体が冷えやすく、それが刺激となって発作を誘発することもあります。
天気予報を参考にして衣服を調節したり、マスクをつけたりする工夫も必要です。
たばこ、香水、辛い食べ物などを避けることは、家族や周りの人の協力も必要です。
小児から成人に至るまでの喘息患者数の経年的推移をみると、小児喘息は2~3歳までに60~70%が、6歳までに80%以上が発症するといわれている。その後、思春期になると症状が軽快しつつ約30%が成人喘息に移行する。一方、症状が消失(寛解)した50~70%の小児喘息患者の内、30%弱が成人になって再発するといわれている。一方、小児期に喘息がなく、成人になって初めて症状が出る成人発症喘息は、成人喘息全体の70~80%を占め、そのうち40~60歳代の発症が60%以上を占める
出典: 成人喘息の疫学―厚生労働省 PDF
まとめ~喘息は早期発見で発作を予防
大人の喘息は、症状に気付かず悪化させてしまうこともあります。早期に発見することで発作を予防することも可能です。咳が2週間以上続いたりするときは、喘息を疑い医療機関を受診することをおすすめします。
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