尿トラブルで特に多いのが女性の尿漏れ。中でも咳やくしゃみ、走るなどでも尿漏れが起こる腹圧性尿失禁が全体の約5割。進行すると骨盤臓器脱が起こることもある腹圧性尿失禁の症状や対策をお伝えします。
腹圧性尿失禁とは
腹圧性尿失禁とは、咳やくしゃみで尿漏れが起きたり、重いものを持つ、走ったり、縄跳びなど、ジャンプをしたりしたときなど、お腹に力が入ったときに尿が漏れます。
健康な人では膀胱に腹圧がかかっても骨盤底が尿道を支え、
- 骨盤底筋
- 尿道括約筋
の働きで尿道を締めるため、尿が漏れることはありません。
何らかの原因で骨盤底が緩んでいると、腹圧がかかったときに尿道を支えられなくなります。
そのため尿道が開きやすくなり、骨盤底筋と尿道括約筋の力も働きにくくなって尿漏れが起こりやすくなります。
年齢のせい、産後は仕方がないと治療を諦めている人も少なくありません。しかし、運動療法、薬物療法、手術、生活習慣の改善などで、尿トラブルを改善できる場合もあります。
しかし、進行した場合骨盤臓器脱*の危険性もあります。
尿トラブルの改善
40代以上の女性の約44%が尿漏れがあると言われています。腹圧性尿失禁は最も多い女性の尿漏れのタイプですが、その他にも2つ、合計3つのタイプがあります。
ポイント
- 尿漏れのタイプ
- 腹圧性尿失禁(全体の約5割)
- 切迫性尿失禁(全体の約2割)
両者を併せ持つ混合性尿失禁(全体の約3割)
腹圧性尿失禁、骨盤臓器脱の場合も骨盤底筋を強化する「骨盤底筋体操」を行って、緩んだ骨盤底を改善することが治療の基本です。
その他に肥満や便秘の改善も大切。薬物療法が補助的に行われることもあり、
- 腹圧性尿失禁には、尿道括約筋の収縮を強めて尿漏れを抑えるβ受容体作動薬
- 骨盤臓器脱には、膣の状態を改善する女性ホルモン薬
が用いられます。どちらの病気も、日常生活に支障がある場合には手術が検討されます。
骨盤底筋体操
骨盤底筋体操は肛門や膣を意識的に縮めたり休めたりして、緩んだ骨盤底を鍛え、排尿をコントロールするものです。骨盤底筋の瞬発力や持久力が鍛えられます。
前回の記事で骨盤底筋体操の方法を紹介していますので、そちらを参考にされてください。
椅子に座った姿勢、たった姿勢、横になって行うこともできます。外見からは体操を行っていることはほとんどわかりませんので、通勤電車の中など、時間や場所を選ばずに行うことができます。
大切なのは、毎日継続すること!多くの場合2~3ヶ月で効果を実感できるようになります。また、骨盤底の緩みの予防にもなるので、尿漏れのトラブルがない人も積極的に行うと良いでしょう。
腹圧性尿失禁の主な原因
腹圧性尿失禁を起こす主な原因は
- 加齢
- 妊娠・出産
- 肥満
- 便秘、慢性の呼吸器の疾患
です。
妊娠や出産でも尿漏れが起きやすいのは、骨盤底が緩みやすいためです。
妊娠後期に胎児の重みで骨盤底に負担がかかったり、出産時に胎児が産道を通る時、骨盤底の筋肉や靭帯などが損傷され、骨盤底がゆるみます。
妊娠や出産などで一度傷ついた骨盤底は、加齢に伴って更に緩みやすくなっていきます。肥満は骨盤底にかかる負担が大きくなるので、骨盤底が緩みなすくなります。
便秘でいきんだり、頻繁に咳き込んだりすることも骨盤底が緩みやすくなる要因です。
このように生活習慣による緩みも少なくありません。若い人でも尿漏れのトラブルで悩む人が多いです。
骨盤臓器脱とは
※下部に骨盤臓器脱のイラストがあります。苦手な方はご注意ください。
骨盤底の緩みが進行することで、膀胱や子宮などの臓器を支えきれなくなり、臓器が正常な位置から下がってしまい、膣から出てくることがあります。これを骨盤臓器脱と言います。
骨盤臓器脱は大きく分けて以下の4つにわけられます。
- 膀胱瘤 膀胱がお腹側の膣壁と一緒に下がってくる
- 子宮脱 子宮が膣を通って下がってくる
- 直腸瘤 直腸が背中側の膣壁と一緒に下がってくる
- 膣断端脱 子宮脱や子宮筋腫などの手術で子宮を摘出した後に、膣の丈夫が靴下を裏返したように下がってくる
出典:骨盤臓器脱 大阪市立大学大学院医学研究科 産科婦人科医局(女性診療科)
排尿困難が起こり始めたら
腹圧性尿失禁を起こしている場合、ある時から尿が出にくくなる症状が現れた場合は、骨盤臓器脱の可能性があります。
骨盤臓器脱で下がってきた臓器により、尿道が塞がったり曲がったりしてしまうために、尿が出にくくなったり、排尿に時間がかかるなどの排尿困難が起こるようになるのです。
早期の症状 臓器が脱出する前の早期の段階では、
- 下垂感、違和感、不快感など膣に何かが下がってくる感じがする
- 入浴時にまたでピンポン玉に触ったような感じがする
などから脱出した臓器に気づくこともあります。
進行すると
- またに何か挟まったようであるきにくい
- ふたをしたようで尿が出にくい
- 脱出した臓器が下着に擦れて出血する
などの症状が現れます。
長時間歩いたり、立ち仕事や運動を続けたりすると症状が悪化しやすくなるので、一日の中では夕方になるに連れて症状が強くなります。
まとめ
腹圧性尿失禁による尿トラブルは、歳のせいと諦めている方も少なくありませんが、薬や運動、生活習慣の改善などで症状の改善が期待できることもあります。
肥満や便秘なども骨盤底の緩みにつながり、走ったりしても尿漏れが起こることもあるので、若い女性にも多い尿トラブルです。
腹圧性尿失禁は、骨盤底の緩みが原因となって起こるので、骨盤底筋体操を普段から行うことで、予防にもつながります。
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