健康と日々の徒然~Anのひとりごと

心と体の健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

病棟ナースは見た!当たり外れはお互い様~医者だって頑張った

医療の世界で「当たり外れ」というのは不謹慎極まりないのですが…長い経過で、あちこちの病院を転々とされている患者さんにとっては、医師の「当たり外れ」が入院中の一番の問題であるのは、間違いない事実。病棟ナースがみた「当たり外れ」の悲喜こもごもです。

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医師の実力の差、ではないこと

長い経過で複数の医師のもとを、転々とされている患者さんは、ほとんどが各医師の比較をする。

 

医師の「腕」以前に、

 

・よく話を効いてくれるか

・熱心に診てくれるか

 

中には

 

・若い先生、女の先生では安心できない

・偉い先生が良い

 

と言った、根拠の無い基準で当たり外れを決めていることも。

 

 

患者さんとの関係の難しさ

お眼鏡がかなって、「あたり」と思ってもらえれば、人間関係もスムースで、治療にも最大限の力が発揮できます。

 

しかし、「ハズレ」と判断されたら、何をやってもうまくいかないことが多い。医師と患者さんの関係の難しさがあります。

 

 

名医とヤブの分かれ目は…

ある高齢の女性は、「前の先生がよかったのに」と言い続けて、亡くなりました。ずっとお世話をしていた、病棟ナースから見ると、今の主治医のほうがはるかに患者さんに寄り添っていた。

 

違うのは、受け持った時の患者さんの病期です。

 

前回の入院の時は、抗癌剤の治療がよく効き、退院することが出来、当時の主治医は「名医」となりました。

 

 

運が大きく左右する

しかし、今回は既に治療の施しようがなく、抗癌剤は効かず、苦痛ばかりでした。前回も、今回も主治医が同じなら、「名医」「ヤブ」という振り分けはなかったでしょう。

 

いい時期だけ受け持った医師が「名医」とされ、後を引き受けた医師は「ヤブ医者」となってしまったのです。

 

名医となるか、やぶ医者とされるかは、運もに大きく左右される。ナースに対しても、病院に対しても、同じことが言えるでしょう。

 

 

「僕も頑張ったんだけど」とぽつんと小さな声で言った医師に、病棟ナースが思わずかけた言葉が、「運がわるかったのよ」…

 

 

出身校で格付けされる?

患者さんには、偏差値の高い大学の出身なら、良い医者だと信じている方もいる。なので、主治医の出身大学を執拗に聞かれて困ることも。

 

もし、期待した学校の名前が出てこないと、その患者さんにとって、主治医との信頼関係ができにくいケースもありえます。

 

自分の身体を診てくれる医師の情報を、知りたいと思うのは当然でしょう。しかし、学歴もプライバシーのはずです。なので、例え担当の患者さんに対してでも、主治医の出身大学を教えることはありません。

 

病棟ナースが見た医師の出身大学

医師の出身大学なんて、病棟ナースから見ると、ほとんど関係ありません。いわゆる一流の医大出身の医師でも、プライドばかりが先に経つタイプは、人のいうことに耳を傾けない、患者さんの個別的な症状につきあえないことも多い。

 

一方で、三流と言われる大学の出身でも、患者さんを見ているうちに、伸びていく医師をたくさん見てきました。

 

 

臨床では続かない医師は一流出身?

研究者を育てる場になっている大学の出身だと、病院での「医療」と大学で学んだ「医学」とのギャップが乗り越えられず、臨床で続かない医師を何度みたことか。

 

一流大学出身だから、というだけの理由で医師を格付けしたがるのは、弊害の方が大きいかもしれません。出身大学だけでなく、人間性もきちんと見極めて医師を選ぶ目を、患者さんにも持って欲しいと思う病棟ナースの気持ちが伝わってほしい。

 

 

患者さんの人間性

看護師が持つ使命感は、どんな患者さんにも敬意と誠意を持って尽くすこと。

 

しかし、病気になるのは選ばれた人だけでは無い、プロとして誠意は尽くせても、人間としては敬意を払えない人もいる。

 

 

病棟ナースとして、患者さんとの出会いが、人間として、ナースとしての成長に繋がることが多い。しかし、残念ながらそうでないことも。

 

 

ナースはなんでもやってくれる

「病棟ナースは文句を言わず、いつでもニコニコ世話してくれるのが当然」だと思っている患者さんも少なくありません。

 

「治療費をはらっているんだから」と一人でお風呂に入れるのに、下半身を拭いて欲しい、と半ばセクハラまがいの要求や、ナースコールにすぐに応じないと、怒鳴り散らしたり。

 

イライラの矛先はナースに向かう

健康であればなんでもないことも、思うように出来ず、強いストレスを感じる患者さんは増え、家族の支えも不十分なケースも増えれば、そのイライラの矛先は、身近な病棟ナースに向かってしまいます。

 

そうかと思えば、患者さんの機嫌が悪いのまで、病棟ナースのせいにする家族たち。

 

一生懸命お世話をしても、罵倒されたり、クレームを言われたりして、傷ついてボロボロ。

 

病棟ナースの辛さは、夜勤や下の世話、仕事のきつさなどではなく、一生懸命やっても、心を尽くしても、足りないところばかり指摘される徒労感や、患者さんとのぶつかり合いが本質的なものといえます。

 

「患者さん」は選べない

患者さんが病院を選ぶことは、できなくないです。名医を求めて、コネやつてを頼っていくことも、不可能ではありません。

 

しかし、病棟ナースが患者さんを選ぶことはできません。入院された患者さんがどのような方でも、担当になれば、誠心誠意お世話するのが仕事ですから。

 

できれば「担当に当たりませんように」と思ってしまう患者さんがいても、病棟ナースの誰かが必ず担当になるのです。

 

 

まとめ

医師を格付けする患者さんもいれば、出身大学ゆえのプライドが先行してしまう医師もいる。いわゆる三流大学出身でも、本当に名医と言える医師だっている。

 

病棟ナースは、「患者さん、主治医、双方の悲喜こもごも」を毎日のように見て、より良い看護をするために、経験を積んでいくのです。 

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