健康と日々の徒然~Anのひとりごと

心と体の健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

ガンにならない方法~日本人に効果の高いがん予防5つの健康習慣

日本人の死因の第一位はがんです。そのため長年にわたり大規模な疫学調査が複数行われてきました。その研究成果によりわかってきた、現時点での日本人にとって効果の高い予防法についてお伝えします。

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科学的な根拠に基づくがん予防

研究成果により日本人のがんの予防にとって重要な生活習慣に関わる5つと感染の6つの要因を取り上げ、「日本人のためのがん予防法」*を定めました。男性のがんの53.3%、女性のがんの27・8%がこの6つの要因が原因でがんになったと考えられています。

がん予防には、これらの要因を取り除くことが重要なポイントです。感染以外の5つに関わる健康習慣は、全部実施するのががんにならない方法とは言えませんが、実践することで確実にリスクを下げることは可能です。

また、がん以外にも糖尿病や循環器疾患などの予防にも役立ちますので、病気の予防、という観点からも是非実践してください。

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出典: がんの冊子 科学的根拠に基づくがん予防

 

がん予防5つの健康習慣

  1. 禁煙・受動喫煙にも注意
  2. 飲酒はほどほど
  3. 減塩 野菜・果物を食べる。熱いものは冷ましてから
  4. 体をしっかり動かす
  5. 太り過ぎず、痩せすぎず

実際にこれらのがん予防、5つの健康習慣を実践すると、しない、または1つ実践する場合に比べ、男性で43%、女性で37%がんになるリスクが低くなると言う推計が示されています。(がんの冊子より)

1.喫煙・受動喫煙

たばこはほどんどの臓器のがんのリスクをあげます。たばこの煙には数多くの発がん物質が含まれていて、喫煙はがんの最大の原因であり、特に男性のがんの30%はたばこが原因と推定されています。

喫煙者のがんのリスクは非喫煙者の約1.5倍、肺がんは約4.5倍になると言われています。また、75歳までにがんになるリスクは、非喫煙者が約20%、喫煙者では約30%にアップします。

健康を維持し、がんのリスクを下げるには禁煙は重要です。禁煙して20年以上たつと、がんのリスクは非喫煙者とほぼ同じになることがわかっています。

受動喫煙

喫煙は本人だけでなく、周りの人の健康も損ねます。受動喫煙でも肺がんや乳がんのリスクは高くなります。喫煙しない人も、なるべくたばこの煙を避けましょう。

夫が喫煙者の場合妻の肺がんリスクは約1.3倍、たばこを吸わない妻が肺がんになった場合、約30%が夫のたばこの受動喫煙が原因だと推定されています。また、受動喫煙は閉経前の乳がんにも関係が深いと言われています。

2.飲酒はほどほどに

酒類に含まれるアルコールは、分解される際に特に食道がんとの関係が深いとされている、アセトアルデヒドと言う発がん物資を生じます。お酒を飲むと顔が赤くなる人は、アセトアルデヒドが体内に残りやすい体質です。過度の飲酒に特に注意が必要です。

アルコールやアセトアルデヒドは細胞の再生に不可欠な葉酸の働きを阻害するので、大腸や乳房などのがんのリスクをあげやすいとも考えられています。限度量内ならがんのリスクをほとんどあげません。

しかし、長期に渡り多量の飲酒を続けると、食道、大腸、肝臓、膵臓、乳房など、多くのがんの原因となります。また、飲酒しながら喫煙すると、アルコールを分解する酵素がたばこの煙に含まれる発がん物質も活性化するため、がんのリスクが更に高まると考えられています。お酒を飲みながらのたばこは特に避けましょう。

*飲酒量の目安(限度量)日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本、焼酎なら2/3合など

3.減塩、野菜・果物を食べる

塩分を減らす

日本人の食事に置いて最も問題になるのは塩分です。塩分の摂り過ぎの食事は胃がんのリスクを、ほぼ確実にあげます。特に、塩辛、魚卵、漬物などの塩蔵食品は、塩分濃度が高く、胃の粘膜などを傷つけやすいと考えられています。

高血圧や循環器疾患のリスクにもつながるので、毎日の食事で減塩を心がけましょう。

野菜・果物

不足すると食道がんや胃がんなどのリスクが高まり、特に果物が不足すると肺がんのリスクにもなると言われています。他の生活習慣病の予防にもつながるので、野菜は毎食、果物は毎日1回は取るようにしましょう。

一日の目安量は野菜は350g、果物は100gです。

熱いものは冷ましてから

熱い飲食物は、食道、口腔、咽頭などの粘膜を傷つけ、がんのリスクになると考えられます。適度に冷ましてから飲んだり食べたりするようにしましょう。

4.体をしっかり動かす

仕事や余暇で体をよく動かしている人ほど、がんのリスクや死亡率が低いというデータが多く見られます。特に男性は結腸がんのリスクは約4割減少します。乳がん、子宮体がん、肝臓がん、すい臓がんなどのリスクも下げると考えられています。

日常生活でよく動き、活動を増やすようにすることが大切。仕事で体を使う人はそれだけで十分な場合も多いです。家事や子供と遊ぶことでもOKです。

デスクワークが多い人は、ウオーキングやストレッチ、週に1回ぐらいはジョギングなど、汗を書くような運動をすると良いでしょう。

5.太り過ぎず 痩せすぎず

肥満はがんのリスクを高めます。ただし、日本人の場合極端に太っている人は少なく、多少肥満気味でもがんのリスクはそれほど高くありません。むしろ痩せすぎが問題です。体型にあった体重を維持することが大切です。

中高年の男性ではBMI21~27、中高年の女性ではBMI19~25の範囲なら、がんのリスクは上がりません。

ただし、肥満があり「血圧が高い」「糖尿病がある」場合は、その病気の治療のためにやせることが重要です。

感染のリスク

以上5つの生活習慣以外に、感染によるリスクがあります。特に注意したいのがB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの感染です。感染していない人に比べて、肝臓がんになるリスクが何十倍にもあがります。

中高年では感染者が数%いると考えられているので、1回は検査で感染の有無を確認しましょう。感染があっても適切な治療で肝臓がんになるリスクは下がります。その他、ピロリ菌は胃がん、ヒトパピローマウイルスは子宮がんの原因になることがわかっています。

 

がんに関わるミニQ&A

 

Qがんは遺伝しますか

 

A大腸がんや乳がんの一部は遺伝することが知られています。30歳代ぐらいの若い年代に発症するので、大腸がんや乳がんの血縁者がいる若い人や、子供の発症が心配な患者さんなどは、遺伝相談外来などで相談するのも良いでしょう。

がんになるリスクは、遺伝的な要因よりも生活環境の方が大きいことが明らかになっています。高齢化社会になるにるれてがんになる人が増え、家族にがんを起こした人がいるのも珍しいことではありません。

 

Q「がんに効く」と言った広告がありますが、本当でしょうか。

 

A現在のところ、がんの予防効果がはっきりと実証されたものは、上記でご紹介した5つの健康習慣以外では、殆どありません。

βカロテンやビタミンEの抗酸化成分などは、食物からとるなら病気の予防に役立ちますが、サプリメントとして大量に摂ると、逆にがんのリスクや死亡率を上げることが示されています。様々な情報を吟味し、冷静に判断するよう心がけることが大切です。

 

Qがん検診のメリットはなんですか

 

Aがん検診自体が予防に役立つわけではありませんが、早期発見・早期治療につながります。肺、胃、大腸などのがんや、乳がん、子宮頸がんについては、早期治療の有効性がはっきりしています。

検診によって100%発見できるわけではないし、不安や検査を受ける負担なども考えられます。しかし、それらのデメリットを差し引いても、検診を受けるメリットの方が大きいと考えられます。

 

まとめ

日本人の死因第一位のがん。様々な研究成果により、科学的根拠に基づくがん予防の方法がわかってきました。ガンにならない方法とは、5つの健康週間を実践することと、感染の状況に応じた対応を摂ることです。

確実にがんのリスクを下げることが可能です。

「Anのひとりごと」~今日も1ページ

 

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出典:厚生労働省(pdf p.10、11)

ちなみに女性では30~89歳代、男性では45~94歳代で死因の1位です。

 

参考

平成 27 年 人口動態統計月報年計(概数)の概況 - 厚生労働省
www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai15/dl/gaikyou27.pdf

 

「日本人のためのがん予防法」
「がんの冊子 科学的根拠に基づくがん予防」
http://ganjoho.jp/public/pre_scr/prevention/ 
国立がん研究センターがん情報サービス