どんな仕事にも向き、不向きはあるもの、ナースも例外ではありません。見た目や常識では判断できない、病棟ナースの適性チェックをすることで、具体的な努力目標を明らかにしましょう。
足りないものは努力目標に
どうみても「向いてないわ」というナースが優秀だったり、「これぞ白衣の天使」が実はとんでもナースだったり。適性チェック、というのは眉唾ものが多いようですが…
一つの指針として、自分を振り返るきっかけとして、チェックしてみましょう。足りないものが有れば、努力目標にすれば良い。
注意: この適性チェックは、研究結果などをもとにしたものでなく、一病棟ナースの個人的なまとめです。参考になる部分もあるとは思います…^^;
適性チェック12項目
- 健康
- 自分に正直
- 仕事への熱意
- 患者さんについて興味をもつ
- 患者さんの情報収集を誰とでも積極的に持てる
- どのように退院へと導くかを考えられる
- 患者さんを注意できる
- 患者さんの人格を尊重し、行動できる
- 他のナース、スタッフのミスを指摘、報告できる
- 人に指示ができる
- 自身の持っている技術を伝えられる
- 医師とコミュニケーションがとれる
それぞれの項目の詳細は、最後に記述しましたので参照されてください。
病棟ナースは、患者さんと向き合って学んでいく
人によって早かったり、遅かったりしますが、病棟ナースとして働き始めて、ほんとうの意味での学びに気づく出来事が必ずあります。
新人時代、準夜勤の時のことです。心不全で人工呼吸器が付いている患者さんを、受け持ちました。
脈がとれない!
血圧を測りに言ったのですが、うまく測れない。音が聞こえないのです。むくんだ体のせいかな、と何度か測りなおしましたが、やっぱりダメ。
頸動脈もさわれません。反対側の腕も脈は取れません。そこでやっと「脈が止まっているのかもしれない」ということに思い当たりました。
通りがかった先輩ナースが気づき、「すぐに当直医を呼んで!救急カートを持って走ってきて!」と病棟は騒然。「やっぱり心臓が止まっていたんだ」
心電図が読めない!
医師と先輩は救急処置を始め、私は大きな心電図形(当時はかなり大きかった)をひっぱってきましたが、病室に入らない。
廊下で「波型を見ていなさい」と支持されましたが、当時心電図なんて読めなかったんです。
「波型は!どうなってる!?」と医師に言われて、仕方ないので「さざなみです」と言うと、空気が一瞬凍りついた…
「小さくなったら言ってくれ!」
「小波です!」「ありません!」
と必死でした。残念ながらこの患者さんは亡くなられてしまいましたが、この経験があって、「心電図が読めない」ということは、患者さんに迷惑がかかる、生命に関わる重大なことなんだ、と
仕事への熱意と学ぶ姿勢
「知識のなさ、未熟さが患者さんの生き死に大きく関わる」事は理解していたつもりでした。日々の仕事からも多くのことを学んでいる、と思っていました。
しかし、このことがあって、本当の意味で理解していたのだろうか、という振り返りができ、「もっと勉強しなくては」「看護師として、プロになろう」という確固たる目標を持つことが出来たのです。
チェック項目の詳細
健康である
どんな仕事でも、健康であることは目標、というよりも大前提。とりわけ看護師は健康でないと務まりません。
看護のシフトは、最低限必要な人数で組むので、婦長が、1ヶ月以上前から苦心して作ります。病気で突然「休む」ことになると、抜けた穴を当日の勤務者が埋めなければいけなくなります。
ただでさえ、やるべきことが多い病棟ナースです。一人休めばその分みんなに負担を強いてしまう。代わりを誰かに頼むのも心苦しいので、無理をして出勤。
そのうちに、「風邪は休みの日にひく」ように!
自分に正直である
看護は患者さんの生命に関わります。正義感をもち、それに誠実・正直に行動出来なければいけません。
「記録」「送り」はすべて「事実」であること
実施したすべての処置、看護は、自ら「記録」して、次のシフトに「送り」ます。
業務は共同で行うものもありますが、病棟ナースが一人ですることが多い。様々な処置を見ているものは居ません。ミスをしたら報告し、少しでも早く修正することが最善です。
正直でなければいけないのは、もしもの危険性を回避するためでもあるのです。
仕事に積極的である
看護師は自ら望んで仕事を増やす面もあります。何かを貰えるわけでなく、自分が大変になるだけなのに、です。
自分の担当でなくとも、ナースコールが有れば、先を争って受話器を取り、患者さんの要件を聞いて病室に出向くのです。
早足で飛び回る病棟ナースは、患者さんに呼び止められれば、にっこり笑って対応します。
患者さんの情報に興味を持てる
情報収集するため、誰とでも積極的にコミュニケーションを取れる
入院時に患者さんについて、かなり踏み込んで情報をお聞きします。病気だけでなく、メンタルな部分まで、すべての生活を一時的に預かることになるからです。
家族歴、病歴、入院費を負担するのは誰か、世話は誰がするのかなどです。その情報を元にして、看護方針を決めていきます。
患者さんの精神状態や、家族の思いも理解するように努力して、入院中の患者さんの支えとならないといけません。
病気だけを見ていれば良い、というものではなく、患者さんに無関心でいてはいけないのです。
どのように退院へと導くかを考えられる
病気への理解を助け、退院へ向けてどのように回復へ導くかを考えて目標をたて、患者さんに伝えます。退院後の生活についても、アドバイスや指導をします。
患者さんを注意できる
情報に興味をもち、収集し、目標をたて、できない患者さんに注意します。
生命に関わるようなことでなければ、守ってくれないというより、分かっていてやっていることが多い。もし、自分が言われたら嫌だろうな、と思うようなことを注意しなければならないので、難しいです。
患者さんの人格を尊重し、行動できる
患者さんや家族の方から、感謝の言葉をかけていただくと、慣れが生じて言葉遣いなどが「エラく」なっていないだろうか。常に患者さんの人格を尊重して行動出来ているかも考えます。
- ミスは本人に指摘、リーダーや婦長に伝えられる
- 人に指示ができる
ミスが許されない看護では、助け合う、お互い様という曖昧な感覚ではできません。担当を決め、実施した人が責任を持たねばならないからです。
サインは必須
行った処置は、伝票にサインして記録します。サイン一つがその仕事の全責任を負うので、サインが抜けているとすぐに指摘されます。
注意の言葉が毎日のように飛び交うのは、事故を防ぐため。言い方によっては言われた者の心を深く傷つけることも、落ち込ませることもあります。
看護という現実は、ミスの指摘は嫌味であろうと、しなければ行けないのです。
自分の技術を伝える
看護師は本で勉強したからといって、なれるものではありません。先輩から教えてもらいます。そして、自分も教えられるように成長しなければなりません。
・相手が理解できたか
・できるようになったか
・足りない部分のアドバイス
教えるのは難しいです。自分が分かっていなければ教えられない。
医師とコミュニケーションが取れる
病棟ナースは、医師の指示を受けて様々な処置をする。医師とのスムースなコミュニケーションは不可欠です。しかし…苦手な医師もいるのです。
これは、自分が頑張るしか無いですね。
まとめ
学びには「これで良い」ということはありません。病棟ナースは日々の患者さんのお世話から、常に何かを学び、経験を積み上げていける。
どこかで立ち止まり、その時の自分に足りないものはないか、自問自答する時間も必要です。
足りないものが有っても、それを埋めるべく努力すれば良い。振り返りを目標に活かせば良い。
患者さん、先輩、医師たちの力も借りて。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ