看護師が転職する理由の一つに、「今の職場は給料が安いから辞めたい。」「もっと高い給料を貰えるところがあるから。」とお金がらみの場合があります。
転職にはリスクもある
看護師にかぎらず、目先の利益だけを追って転職をすることは、結局は生涯賃金で考えても、損をしてしまうことも少なくありません。
転職を考えるときは、なぜ今の職場ではダメなのか、どんな条件を希望するのか、などをしっかり考えることで、より良い条件、環境を得ることが可能となります。
プリセプター*が厳しい人で、いろいろと注意をされ、仕事がイヤになっていた新人ナース。
もともと希望していた部署でなかったこともあり、「新しいことに挑戦してみたい」と異動を願い出ました。
プリセプターに「この病棟で看護師としての基礎を学んで、一人前になってから希望をだしなさい」と言われ、「ここでは自分のやりたいことができない」と転職を決意。
人材派遣会社に登録したところ、希望の部署に配属してくれる、と言う病院に就職することができました。
*プリセプター: 新人ナースなどに知識や技術を伝える先輩ナースのこと
転職を後悔するハメに
希望の部署で勤務をはじめましたが、「こんなこともできないの?」「今まで何をしてきたの?」などと知識や経験のなさを指摘され、プリセプターの「基礎を学んでから」という言葉がやっと理解できたのです。
プリセプターが自分を早く一人前にしようと、厳しく指導してくれていたことに気づき、転職したことを後悔しました。
元の病院に戻れた!
元の病院で同期だったナースとは、転職してからも親しくしていました。彼女に転職したことを後悔していること、プリセプターの思いがやっとわかったことなども、話していました。できれば戻りたい、ということも。
1年ほどたった頃です元の病院に戻りました。回り道をしたことで、元の病棟に居れば詰めるはずだった経験も、最初から。
キャリアだけでなく、昇給も1年おくれ、退職金も勤続年数で大きく変わることを知ったのです。
後悔しない転職とは
一時的に給料が下がっても、多くの学びが得られると考えれば、それは必要な転職です。長い目で見れば、新たな資格を得たりすることで、給料も上る可能性が大きい。
しかし、なんとなく他の方がよく見えた、という転職はとてもリスクが高いものです。
転職ばかりしていると信頼性を失うことになる
「いつか自分にピッタリの職場がみつかる」と転職を繰り返すと、信頼を欠いてしまいます。「すぐに辞めてしまうのでは」「人間的に何か問題があるのでは」などと敬遠されてしまうからです。
どの職場でも、必ずやりがいのあるもの。それを見出す努力をせずに、ここもあそこも自分の能力を活かせる職場ではない、と投げ出していては信頼を得られなくなってしまいます。
転職は不利?看護師の生涯賃金を比較
看護師の仕事は、今のところ全国どこに言っても、就職先に困るということはほとんどありません。
それゆえ、より有利な条件を求め、転職する看護師も少なくないのです。
しかし転職した場合、一般的には生涯賃金は低くなります。
転職しない看護師の生涯賃金は3億!?
勤務場所や役職などによっても差はあっても、例えば「大学病院勤務、専門学校卒、21歳で就職、看護師長」の場合、約2億5千万~3億と言われています。
専門学校や短大卒の女性の生涯賃金は、約2億1千万円程度ということなので、管理職を経験した看護師の生涯賃金は、一般女性と比較するとむしろ高いのです。
低くなる理由
病院には昇給制度もあるし、賞与や退職金で差がつくからです。同じ職場で働いているからこその恩恵もある。
転職するということは、それらの権利を失うリスクがあることも、考えなければいけません。
高くなる転職
一方、新たな資格を取得したり、キャリアアップの転職の場合は、高くなる可能性もあります。
看護師の転職事情
給料が安いから転職したい、というのは、人間関係や看護師の仕事そのものが嫌で辞めたい、と思うのとは違うので、転職先を選ぶのも、お金で判断しがちです。
隣の芝生が青くみえて転職し、失敗する看護師も少なくありません。人材紹介会社の広告や、一時の感情に流されて転職を安易に考えていたことも原因となりえます。
人材派遣会社の求人
看護師専門の人材派遣会社も何社か有ります。病院や施設など、看護師を必要としている求人情報が多く集まっている。
中には、「高給、好待遇」など金銭面の優位性を打ち出す広告もあります。
しかし、なぜそんな高給が出せるのか、転職支度金とは何か、等をよく考えてみると、一時的な金銭に惑わされて就職先を決めることが、どんなに危険なことなのかが見えてくるでしょう。
まとめ~転職は目先の利益だけを追わない
看護師の生涯賃金は、転職をせずに一つの職場で、長く勤務するほうが多いものです。
キャリアアップのため、ライフスタイルが変わり、働く環境を変える必要がある、など、転職の理由がはっきりしている場合は、転職があなたのキャリアにプラスとなるでしょう。
しかし、ただなんとなく、とか他所の方がよく見えるから、と言った安易な気持ちで転職すると、生涯賃金でも差がでたり、何よりも働く意欲や楽しみが失われるリスクもあることを、十分考えて欲しいです。
目先の利益だけを追わず、しっかりしたライフプランを持つことが大切です。
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