キャリアアップ思考の看護師に人気の資格が、認定看護師です。認定看護師とは?資格取得で何がかわるのか、どんなよいことが有るのかを簡単にお伝えします。資格取得で給与がアップするとは限りませんが、病院にとってはメリットがあり、転職の際は有利に条件を交渉できるかも知れません。
資格取得で変わること
これから認定看護師の資格取得を考える場合、一番気になるのが「資格取得をすると、何が変わるのか、どんなよいことがあるのか」です。
認定看護師は、仕事内容が非常に深くなります。特定の分野に興味があり勉強を続けたい、という意欲のある人がとるべき資格です。
認定看護師は金銭的な優遇を目的として取る資格ではありません。
転職に有利?
認定看護師の資格を取得しても、ほとんどの病院は手当はつきません。場合によっては夜勤が減り、給与額がダウンすることもあります。
給与面のメリットはないことが多いのです。しかし、実は病院側にとって、認定看護師はメリットがあります。
そこをうまく使うと、あまり期待はできませんが、転職の際に有利に条件の希望を出せるかも知れません。
病院のメリット
- 認定看護師がいると、得られる病院の資格がある
- 認定看護師が行うことで得られる診療報酬がある
ことです。認定看護師の仕事内容で、病院の収益に繋がる可能性のある認定資格がいくつもあります。
又、がん拠点病院などの資格は、認定看護師がいることが基準となる場合もあるからです。
ただし、認定看護師を専従にした場合、「看護単位の頭数には入れられない」というデメリットはあります。
どこも看護師不足は深刻なので専従にするのは、なかなか難しい物もあります。
認定看護師のメリット
看護師としてのキャリアアップに、多くの学びを得られ大変やりがいがあるということ。
認定看護師を目指すには、5年の実務経験が必要で、そのうち3年は認定分野と関連した領域での経験と定められています。
その間の出会いも大きな財産となります。詳しくは次項でお伝えします。
認定看護師は分野を横断した主導的役割をになう
- 診療科目や疾患・症状、さらには所属組織をまたいだ横断的な活動
- 特定の病棟や診療科目から離れ、フリーあるいは教育などの専従スタッフとして活躍
など、「困ったら認定看護師に相談」と頼られる存在となるため、常に情報収集やスキルアップが求められる、大きな責任のある役割です。
また、養成講座での体験をとおして貴重な出会いもあり、看護師としての成長が後押しされます。
所属組織をまたいだ横断的な活動
皮膚・排泄ケアや感染処理はその代表的な分野と言えます。
- 患者さんやご家族の生活の質を高める
- 医療関係者が安心して仕事に臨める環境を整える
より質の高い医療・看護錆巣を提供することが課題になっている現在では、1つの部署だけでは取り組む改善活動には限界があります。
そこで特定のテーマに関して豊富な知識と高い技術を持った人が中心となり、目標達成のために部署を超えた取り組みが広がっています。
認定看護師が果たす主導的役割
部署を超えた取り組みで主導的役割を果すのが、認定看護師です。
マニュアルやルールなどの仕組みづくり、勉強会の講師、現場で患者さんやご家族と接して、お手本となる場合もあります。
患者さんの退院後の生活を支える地域の診療所や、福祉施設などとの連携もあります。
フリーや教育などの専従スタッフ
特定の病棟や診療科目から離れて活動している人も多い。分野横断的な活動をよりスムーズにするため、役職や所属に柔軟性を持たせた結果と言えます。
病棟や外来からの養成に応じて研修会を開いたり、看護を実践してお手本を示すなど、指導・教育の役割りをになっています。
患者さんやご家族に治療の説明を行ったり、相談に乗ったりもします。
養成講座の体験は財産
認定看護師を目指すには、5年の実務経験が必要ですので、早くても20代半ばからとなります。
実際は、看護師としてのキャリアが20年、30年といった人もいるし、分野によっては課程を開講している教育機関が限られるので、全国から看護師が集まります。
年齢も経験も全く異なる看護師が、認定看護師資格取得という目的のために集まり、6ヵ月間一緒に学びます。
中には、想像もしなかったようなケアをしている人、自分とは全く異なる看護観を持った人との出会いなどもあります。
授業では、お互いの意見交換も行われ、このような体験自体が、看護師としての成長を後押ししてくれたと、効果を多くの先輩たちは実感してきました。
認定看護師とは
認定看護師徴証
認定看護師制度は1995年にスタートし、今やすっかり現場に定着しています。
看護の現場に終える看護ケアの広がり、質の向上を図ることを目的として設立されました。
ある特定の分野において熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護実践ができるもの」と定義されています。
認定の対象となる分野は定められており、以下のような役割を期待されています。
期待される役割
実践
特定の看護分野において、個人・家族および集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する
指導
特定の看護分野において、看護実践を通して看護職に対し指導を行う
相談
特定の看護分野において、看護職に対しコンサルテーションを行う
制度スタート時は救急看護と創傷・オストミー・失禁看護分野(減名称:皮膚・排泄ケア)の2分野でしたが、社会的ニーズの多様化、医療・看護技術の進歩を受け、2016年1月現在21分野です。
認定更新審査
資格取得後、これらの役割を果たし、認定看護師としてのレベルを保持するために認定を受けてから、5年ごとに認定更新審査が行われています。
看護実践だけでなく、学会参加、雑誌発表など、5年間の自己研さんの実績も問われます。
資格取得について
認定看護師の資格取得には、5年以上の実務経験など条件があり、教育課程は最低でも半年間みっちりと教育期間に通う必要があります。
費用ももちろんかかります。又、前述したように、認定看護師と認定されても、手当が加算されるとは限らず、むしろ変わりない場合がほとんどです。
資格取得費用
認定看護師の教育課程の教育内容は、日本看護協会によって定められています。学びに必要な費用は概ね60万円~95万円。
教育機関や実習先によっては、交通費や宿泊費も必要となるので、費用の準備もしっかりしなければいけません。
- 教育機関入学検定料 1~5万円
- 入学金・授業料など 40~75万円
- 認定審査料 5万円
- 認定料 5万円
- 更新審査・認定料 5万円
※消費税を除く
奨学金や助成金などの支援制度
- 在籍する教育機関が大学や大学付属の施設の場合、在学生を対象とした学校独自の制度
- 特率行政法人日本学生支援機構の奨学金制度
- 地方自治体
- 各種の財団が活動趣旨にあった就学活動に行う支援
など、様々な支援制度が儲けられていますので、募集要項を取り寄せる際などに問い合わせ窓口や学生センターに相当する部署に訪ねてみましょう。
認定看護師資格取得の流れ
- 日本の看護師免許を有する
看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上(うち3年以上は認定看護分野の実務研修) - 認定看護師教育機関(課程)
6ヵ月・615時間以上終了 - 認定審査(筆記試験)
年1回(2016年度は5月19日に実施済み) - 認定看護師認定証交付・登録
- 認定更新審査
5年毎に更新(看護実践と自己研鑚の実績について書類審査)
認定看護師教育機関
- 教育期間: 6ヵ月以上。連続した(集中した)昼間の教育であることが原則
- 授業時間数:
- 総時間615時間以上(教育機関によってことなる)
- 共通科目は105時間以上
- 専門基礎科目と専門科目 時間規定なし
- 学内演習及び臨地実習200時間以上
参考:日本看護協会 認定看護師
認定分野(21分野)
救急看護 | 感染管理 | 接触・嚥下障害看護 |
皮膚・排泄ケア | 糖尿病看護 | 小児救急看護 |
集中ケア | 不妊症看護 | 認知症看護 |
緩和ケア | 新生児集中ケア | 脳卒中リハビリテーション看護 |
がん化学療法看護 | 透析看護 | がん放射線療法看護 |
がん性疼痛看護 | 手術看護 | 慢性呼吸器疾患看護 |
訪問看護 | 乳がん看護 | 慢性心不全看護 |
まとめ~特定分野のキャリアを求めたいなら資格取得を
認定看護師は金銭的な優遇を期待して取る資格ではなく、特定の分野に興味を持って勉強を続けていこう、という意欲がある人が取る資格です。
病院に規定がある場合は手当が出ることもありますが、ほとんどの場合給与面での変化はありません。
費用、時間がかかりますので、転職に有利だからなどの気持ちで目指すのはオススメできません。
看護師としてのキャリアを特定分野に求めたいと思ったら、是非挑戦してください。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ