病院は、他人に知られたくない個人の秘密があふれています。安心して病院を利用できるよう、病院では個人情報保護のためどのような配慮が行われているのか、自分の個人情報がどのように扱われているのかをご紹介します。
看護師の個人情報保護への対応3つのポイント
病院では個人情報保護も行き過ぎると、カルテの取り違いなどの重大なミスが起こりかねない危険も、ないとは言えず難しい問題です。
- システムの変化で戸惑う患者さんや家族に気を配る
- 「何をどこまで?」と悩んだ時は個人情報保護法のガイドラインとマニュアルを検討
- 個人情報保護と医療事故予防のバランスをみきわめる
システムの変化による戸惑い
患者さんの呼び出しが、お名前から番号にかわり、番号を忘れてしまった、わからないという患者さんも多くなりました。その対応に時間を取られてしまうこともあります。
高齢の方から、「番号なんかわからん。名前で呼んで」と言われることも。自分が番号になってしまうのも嫌なんでしょうね。
電光掲示板で順番を知らせたり、番号で呼んだりするので、自分の番号を覚える、呼び出しに集中すると言った緊張が続くのは、慣れないと身体によくないかも。
ガイドラインとマニュアルで確認
個人情報保護法のガイドライン、各病院のマニュアルを熟知して、「このケースは?」と迷った時にどこを見れば良いか知っておくことが大切。
家族や親戚、職場などからの症状の問い合わせも多いですが、病院ごとに対応が違うことが多いので、転職をした時は必ずその病院のマニュアルを確認します。
外部からの電話の取次
- 入院を知っている方からの電話では、相手からのメッセージを患者さんに伝える。
- 入院しているかどうかの問い合わせには、「答えられない」と説明する。
のが適切です。
こんなケースもあります。
入院されているのを知っていて、お見舞いに行きました。病室を尋ねた所「そのような方は入院されていません」
患者さんが、お名前を非表示扱いにされていたからです。ご本人に連絡をとり病室を伺ったのでお見舞いはできました。病室の入り口にも、名札の表示はなく、「在室」とだけ。
面会制限で会いたくもないお見舞客をシャットアウトできるのは、患者さんに取っても良いことです。
患者さんの名前が書かれたものは、見えないようにする
例えメモでもシュレッダー廃棄、使用済みの点滴のボトルや薬袋などの名前も、全て消して廃棄します。
カルテや患者さんの名前が入った書類は、人の目に触れない場所に置き、席を離れるときは伏せておく。
点滴の輸液ボトルなど、廊下に置いておくのではなく、準備したらすぐにベッドサイドへ届ける。
個人情報保護と医療事故予防のバランス
輸液ボトルの名前は消してから廃棄、それなら最初から名前を小さめにすれば消すのも楽。と思いますが、名前の読み違いによる取り違えの危険もあります。
どの患者さんのものか、はっきり解ることも重要。
患者さんの取り違え
先日も画像の取り違えで、必要のない手術で乳房の全摘をされてしまった事故がありました。原因を究明し、二度と起こらないよう防止しないといけないです。
ナース同士の会話でも、患者さんの前で他の患者さんのことを伝えることも有ります。その際例えばイニシャルで患者さんを認識していた場合に、同じイニシャルで、違う患者さんの話をしてしまっていることも。
「Kさん、手術ですよね」
「そう、Kさんは第1オペ室」
「え、Kさんは第2だよ」
「違うって、Kさんは第1!」
お互いが違うKさん、K山さんとK下さんの話をしていたのです。こんなことが起こりかねません。
個人情報保護は大切ですが、勘違いや取り違えには最善の注意を持たなくてはいけません。
まとめ~病院の個人情報保護への配慮
個人情報保護法が2005年に施行された当初、患者さんもスタッフも戸惑うことが多かった。
現在はシステムの変更にも慣れ、患者さんの戸惑いも少なくなっていますが、まだまだなれない方もいらっしゃる。
看護師は患者さん、ご家族が利用しやすい安心できる病院であるよう、個人情報保護に配慮しつつ、対応しています。
個人情報の漏洩や、行政側の利権がらみの醜態、はやくも詐欺事件も発生していますが、昨年からいよいよマイナンバーが動き出しました。病院の受信履歴や病歴なども含まれるし、運営、管理を厳格に行ってもらわないと困りますね。
病院における個人情報保護のガイドライン
個人情報の保護に関する法律が完全施行されたのは、2005年の4月です。
病院における個人情報保護のガイドラインは厚生労働省、全日本病院協会のHPに詳しい資料がありますので、知りたい方は下記をクリックされてください。
「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」
(平成22年9月17日改正)
「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」
に関するQ&A(事例集)(平成25年4月1日改定版)
厚生労働省
全日本病院協会
「Anのひとりごと」~今日も1ページ