健康と日々の徒然~Anのひとりごと

心と体の健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

肺炎、感染予防と注意点~高齢者の肺炎の症状をみのがすな

肺炎は日本人の死因、2011年から3位となり、今後も増えると予測されています。肺炎による死亡は高齢になるほど多いのが特徴です。高齢者の介護をされる方などに、知っておいて欲しい肺炎の感染、予防、注意点などについてお伝えします。

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高齢者に肺炎による死亡が多い理由

高齢になるほど肺炎による死亡が多いのは、

  • 肺炎を起こす病原体が気道(気管や気管支など)に侵入した場合、それらを排出する力が衰えている
  • 加齢により、全身の免疫機能が低下しているため、病原体に感染しやすい

事により、肺炎を起こすと重症化するケースが多くなるためです。また、高齢者は、肺炎を起こしても、症状がでにくく、肺炎に気づきにくいことも背景にあります。

高齢者の他にも肺炎に感染しやすい人がいるので、注意が必要です。

 

平成26年度 (2014年)

死因 死亡数
悪性新生物 370,131
心疾患 195,933
肺炎 120,846
脳血管疾患 111,875

出典:性別に見た新順位別死亡数 平成 27 年 人口動態統計月報年計(概数)の概況 - 厚生労働省 pdf P11

 

肺炎に感染しやすい人と予防

全身の免疫力が低下しやすく、肺炎を起こしやすいのは

  • 65歳以上の高齢者
  • 糖尿病のある人
  • 肺、心臓、肝臓、腎臓に持病がある人
  • ステロイド薬、抗がん剤、免疫抑制薬などを使っている人

などです。

特に肺の持病がある人は、気道の粘膜が弱くなっているために肺炎を起こしやすく、重症化しやすいので、注意が必要です。

肺炎の予防には、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンの接種、生活上の注意などがあります。

 

ワクチンの効果

高齢者の場合、かぜやインフルエンザの後に肺炎を起こすケースも少なくありません。一方若い人の場合は、インフルエンザのウイルスが肺胞にも感染して強い炎症を起こし、ウイルス性肺炎になるケースもあります。

ワクチンの接種で、肺炎の原因ともなるウィルスや細菌感染を予防します。

 

インフルエンザワクチン 

インフルエンザによる気道の炎症が肺炎を起こすきっかけになりやすいので、インフルエンザの流行前、通常であれば10~12月上旬に予防としてインフルエンザワクチンを接種します。

ウイルスの型は毎年少しずつ変化するので、毎年摂取することが進められます。

 

肺炎球菌ワクチン 

肺炎球菌も肺炎の原因になりやすく、ワクチンの接種で感染を予防します。このワクチンを接種しても、肺炎の発症を完全に予防することはできませんが、肺炎球菌による肺炎の重症化や死亡を抑えることが期待できます。

特にインフルエンザワクチンと肺炎球菌も両方を接種すると、重症化や死亡率を下げる効果があるとわかっているので、特に高齢者は両方のワクチンを接種することが進められます。

また、肺炎球菌は乳幼児が保菌者となりやすいので、お孫さんからの感染を防ぐために、一緒に遊んだりした場合などは、良く手を洗うようにしてください。

 

肺炎球菌ワクチン定期接種

平成26年10月1日から、高齢者を対象とした、肺炎球菌ワクチンの接種費用が一部公費で負担される定期接種が開始されました。

平成31年3月31日まで、毎年対象となる年齢の方が、受けられます。この定期接種は1回限りですので、対象となる年齢を確認してください。今年度の対象者は以下のとおりです。

肺炎球菌には 93 種類の血清型があり、平成26年10月からの定期接種で使用される「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」は、そのうちの23種類の血清型に効果があります。また、この23種類の血清型は成人の重症の肺炎球菌感染症の原因の約7割を占めるという研究結果があります。
(病原微生物検出情報IASR 「<速報>2013年度の侵襲性肺炎球菌感染症の患者発生動向と成人患者由来の原因菌の血清型分布」を参照)

 

ワクチンの定期接種(平成28年4月1日~平成29年3月31日)

対象者 生年月日
65歳となる方 昭和26年4月2日生 ~ 昭和27年4月1日生
70歳となる方 昭和21年4月2日生 ~ 昭和22年4月1日生
75歳となる方 昭和16年4月2日生 ~ 昭和17年4月1日生
80歳となる方 昭和11年4月2日生 ~ 昭和12年4月1日生
85歳となる方 昭和 6年4月2日生 ~ 昭和 7年4月1日生
90歳となる方 大正15年4月2日生 ~ 昭和 2年4月1日生
95歳となる方 大正10年4月2日生 ~ 大正11年4月1日生
100歳となる方 大正 5年4月2日生 ~ 大正 6年4月1日生

出典:厚生労働省 肺炎球菌感染症(高齢者)

 

生活上の注意

日常生活で肺炎予防のため、以下の事を心がけるようにしてください。

  • インフルエンザの予防
  • 不摂生をしない
  • 持病の治療
  • 禁煙
  • 誤嚥を防ぐ

インフルエンザの予防 

ワクチン接種の他、流行期には こまめな手洗い 部屋の保湿、保温、換気を十分に行う 人混みを避ける

 

不摂生をしない 

免疫力を下げないために 睡眠を十分に取る 過労や不規則な生活を避ける 

 

持病の治療 

糖尿病 肺、心臓、腎臓、肝臓の病気は重症化しやすいのできちんと治療を受ける

 

禁煙 

喫煙は、非喫煙の約4倍も肺炎を起こしやすいという報告があります。たばこに含まれる有害物質で気道の粘膜が傷つけられ、そこに病原体が感染しやすくなるためです。1日も早く禁煙しましょう。

 

誤嚥を防ぐ 

誤って食べ物や唾液が食道ではなく気管に入るのがご縁です。睡眠中などに無意識にご縁が起きてしまうこともあります。

若い人は自然に排出する機能が働くので大事には至りませんが、高齢者の場合、その機能が衰えるので、口の中の細菌などにより肺炎を起こすことがあります。

特に寝たきりの高齢者、脳血管障害などの持病がある人は、誤嚥を起こしやすく、本人や家族など介護者の注意が必要です。寝たきりの方の誤嚥を防ぐには、

  • 体を少し起こしてゆっくり食事を取る
  • 歯磨きなどで口の中を清潔にする

などが大切です。

 

肺炎の原因と症状

肺炎は、かぜやインフルエンザと同じように感染症の一つですが、感染する病原体や感染する部位、症状などが異なります。

 

かぜやインフルエンザ 

原因となる病原体は主にウイルスで、鼻や喉、気管や気管支などに感染し、炎症を起こす場合が多い。

 

肺炎 

原因となる病原体は様々で、それらが肺の奥まで入り、気管支の末端やその先にある肺胞に感染して炎症を起こします。ガス交換*に障害が生じ、息苦しさを感じます。

*ガス交換: 酸素と二酸化炭素の交換

 

高齢者の肺炎の原因は肺炎球菌が多い

高齢者の場合、細菌による肺炎が多く通常の生活(市中肺炎)を送っている人の場合は、肺炎球菌による肺炎が最も多いと言われています。

肺炎球菌は、肺から血液に侵入しやすく、一旦血液に入ると血流に乗って全身をめぐり、全身に感染症を起こす危険があります。進行は非常に早く、場合によっては数時間で全身に広がり、生命に関わることもあります。

 

症状

  • 38℃以上の高熱
  • 咳、濃い色の痰が出る
  • 息苦しさを感じる
  • 胸が痛い
  • 1週間以上治まらない

肺胞は酸素と二酸化炭素を交換する(ガス交換)役割をになっているので、肺炎が進行すると、その機能が損なわれるて、これらの症状がでます。性や痰などの症状は風邪とにていますが、1週間以上収まらないことも、肺炎を疑う兆候です。

インフルエンザで炎症を起こし、気道の粘膜が傷つくと、肺炎の原因となる病原体に感染しやすくなります。特に高齢者はもともと気道の粘膜が弱まっており、インフルエンザで更に粘膜が傷つけられるので感染しやすくなります。

高齢者は、かぜやインフルエンザにかかった後に、肺炎を起こすケースも少なくありません。インフルエンザが治っても、調子が悪い、かぜが長引くなどと思っていたら、肺炎だった、というケースもよく見られます。

 

高齢者で注意したい症状

肺炎を起こしやすいことに加え、高齢者は肺炎を起こしても

  • 咳をしたり、痰を出す力がない
  • 脳の発熱中枢が刺激されにくい

ことなどにより、咳、痰、発熱などの症状が出にくいため、肺炎に気づきにくいことがあります。

  • 食欲がない
  • ぐったりしている
  • 普段と違い、活動に乏しい

などの症状がある場合は、肺炎を疑って医療機関を受診してください。

 

肺炎の治療

原因となる病原体にあわせた抗菌薬を選びます。病原体が分からない場合は、発病したときにいた場所や地域における耐性菌の状況などを幅広く考え合わせ、病原体を推測して抗菌薬を選びます。

高齢者では、状態が良ければ外来で治療を行うケースもありますが、通常は入院して点滴による抗菌薬で治療します。

 

まとめ~高齢者の肺炎予防

脳卒中を抜いて日本人の死因第3位となった肺炎、今後増加することが予測されています。

高齢になるほど増加し、症状が出にくいため気づくのが遅れて重症化、死亡に至るケースが少なくありません。

高齢者を介護、看護する機会も増えていますので、周囲の人が高齢者の変化に素早く気付ける環境が大事でしょう。

予防にはインフルエンザ、肺炎球菌のワクチン接種も勧められます。特に高齢者は両方の接種を勧めます。

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