健康と日々の徒然~Anのひとりごと

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肌がピリピリ痛い、赤い発疹も~帯状疱疹の痛みを緩和、応急処置は?

肌がピリピリ痛い、赤い発疹ができる帯状疱疹は、積極的に治療を行わない場合、痛みが残ったり、治るまで1か月ほどかかったりします。かかると厄介な帯状疱疹の特徴や治療についてお伝えします。

肌がピリピリ痛い、赤い発疹も~帯状疱疹の痛みを緩和、応急処置は?

帯状疱疹の特徴と治療

体の片側に赤い発疹が帯状に並ぶ症状から、帯状疱疹という病名がつきました。日本人の5~6人に1人が一度はかかることがある、と言われている皮膚の疾患です。

20~30歳代、50~60歳代に多く見られます。これは帯状疱疹の発症の仕組みが背景にあります。

多くの場合、発疹が出る5~6日前から神経痛のように肌がピリピリ痛い疼痛が起こります。

その後皮膚表面の赤みがますとともに、痛みが少しずつ強くなります。しばらくすると赤い発疹ができ水ぶくれになります。

治療は薬を用います。予防のため水痘ワクチンの接種も検討されます。突発的な痛みには、家庭でできる応急処置の仕方を覚えておくと良いでしょう。

 

痛みを緩和する治療

帯状疱疹の治療目的は3つ

  • ウイルスの増殖を抑える
  • 皮膚の炎症を抑える
  • 痛みを抑える

ことです。

それぞれ薬を用いて治療が行われます。

近年、水痘ワクチンの接種で帯状疱疹が発症しにくく、また発症した場合でも重症化しにくい効果があることがわかってきました。

50歳以上の人で、多忙・ストレスの多い場合など、予防ワクチンの接種が勧められます。

家庭でできる痛みの応急処置

治療を勧めているときでも、突然激しい痛みに襲われることもあります。そのような場合は、以下のような応急処置の方法を覚えておくと良いでしょう。

痛みに対する応急処置

  • 冷やす 
    炎症が強い時は、保冷剤を乾いたタオルなどに包んだもので患部を冷やす。
  • 温める 
    潰瘍ができたら、お質剤などで患部を温める。血液循環が良くなり、治りが早まる。
  • 圧迫する 
    突発的な激痛が起きた時は、その部位を手で圧迫する。

治療中は無理をせず、体を休めることも大切です。

早期治療で重症化を予防

治療開始が遅れたりして重症化すると、後遺症が起こることがあります。後遺症を起こさないためには、早く受診して治療を開始することが重要です。

症状に早く気づき、すぐに受診するためのポイントは

注意したい症状

  1. 体の左右どちらかに退場にピリ入りした痛みや違和感を感じる
  2. 痛みが5~6日続いている
  3. 痛みのある部分に赤い発疹が出た

1.の段階では帯状疱疹以外の病気も考えられます。

2.に気づいたら様子を見ます。

3.の段階では、すぐに皮膚科を受診してください。

顔面神経麻痺、難聴 
帯状疱疹が顔、顎から首にかけて起こると、顔面神経麻痺や難聴につながることがあります。

帯状疱疹後神経痛 免疫の働きが弱くなっている中高年では、皮膚の症状が落ち着いても、痛みが3か月以上続く場合があります。中には3~10年痛みが続くことも。

初期に重症な場合ほど起こりやすいとされ、初期の抗ウイルス薬での治療が重要と言われています。

帯状疱疹の主な治療法

ウイルスの増殖を抑える 抗ウイルス薬
皮膚の炎症を抑える 抗炎症薬 抗菌薬
痛みを抑える 鎮痛薬 抗うつ薬 ステロイド薬 抗けいれん薬 神経ブロック

ウイルスの増殖を抑える 
ウイルスの増殖を抑えるために、抗ウイルス薬が使われ、内服薬と点滴があります。

内服薬は軽症でも初期から服用することで、重症化を防ぐ効果が見られます。一般に5~7日の服用で症状がおさまります。

治療の開始が遅れ重症化している場合、免疫不全の人の場合は、入院して点滴を行うことがあります。

皮膚の炎症を抑える 
炎症を抑えるには抗炎症薬の服用が一般的です。

ただし、様々な種類があり、抗ウイルス薬との飲み合わせで副作用が起こることがあります。必ず医師に処方されたものを服用してください。

可能したり潰瘍ができたりした場合には、2次感染を予防するために、抗菌薬の外用薬を使うこともあります。

痛みを抑える 
痛みの治療は、鎮痛薬、抗うつ薬、ステロイド薬、抗けいれん薬などを内服します。

抗けいれん薬や抗うつ薬は、帯状疱疹後神経痛の予防にも役立つため、高齢者の場合は、初期治療からの服用が進められるようになってきています。

痛みが強い場合は、神経ブロックなどの治療を行うこともあります。

※神経ブロック 局所麻酔で一時的に神経を麻痺させ、痛みの伝達をブロックする療法です。麻酔科やペインクリニックで行います。

帯状疱疹は感染る?

帯状疱疹から帯状疱疹が感染ることはほぼありませんが、水痘帯状疱疹ウイルスに感染していない人は、水ぼうそうを発症することがあります。

場合によっては空気感染することもあり、また、水ぶくれができている間は接触で感染る可能性があります。

水ぼうそうにかかったことがない人や、乳幼児、免疫力の落ちている高齢者には特に注意が必要です。

仕事を休まず周りから非難されたケースもありますし、ストレスや疲労が症状を悪化させることもあります。できれば安静にすることが望ましいです。

水ぶくれができている間は、お風呂もシャワーですませるなどの対処が望まれます。

人と接する仕事の場合特に注意を

医師、看護師、介護士、保育士、ヘルパーなど、人と接する仕事に従事している場合は、感染には十分注意する必要があります。ピリピリ痛い、ちょっと赤いなど最初の変化に素早く気づき、対処することが大切。

また、周りに感染者がいる場合は、予防を徹底してください。

体に発疹ができていたら…裸はご勘弁

体中に発疹があったら入浴施設は避けましょう

発疹が体中に出ている人が入浴施設に居たら…一瞬「わっ!」と思うのが一般的な反応だと思います。「うつらないかしら?」「何の病気?」「同じ湯船に入って大丈夫なんだろうか」などなど。

通常何かしらの疾患がある人は、温泉やジムなどの入浴施設を利用するのは控える、とは思いますが、中には普通通り入浴される方もいらっしゃいます。

ご本人は大丈夫、と思っていても何もわからない周りの人はやっぱり不安に思うもの。

体に何かしらの異常がある時は、例え感染などの問題はないとしても、大勢の人がはだかで利用する場所は避けてほしいなあ、と思うのですが、どうでしょうか。

帯状疱疹を発症している場合は、治るまでは家庭でシャワーを。

感染対策

水痘帯状疱疹ウイルスは主に接触感染で、潰れた水ぶくれ、広い範囲の水ぶくれがある場合は特に感染しやすい状態です。水ぶくれに触れた衣服などの扱いにも十分注意が必要です。

また、近くにいると空気感染する可能性もあります。帯状疱疹にかかったら、手洗い、うがい、マスク、できるだけ人と接触しないようにしましょう。

感染者の家族や介護をする人は、体液や粘膜に直接触れないように注意が必要です。

50歳以上の人は、水疱瘡ワクチンの再接種が保険適用となりますので、受けておくことをお勧めします。

予防接種

水ぼうそうの予防接種は、1歳以上3歳未満のすべての子供を対象に、2回のワクチン接種をする定期接種(全員が打つように定められています)が、平成26年から行われています。

2回ワクチンを打った場合は予防の効果が期待できますので、忘れずに受けてください。

受けた日も母子手帳などにきちんと記録しておきます。

ワクチン接種は自分のためだけでなく、人にうつして感染を広げないためにも重要な手段です。

 

発症のメカニズム

帯状疱疹は過去に感染した「水痘帯状疱疹ウイルス」により起こります。水ぼうそうは多くの人が子供の頃にかかる病気です。

全身に症状が現れますが、抗ウイルス薬による治療や、免疫の働きで症状は収まります。

しかし、ウイルスは死滅せず皮膚から神経を伝わったり、血液の流れに沿って知覚神経の奥の「神経節」に潜伏しています。このウイルスが再び活動を始め、皮膚に症状を起こし帯状疱疹を発症します。

ポイント

  • 帯状疱疹発症のメカニズム
  • 子供の頃水ぼうそうにかかる
  • ウイルスが神経細胞に潜む
  • 免疫記憶細胞がウイルスの活動を押さえ込む
  • 20年ほどたつと免疫記憶細胞の数が減少
  • ウイルスが活動を再開し発症

特定の年代に発症が多い理由

ウイルスが活動を再開する理由ははっきりとはわかっていません。神経節に潜んでいるウイルスは、免疫記憶細胞がウイルスの活動を押さえ込んでいます。

この免疫記憶細胞の数が、20年ほどたつと減少することが原因と考えられています。

20~30歳代に発症する人が多いのは、初めて水ぼうそうにかかった頃から20年ほどたってから発症するためではないかと考えられています。

また、中高年では、免疫記憶細胞が減少、更に免疫の働きが低下する要素が増え、ウイルスの活動が活発になり発症することが増えると考えられています。

これらの年代は、周りに感染者が少ない傾向にあることも背景にあります。抗体を持った人が少ないため、免疫が低い人は感染しやすい状況にあるからです。

ポイント

発症のきっかけと考えられているもの

  • ストレスや過労
  • 糖尿病、膠原病、腎障害、重症アトピー性皮膚炎、喘息などの持病
  • 妊娠

発疹が出やすい部位

発疹が出やすい体の部位

ウイルスが再活性化されると神経節内で増殖し、知覚神経を伝わって皮膚の表面に出てきて、表皮細胞に感染してそこで更に増殖します。

そのため発疹は通常、知覚神経に沿って現れます。発疹が出やすい部位は

  • 下腹部
  • 背中

などです。

体の片側だけに出る特徴がありますが、理由は明確ではありません。ウイルスが神経を破壊しながら移動するため、ピリピリ痛い疼痛が生じるとされます。

発疹の変化(治療を受けていない場合の例)

  • ピリピリ痛い場所が少し赤くなる
  • 2日めくらい 赤いポツポツが水ぶくれになる
  • 6日めくらい 水疱の周囲が赤くなる
  • 9日目くらい 嚢胞ができる
  • 14日めくらい 潰瘍になる
  • 約3週間 かさぶたが脱落し治る

6日目くらいでは、ウイルスとそれを抑えるための免疫記憶細胞が活発に活動、炎症が起きています。9日目くらいでは、ウイルスの活動が押さえられています。

 

まとめ

ピリピリ痛い疼痛が続く、赤い発疹、水ぶくれなどの症状の帯状疱疹は、早期治療で重症化を防ぎ、後遺症の予防することが大切です。

早く気づくために注意したい症状を知り、早期に治療を開始しましょう。

免疫力が低下している高齢者は、ワクチン接種を保険適用で受けることができますので、是非検討してください。

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参考: 皮膚科Q&A ヘルペスと帯状疱疹 日本皮膚科学会