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ナースほど誇れる仕事はありません

ナースダイアリー・超忙しい看護師のひとりごと

円満退職のために知っておくべき労務管理のルール~転職の注意点

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看護師は他の職種に比べ、離職率が圧倒的に高いのですが、退職にあたり様々なトラブルも起きています。転職先が決まっているのに、なかなかやめさせてもらえない、というケースも。円満退職につながる退職時の労務管理についてお伝えします。f:id:lady-jhones:20160619232458p:plain

円満退職でスムーズに転職するには

実際は転職が決まっていて辞めたい場合、本音をいうことは少ないですが、はっきりとした理由を言えずに、引き止めにあったり、退職手続きに不備がありトラブルになることも。転職先への入職日が伸びてしまったり、転職自体が失敗してしまったりすることも少なくありません。

円満退職してスムーズに転職をするためにも、退職時の労務管理ルールを確認することが重要です。

【円満退職3つののポイント】

  • 退職手続きの基本プロセスを踏む
  • 有給休暇は計画的に取得しておく
  • 業務引き継ぎをきちんとする

詳細は、以下で解説しています。

退職時の労務管理ルール

雇用の管理面から見た医療機関の最大の特徴は、入職・退職の処理が他の職種に比べ、群を抜いて多いことです。退職手続きのルールがきちんと周知されていなかったり、管理者、辞めたい看護師双方に認識の違いがあったりすることもあります。退職手続きの基本とよくあるトラブルの対処法、円満退職のコツを簡単にまとめました。

退職手続きの基本

手続きの方法は、施設により多少の違いはありますが、一般的な手順は後述するプロセスのようになっています。このプロセスを踏むことで退職は組織として決定されます。この流れをスムーズに進めば、特にトラブルは起こりません。

看護師側の辞めたい意志と施設側の事情とのどこかに、行き違いが出てくると、トラブルとなります。これには「退職願い」と「退職届」の2種類を正確に把握していないために起きたケースが多いです。

退職時のトラブル事例

退職に係るトラブルでありがちな4つの事例について、ご紹介します。管理者側からみた労務管理上の問題点ですが、辞めたい看護師にとっても注意すべき点とも言えます。

  • 退職の申し出方法
  • 即日退職の申し出
  • 有給休暇処理
  • 業務引き継ぎ

*詳細は後述

退職手続きの基本プロセスとトラブルの対処法

退職手続きの基本プロセスは

  1. 職員が直属の管理者(病棟の師長など)に「退職願い」を提出し、退職の意志を申し出る
  2. 上司は「退職願い」をいったん預かり、更に上位の管理者(看護部長)などに相談する
  3. 退職日を決定し、辞めたい看護師に伝える
  4. 看護師は退職日を記載した「退職届」を直属の管理者に提出する

退職願いと退職届

同じ意味で取り扱っている施設も多いと思います。多くの場合は問題なく機能しているようですが、厳密には取り扱いが異なります。管理者側、辞めたい看護師の理解が異なるために問題がこじれる場合も無いとは言えません。

  退職願い退職届
目的 合意により労働契約を解約することを申し出ること 退職手続き上の書類、または最終的な意志の通告
撤回の可能性 あり なし

退職願い

  • 退職の意思表示を行う段階で提出する書類
  • 施設側に退職のお伺いを立てるという意味合いが強い
  • 施設の承諾権限者が「退職願いを承諾する」という意思表示を行う前は、撤回することができる

退職届

  • 承認権限者が承諾した退職における手続き上の書類
  • 退職に対する本人の強い意志を表明するときに用いる書類
  • 退職届を提出した後の撤回は、特段の事情がない限り許されない

退職手続きの基本プロセスの取り入れ

退職願いと退職届が同じ意味で取り扱われていたり、申し出の方法が曖昧であったりすると、行き違いなどが起こりトラブルに繋がりやすくなります。

トラブルが起きた場合その対処には、退職手続きの基本プロセスが取り入れられていることが重要です。

よほどの理由がない限り、まずは「退職願い」を管理者があずかり、退職の慰留も含め本人と良く話しあう時間を取ることが大切です。管理者として、辞めたい看護師の退職に友な混乱を最小限に抑えるポイントとなります。

口頭やFaxによる退職の申し出

辞めたい看護師の中には、退職願いを提出せず、口頭で意思表示を済ませようとするものもやFAXで退職届を送信、という事例もありました。こういった事例を認めていると、組織としての規律に問題が生じかねませんし、誤解や行き違いなどのトラブルのもとです。

退職手続きの基本は、前項のように、退職願いを提出の上、上司である管理者に届け出るのが、社会通念上でも常識とされています。

口頭の申し出は無効

一般的に就業規則には

「職員が退職するときは退職自由を記した退職願いを提出し、施設の承認を受けなければならない」といった規定が定められており、過去の裁判例でも、口頭の申し出は無効と解されています。つまり、看護師が辞める際に、

  • 施設側は善後措置をこうじて運営上の混乱を避ける
  • 退職という雇用関係上最も重要な意思表示について、後々に疑義を残さないために書面にして提出すべきである
  • 書面による退職の申し出が無い限り、退職者として取り扱わなくても良い

という解釈があります。

FAXによる申し出

退職願いは常識的には自筆で署名、捺印し、白封筒に入れて提出するものです。FAXで送られてきたものでも、本人により提出されていることが明らかな場合は、特に問題ではありません。

しかし、手続き上の問題が無いとはいえ、非常識とも取れる退職願いの提出方法を認めると、組織としての規律に問題が起きかねません。健康上の問題などがない場合は、退職願いは管理者宛に手渡しで提出することを、周知徹底することが望ましいと言えます。

 

即日退職の申し出

 

本日を持って退職し、明日から出勤しません

 

就業規則に「自己都合退職は、退職希望日の◯ヶ月前までに申し出ること」とあるのでそれに従うこと

 

 

どちらの言い分も通らない可能性が高いです。民法第627条によります。

退職の効力は、申し出から2週間後に成立

民法第627条では、退職の効力は申し出をした日から2週間後に成立するとされています。今日でやめます!と言っても施設側が拒否すれば、申し出は成り立ちません。一方、就業規則に例えば3ヵ月前というルールも、民法の定めた優先し、3ヶ月間の身分拘束はできない、という考え方が優位です。(諸説あります)

即日退職の申し出を受けた場合、看護管理者はその場で申し出を拒否した上で、辞めたい看護師と退職日について、よく話し合うことが大切です。

有給休暇の処理

有給休暇が退職時に残っている場合、退職日までにすべての有給休暇を消化したい、という申し出は常勤看護師の場合、拒否することはできません。

退職時の有給休暇対策は、計画低付与の制度を活用するなどして、有給休暇の取得を促進することなどが挙げられます。パートの場合は、場合によっては拒否することができます。

有給休暇を取得できない日

有給休暇は、職員の労働義務を免除し、体や精神を休養する日をあたえることです。従って、日曜日が公休日とされているような、労働義務の無い日に与える必要はありませんので、取ることもできません。

【パート職員の場合】
常勤の看護師には関係ありませんが、参考としてパート職員の有給休暇についてもまとめておきます。パート職員の場合、シフト制の勤務では、毎月の勤務表が作成された時点で、当月の勤務日が決まります。つまり、勤務が確定していないうちは、労働義務が無いので有給休暇は取得できません。

但し、毎週月・水・金野勤務のように、予め勤務日が確定している契約の場合は、有給休暇の申し出を拒否することはできません。パート職員の契約は、なるべく毎月の勤務表によって確定する、という形態にすることが、管理者側からみた有給休暇対策として望ましいといえます。

退職時の業務引き継ぎ

退職する看護師には、業務の引き継ぎをきちんとしてもらわなければ、施設の正常な運営に支障をきたします。しかし、看護師によっては、退職の申し出をした時点で集中力や誠実さを書いてしまったり、業務引き継ぎをきちんと行わなかったりするケースもあります。

そのような事態にならないために、職場における業務引き継ぎに関するルールを、普段から周知徹底しておくことが必要です。

就業規則に業務引き継ぎルールを

退職が決まった看護師が、きちんと業務引き継ぎを行えば問題はありません。しかし中には転職先のことを考えて、上の空状態になってしまうケースも無いとは言えません。そのような場合、注意しても半ば手遅れのような形になってしまうので、業務引き継ぎのルールを作り、周知徹底しておくことが重要となります。

【就業規則に盛り込む】
部署異動や退職の際には、後任者に業務引き継ぎを責任を持って誠実に行うこと」などの条文を服務規律に盛り込み、これに反するような行動を取った場合は、懲戒処分に処することもある旨を、懲戒の条文に歌っておきます。

業務引き継ぎをきちんと行わない場合は、退職直前といえども、始末書提出、出勤停止、減給などの懲戒処分をもち、抑止力とします。

就業規則をたてにとり処分することが目的ではなく、日頃から周知徹底しておくことで、業務引き継ぎをきちんと行える職場の風土づくりをしていきます。

退職時のトラブル回避

退職手続きの基本プロセスをルール化し、実行することでトラブルの発生を予防することは可能です。ルール違反は辞めたい看護師だけでなく、管理者側でも起こります。毅然とした態度が求められることもあり、看護管理者が対応に手間取って、いたずらに時間が経過し問題が深刻になってしまうことも少なくありません。

基本的な事項をしっかりと頭に入れ、問題が起きた場合は初動の段階で適切な対応をしていれば、ほとんどのトラブルは回避できます。

まとめ

退職手続きの基本プロセス、トラブルの対処法は、主に施設側、管理者側からみた観点です。辞めたい看護師からみた場合はどうなるのか、そこを考えると円満退職のポイントが見えてきますね。辞める理由はネガティブにならないことも重要です。

「ナースのひとりごと」~今日も1ページ