健康と日々の徒然~Anのひとりごと

心と体の健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

誤解しないで付き合って☆睡眠薬副作用の誤解トップ3と睡眠の質

不眠に悩む人は多い。しかし不眠が有っても医療機関で相談する人は少ないのが現状です。そこには薬物療法で用いられる睡眠薬の副作用に対する、誤解や偏見も否めません。睡眠の質、生活の質を改善するためにまず、誤解をときましょう。

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睡眠薬の副作用、誤解していませんか

睡眠障害、不眠は放っておくと生命に関わる病気を誘発するリスクもあリます。正しい知識を持つことで、治療への不安を払拭、睡眠の質を高めて生活の質(QOL)も改善しましょう。

睡眠薬は「睡眠薬は副作用が怖い」と不安を持つ人も多い。睡眠薬は正しく理解して使えば、眠れないことの苦しさからも開放され、睡眠の質も改善して、生活の質も上がります。

睡眠薬の種類や効果について、わかりやすくまとめました。睡眠薬は怖いものではありません。まず、睡眠薬の副作用に対する誤解を解くことからはじめましょう。

  

睡眠薬の副作用、誤解トップ3

睡眠薬に対する不安や恐怖があると、そもそも医療機関に行かない。行っても治療を拒否したり、結果的に治療が長期化する恐れがあります。 

睡眠薬は医師の指導のもと、適切に使えば安全で心配はありません。不安や恐怖があると適切に使えず、期待する効果がえられなかったり、薬に対する不安が大きくなると不眠の悪化を招くこともあります。 

睡眠薬に対して、よくある誤解と偏見、正しい知識の例を3つ。

 

1.睡眠薬は依存症になる

飲み続けると薬物依存に陥って、辞められなくなるからこわい。確かに以前使われていたバルビツール酸系の睡眠薬は、体制や依存性が生じていました。 

しかし、現在使われているベンゾジアゼピン受容体作動薬は、医師の指示にしたがって服用していれば、長期間飲んでも依存性や耐性は起こりにくくなっています。 

1年以上続けていると、急に辞めた時に副作用が表れやすいので、いずれは薬を辞めたいのであれば、半年ぐらいを目安に使います。 

辞めにくい場合は、抗うつ薬や違うタイプの薬をつかい、徐々に量を減らします。

 

薬を辞めたい時の基本

  • 自己判断で中断せずに、医師に相談する
  • 医師の指導で薬の量や飲む回数を徐々に減らす

薬の血中濃度を少しずつ下げながら、身体を慣らしていきます。「漸減法」「隔日法」「置換法」の3つがあります。 

薬を減らしていく途中で、不眠が悪化する場合は、用量や回数を1つ前の段階に戻し、様子を見ながら再開します。 

 

2.強い眠気が起こる

睡眠薬を飲むとすぐに眠くなり、寝てしまう。という思い込みが多いですが、睡眠薬は強引に眠らせる薬ではありません。薬の血中濃度が高くなった時に、自然に眠れるようになる薬です。

初めは作用が弱い薬を少量から使い始めます。そのため血中濃度が安定するまでには日数がかかり、それまでは眠れないこともあります。 

2、3日飲んでも眠れないからと勝手にやめてしまったり、量を増やしては行けません。

 

薬を飲んだら15~30分以内に寝床に入る

薬を飲んで寝床に入らずにいると、通常では起こりえないことが起こります。

  • 前向性健忘
  • 大暴れする、大食いする、など奇異反応

が現れることがありますが、多くの場合本人には記憶がありません・ 

また、筋肉の弛緩で足元のフラつきが現れ、高齢者では転倒して骨折につながりやすく危険です。 

薬をのんだら、眠くならなくても寝床にはいりましょう。 

 

3.ぼける、生命に関わる

睡眠薬を飲むと、ボケる、物忘れがひどくなる、と思っている人は少なくありません。睡眠薬は「飲んだらすぐに寝床に入る」が基本です。

 

ボケの正体は前向性健忘

半減期の短い薬は、服用後30分から1時間で血中濃度が最高値に達するのですが、眠たくならないから、と起きていると、薬の作用でその時の出来事を記憶できなくなる、「前向性健忘」が現れ、これがボケると誤解されやすい。 

薬の量を増やしたり、アルコールと一緒に飲んだりすると特に強く現れます。

 

認知証予防

睡眠薬で不眠を解消すると、認知証の予防に鳴ることが分かっています。不眠を放っておかずに、睡眠薬で良い睡眠を得ることのほうが認知証になりにくいといえます。

 

生命に関わる

以前使われていたバルビツール酸系の睡眠薬は、大量に飲むと生命に関わることが有りました。 

現在使われているベンゾジアゼピン受容体作動薬は、心臓病など体に重症な合併症がなければ、大量に飲んでも生命に関わることはありません。 

 

不眠に使われる睡眠薬の種類

薬物療法の対象になるのは、

  • 週に3回以上の不眠が1か月以上継続
  • 日中の眠気や倦怠感など

の不眠によって生活の質(QOL)が低下している場合です。 

現在は体制や依存性、副作用が比較的軽減された「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」が主に使われています。 

不眠の程度が軽い人などには、2010年7月から「メラトニン受容体作動薬」も使われるようになって、治療の幅が広がっています。

 

ベンゾジアゼピン受容体作動薬

主に情動や意欲などに関わる脳の「大脳辺縁系」にある「GABA受容体」に作用し、情動や意欲などを抑制することで、脳の活動を鎮め、眠りに導きます。ベンゾジアゼピン系睡眠薬と、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬があります。

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬

催眠作用

抗不安作用(不安を鎮める)

筋弛緩作用(筋肉の緊張を緩める)

ノンレム睡眠ステージ2を増やす

ノンレム睡眠ステージ3,4及びレム睡眠を抑制

 

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

抗不安作用や筋弛緩作用は少ない

ノンレム睡眠ステージ3,4及びレム睡眠を抑制しない

ベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べ、自然な眠りを得られる

 

薬の作用時間による4つのタイプ分け

ベンゾジアゼピン受容体作動薬は、薬の血中濃度が最高値から半分に減るまでの時間の長さ(半減期といいます)で4つに分類されます。

 

超短時間作用型

半減期が2~4時間と短く、主に「入眠障害」に処方されます。交代勤務のある看護師も利用することが多い薬です。

 

短時間作用型

半減期が6~10時間と比較的短く、主に「入眠障害」「中途覚醒」「熟眠障害」の治療に使われます。

 

中間作用型

半減期が20~30時間と長く、主に「早朝覚醒」「熟眠障害」に使われます。

 

長時間作用型

半減期が50~100時間、主に「早朝覚醒」「熟眠障害」の治療に使われます。

抗不安作用が強く、日中の不安の改善にも働きます。

 

睡眠薬の種類は個人差を考慮して選ぶ

薬が効き始める時間や半減期は個人差があります。睡眠薬の選択は、患者さんの活動性や身体の状態などを考慮して行ないます。

 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬

転倒の心配がないホと、不安が強い人、不眠による頭痛がある人など

 

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

筋弛緩作用で転倒の心配のある高齢者、不安が弱い人など 

 

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の主な副作用

睡眠薬は副作用があるから怖い、と思われがちですが、薬を適切に使っていれば心配は入りません。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の主な副作用
半減期が長い

持ち越し効果 薬の効果が翌日にもちこされる
日中に眠気やフラつき、脱力感、頭痛、倦怠感など
高齢であるほど現れやすい
筋弛緩作用 筋肉が弛緩することでふらついたり転倒したりする
特に高齢者に現れやすい
半減期が短い


記憶障害 服用後から寝付くまでの間や、夜中に目が覚めた時のことなどを忘れる
(前向性健忘)
反跳(はんちょう)性不眠 飲み続けていた薬を「眠れるようになった」と自己判断で突然中止したようなときに、以前よりもさらに強い不眠が起こる
退薬症状 飲み続けていた薬を、自己判断で突然中止すると、不安やイライラ感、手足の震え、発汗などが現れる
奇異反応 まれに抑制が取れ、興奮したり攻撃性が高まったり、錯乱状態に鳴ることがある
過食やせん妄が見られることもある

 

メラトニン受容体作動薬

メラトニンというホルモンの受容体は、「体内時計」の中枢である「視交叉上核」に幾つかあります。メラトニン状態作動薬は、入眠を促す働きのある受容体、体内時計を整える働きのある受容体に作用します。 

自然な睡眠を引き出しつつ、睡眠と覚醒のリズムを整えます。

 

メラトニン状態作動薬の対象者と副作用について

抗不安作用や筋弛緩作用がないので、不眠症が軽度の人、不安が弱い人、高齢者、認知症の人などに処方されます。 

副作用はまれに、めまいや頭痛が現れますが、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の筋弛緩作用や記憶障害などはありません。

 

まとめ~不眠に悩んでいたら専門機関を受診

不眠は治療せずに放っておくと怖いことをご存じない方が多い。不眠から生活習慣病や、時には生命を脅かす病気を誘発することもあるのです。 

専門機関を受診することが重要ですが、「大したことはない」と考えたり、「不眠治療=睡眠薬」が脳裏をよぎり、薬薬物療法に対して不安を持つことも多く、受診をためらいがち。 

睡眠薬について、正しい知識をもち、適切な治療を受けることで睡眠の質を高め、生活の質を改善することも可能です。 

睡眠障害、不眠に悩んでいたら、ためらわず睡眠外来など、専門機関を受診することをおすすめします。

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