がんは老化現象の一つ。完全に予防することは困難ですが、がんになるリスクを下げることは可能です。40才を過ぎたらがんリスクチェック!現在の生活習慣を改善してリスクをさげる、5つの健康習慣をご紹介。
がんのリスクを下げる5つの健康習慣
がんの予防に重要な要因は「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適性体重の維持」「感染」の6つとされています。
この内「感染」以外の5つは日常の生活習慣に関わるもの。この5つの健康習慣を実施することで、がんのリスクを下げることが可能です。
がんリスクチェック
国立がん研究センターが約10万人に生活習慣について尋ね、20年間にわたってがんになったかどうかを追跡調査した結果、「がんや他の病気につながりやすい生活習慣」、「病気にかかりにくい生活習慣」がわかってきました。
「がんリスクチェック」はその結果から作られたものです。
一般にがんは長い年月をかけて起こってくるので、40歳までにがんになるリスクは高くありません。
その後、年齢が上がれば上がるほどリスクは高まります。リスクチェックは40歳から対象となります。
まず、自分のがんのリスクを知る
がんになるリスクは、国立がん研究センターのホームページにある「がんリスクチェック」で知ることができます。
性別や年令、体格が同じでも、人によってがんになるリスクは異なります。まず、自分のリスクを知り、生活習慣に問題が有れば、それを改善することでリスクは下がります。
がんリスクチェックでは、以下5つのがんのタイプについてチェックすることができます。
リスクチェック | 対象 | 算出するリスク |
---|---|---|
がんと循環器の病気 | 40歳から69歳の男女 | すべてのがん、及び心臓病な脳卒中等循環器の病気に今後10年のうちにかかるリスク |
大腸がん | 40歳から69歳の男女 | 年齢、肥満度、飲酒、喫煙、運動習慣から、大腸がんにかかるリスク |
脳卒中 | 40歳から69歳の男女 | 年齢、性別、喫煙、肥満度、糖尿病、血圧から脳卒中を発症するリスク |
5つの健康習慣によるがん | 45歳から74歳の男女 | 年齢、性別、喫煙、飲酒、食習慣、運動習慣、肥満度から、今後10年の間にすべてのがんにかかるリスク |
胃がん | 40歳から69歳の男女 | 年齢、性別、喫煙習慣、食習慣(塩分)、胃がんの家族歴、血液検査によるヘリコバクターピロリ感染及び、慢性胃炎に基づくABC分類から、胃がんにかかるリスク |
性別、年齢、身長、体重、喫煙、飲酒などについて簡単な質問に答えると、今後10年間にがんになるリスクがグラフと数字で示されます。
また、生活習慣を変えることで、どのくらいリスクが下がるのかもシミュレーションできます。
唾液を採取し、遺伝子から体質や病気のリスクを知る検査キットもあります。
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がんのリスクを下げる5つの健康習慣
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5つの健康習慣とは、
- 禁煙
- 節酒
- 食生活を見直す
- 身体を動かす
- 適正体重を維持する
です。
「リスクを高める要因」を改善することが、リスクを下げることにつながります。5つの健康習慣のうち、何もしない、もしくは1つだけ行った時と、5つとも行った時を比較すると、5つ実践した場合、男性で43%、女性で37%リスクが低下するという報告があります。
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リスクを高める要因
がんは年齢が上がるに連れてリスクが高まります。生涯で癌になるのは、2人に1人と推計されます。
乳がん、子宮がんが30歳代~50歳代で起こりやすいので、男性より女性のほうがリスクが高いです。その他、体格や喫煙、飲酒もリスクを高めます。
体格
太り過ぎ、痩せ過ぎはがんになるリスクを高めることがわかっています。
肥満度を表すBMI(体格指数)とがんのリスクの関係を調べたデータでは、最も多かった「BMI23~24.9」のがんになるリスクを基準とすると、男女とも太り過ぎ、痩せすぎでリスクが高くなっています。
男性では痩せすぎ、女性では肥満の人のほうがリスクが高くなっています。日本人の中高年ががんになるリスクを下げるには、BMIを男性は21~27、女性は21~25に保つように勧められています。
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喫煙
たばこを吸わない人を基準にすると、吸う人のがんになるリスクは約1.5倍高まることがわかっています。
辞めた場合はリスクは年々下がり、20年以上たつと吸わない人と同じくらいまで下がるとされています。
受動喫煙でも肺がんや乳がんのリスクは高くなります。自分だけでなく、周りの人の健康のためにも禁煙しましょう。吸わない人も他人のたばこの煙を避けることが大切です。
自分で禁煙するのが困難な場合は禁煙外来を受診して、相談することが勧められます。健康保険が適用される場合もあります。
飲酒
一週間に飲むアルコール量により、がんになるリスクは異なり、過度の飲酒がリスクを高めることがわかっています。
種類や銘柄によって濃度が異なるので、同じ量を飲んでも摂取するアルコール量は違ってきます。
日本酒一合のアルコール量はおよそ23gで、一日あたりの飲酒量の目安となります。ビールなら大瓶1本、焼酎コップ3分の2、ワインなら200ml相当です。
飲酒についてのデータでは、ときどき(月に1~3回)飲む人を基準とすると、1週間のアルコール量が300gを超えるとリスクが高まり、450g以上飲む人はリスクが1.6倍になります。
一回の飲酒量を23gより多くしたい場合は、飲酒する日数を減らし、1週間あたりのアルコール摂取量を調整しましょう。
食生活
塩分の摂り過ぎ、野菜や果物を摂らない、熱すぎる飲み物や食べ物、などががん、特に胃がん、食道がん、食道炎の原因になることがわかっています。
塩蔵食品、食塩の摂取は最小限にするよう心がけてください。一日あたりの食塩摂取量は、男性8.0g未満、女性7.0g未満が推奨されています。(厚生労働省策定「日本人の食事摂取基準2015年版」)
野菜や果物がリスクを下げるかどうかについては明らかではありませんが、生活習慣病の予防にもつながります。
厚生労働省策定「健康日本21」では1日あたり350gを摂取の目標としています。
身体活動
運動不足は肥満にもつながり、がんになるリスクも高まります。
身体活動量が高い人ほど、がんになるリスクが低下しているという報告があり、心疾患のリスクも低くなるので、可能な限り身体を動かすようにすることが大切です。
厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」で18歳から64歳の人の身体活動について、
- 歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分
- 息が弾み汗を書く程度の運動を毎週60分程度
行うことを推奨しています。
- 65才以上の高齢者は、強度を問わず、毎日40分です。
がんと生活習慣の関係
世界中の研究機関により、がんになる様々なリスクやその予防法が研究されていますが、欧米中心の調査結果のすべてが日本人に当てはまるとは限りません。
日本でもこれまでに行われた大規模調査などを元にして、日本人のための有効ながん予防法の研究がすすめられ、がんと生活習慣の関係について以下の表のようにまとめられています。
科学的根拠としての評価は
- 確実 複数の研究により、因果関係が確実
- ほぼ確実 それよりも確実性が低い
- 可能性あり 示唆する研究はあるが十分ではない
- データ不十分
の4つに分類されています。
がんのリスク・予防要因 評価一覧(一部抜粋)
評価は随時内容の追加や修正が行われています。国立がん研究センターのホームページから最新の評価一覧(pdf)を見ることができます。
出典: 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
がん予防法研究
評価一覧pdf ://epi.ncc.go.jp/files/02_can_prev/evidence/matrix_160831HP.pdf
まとめ~生活習慣の見直しで将来のがんリスクを下げる
がんの予防は完全にすることは困難ですが、生活習慣を見直すことで将来のリスクを下げることは可能です。
まず、がんリスクチェックで、あなたはどんな点を改善すればよいのかを知ってください。5つの健康習慣を実施することで、がんのリスクを下げることはもちろん、健康を維持することにもつながります。
喫煙と毎日日本酒3合以上の飲酒は、どちらもがんのリスクは約1.6倍になることを肝に命じてください。
参考: 本文中の調査や報告、画像等の出典、参照元
がん情報サービス(トップページ) 国立がん研究センター・がん対策情報センター
科学的根拠に基づくがん予防 がんになるリスクを減らすために pdf
//ganjoho.jp/data/public/qa_links/brochure/knowledge/301.pdf
日本人のためのがん予防法
//ganjoho.jp/public/pre_scr/prevention/evidence_based.html
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