「グリーンブック」、marcoさんの映画評を読みいても立ってもいられずに、行ってきました当地の109シネマズ○○。重いテーマがつきまとっているはずなのに、見終わって素敵な気持ちになれる映画です。ぜひ!
映画「グリーンブック」男の友情と夫婦の愛
アメリカ南部の人種差別の歴史は、今までにもいろいろな映画で取り上げられてきました。
グリーンブックでも根幹にこのテーマがあります。
が、それが強く表にでているのではなくなんと言うのでしょうか、何気ない会話や情景で表現されているのがうまいなあ、と思います。実話に基づいた作品です。
人種差別と絆
天才ピアニストのドクと用心棒兼ドライバーのトニー。二人の出会いは運命的だった、と見終わったあと思いました。
黒人差別の強い南部を巡る8週間のコンサートツアー。一緒に過ごしている間に起こる二人の心の変化と絆が響きます。
ドクとトニーの絆もそうですが、トニーの愛妻ドロレスの深い愛情と信頼も素敵。ベタベタした愛情表現は一切ありませんが、ストレートに伝わってくるのは監督の腕、ですよね。
派手さも豪快さもハラハラドキドキもお約束もありません。作品の奥深くには重いテーマが全編に漂っています。
にもかかわらず、それを強く意識させないで人種を超えた男の友情と絆、深い夫婦の愛を表現しているとても心に残る作品です。
第91回アカデミー賞、作品賞・助演男優賞・脚本賞を受賞しました。
タイトルのグリーンブックは「THE NEGRO MOTORIST GREEN-BOOK」という実在した黒人ドライバー(Negro Motorist)向けのガイドブックに由来しています。
監督の腕を感じたシーンたち
冒頭のトニー家でのワンシーン、何気ない日常のひとこまですが…
修理に来ていた黒人二人を巡る親戚一同の言動や、口をつけたコップの扱いで、人種差別、登場人物それぞれの差別の受け止め方などが伝わってきました。
南部、という土地柄を強く意識させられたシーンを2つご紹介。
畑が続く道の路肩でオーバーヒートしてボンネットを開け、水をかけているシーン。
運転手が白人、乗せているのがスーツを着た黒人という光景を畑仕事をしている多くの黒人たちが見つめている。
ツアー最後のレストランでの出来事と、その後立ち寄った黒人専用バーでのシーン。
ドクの本当に楽しそうな笑顔が印象的でした。
重い現実の吐露
また、ドクとトニーが、本当に心からお互いを理解し深い絆で結ばれたと思ったポイントが、警官と一悶着あったあと、雨の中ドクが車から降りて吐き出すように言ったシーン。
作品の中で、一番重い現実の吐露、かなあ。
なんと言ったかですって?それは映画を観てください!でないとあの気持は伝わらないと思います。
エンドロールに向かって
marcoさんもおっしゃっていますが、トニーの家へやってきたドグに抱きついたドロレスが耳元で囁いた言葉から、ドロレスのトニーへの揺るぎない愛情が伝わってきました。
こういうところも「うまい監督だな」と思います。
ドグが登場したとき、場が一瞬凍りつきますが(黒人差別が強いイタリア系ファミリーです)、一呼吸おいたあと、ドグのために席を作り歓迎するシーンの演出もいいです。
ストーリーについては、marcoさんがとても素敵な記事を書いてくださっていますので、ぜひお立ち寄りくださいませ!南部の人種差別にまつわるエピソードも紹介されています。
象徴的に表現されたケンタッキー・フライドチキン
「ドチキン」(ケンタッキー・フライドチキンのことだとか)、確かに無性に食べたくなりましたが、残念ながら言った場所にはなかった…
マクドのナゲットで我慢しようかと思いましたが、「いや、ここはドチキンでなくては」と止めた足を動かしました(笑)。
そうそう、作品の中でもドチキンが象徴のように表現されている2つのシーンが印象的でした。
ドクが車内でおっかなびっくり食べるシーン。初フライド・チキンに表情の変化がとっても素敵です。
招待された晩餐会でシェフが歓迎用に用意した特別メニューは…
フライドチキンでした。
こういう表現もうまいなあ!
用心棒トニー役のビィゴ・モーテンセンと指輪物語
トニー役のビィゴ・モーテンセンさん、あのお腹は自腹?
アラゴルン(映画ロード・オブ・ザ・リングでの役)の眼差しがちらっと見えたように思える瞬間もありましたが、今回は見事にトニーそのものでしたね。
監督が何度も断られてみオファーし続けて出演が決まった、というのもうなづけます。
*指輪物語(原作本、映画)についてこちらの記事を投稿しています。お好きな方はぜひ読んでください。
まとめ
一人で映画を見に行ったのは実に8年ぶりです。それまでは暇を見つけては公開された映画をちょこちょこ、年間50本以上観ていたんです。
訳あって映画絶ちをし、去年もう解禁してもいいかな、とポチポチ観始めたところでした。ミュージカルや演劇は娘と行くのが楽しみですが、映画はやっぱりおひとりさまがいいなあ。
あなたはどうですか。パートナーや気心知れた仲間などと行くほうがいいのかな。
「Anのひとりごと」~今日はお久しぶりの一人映画