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膵臓の病気、慢性膵炎~すい臓がんの原因にも!男性の飲酒は要注意

慢性膵炎は一度発症すると、ほぼ完治は望めず、すい臓がんの原因となる恐れもあるので、進行を止めることが大切です。暴飲暴食、欧米型の食事を改めるなど、生活習慣の改善と早期に適切な治療を行う事が重要となります。

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慢性膵炎とは

膵液の自己消化が急激に起こるのが急性膵炎、慢性膵炎は長期間に渡り繰り返し起こります。炎症を繰り返すうちに、細胞が破壊され、すい臓はだんだん硬くなり、萎縮していきます。慢性膵炎は一度発症すると完治はほぼ望めません。しかし、進行するとすい臓がんの原因になるリスクがあるので、早期に専門医を受診して診断・治療を受け、進行を止めましょう。

*自己消化 本来すい臓の中では不活性の膵液が、何らかの原因で活性化し、すい臓自体を溶かしてしまうこと。重症になると、すい臓から漏れだした膵液が、周りの脂肪や血管、他の臓器まで溶かすこともある。

 

主な原因は多量のアルコール

日本では慢性膵炎の男性の約3/4がアルコールによるものです。女性はアルコールによるものは約1/3で、原因がよくわからない突発性が約1/2です。一般的には、1日にアルコール80g以上を10年間以上摂り続けると、慢性膵炎の発症リスクが高まると言われています。

アルコールと慢性膵炎の関係

アルコールがなぜ慢性膵炎の引き金になるのか、そのメカニズムは完全にはわかっていません。現在最も有力な仮説は、

  • 多量のアルコールが活性酸素を増やす
  • すい臓の中が酸性になる
  • 本来なら不活性の消化酵素が、膵臓内で活性化
  • 自己消化が起こる

というものです。

多量のアルコールとは

  • ビール 中ビン4本
  • 日本酒 4合弱
  • ワイン グラス6~7杯(800ml)

慢性膵炎の予防には、アルコールは1日60g~80gを上限にし、毎日飲まないようにすることも大切です。

主な症状

慢性膵炎の症状は進行状態によって異なります。

  • 初期 
    腹痛(みぞおちの痛み)や背中の痛みが起こる。暴飲暴食、アルコール摂取、脂質の多い料理などが引き金となる
  • 進行する 
    食事や飲酒には関係なく起床時などに痛みを感じることもある
  • 更に進行する 
    すい臓の組織が壊れ痛みを感じにくくなるので、痛みが軽減。すい臓の働きが低下し、食べ物が消化されずに下痢になったり、臭いが強く粘度の高い脂肪便がでたり、体重の減少などが起こる
  • インスリンを分泌できなくなる 
    糖尿病を発症

 

慢性膵炎の治療

一度破壊された細胞はもとに戻りません。以下の様な対処で症状を抑え、進行を食い止めることが大切です。

生活習慣の改善と薬物治療

生活習慣の改善

まず、禁酒。また、脂っこいものを食べると、膵液の分泌が増え腹痛を起こしやすくなるので、脂質の摂取を控えることも大切。膵炎を悪化させるストレスをためず、心身の安静を守るようにします。禁煙も大事。ニコチンがアルコールと合体すると、慢性膵炎の悪化を招くと言われています。

薬物治療

  • 消炎鎮痛薬 お腹や背中の痛み
  • 消化酵素薬 消化機能の低下による下痢や脂肪便
  • 胃酸分泌抑制薬 消化酵素訳は中性の状態でよく働くので、胃酸を中和させる
  • インスリン製剤 慢性膵炎が原因で発症した糖尿病に対し、血糖をコントロール

膵石の除去

慢性膵炎の患者さんの17%~60%に膵石が見られます。膵石は炭酸カルシウムを主成分とする5~10mmの結石。膵石が膵管に詰まると、膵管の中にたまった膵液により、さらに自己消化が進みます。

以前は開腹手術を行っていましたが、現在では体外衝撃波結石破砕療法(膵石を破砕する)がまず行われます。2013年から健康保険適用となりました。

音波の一種である衝撃波を膵石に数回あて破砕します。膵石は2~3mmまでちいさくなり、十二指腸に排出されます。結石ができている場所や硬さなどで除去できない場合は、開腹手術となります。

膵液が除去されると痛みは治まり、消化機能が向上して慢性膵炎の進行が止まります。

 

すい臓がんとは

慢性膵炎が進行すると、すい臓がんのリスクが高まります。すい臓がんは早期発見が難しい、転移・再発しやすいことなどから、治療が難しい難治がんの一つとされます。進行のステージ(病気)により、手術ができないものもあります。最近は治療の標準化が進んだり、選択肢が増えたことなどから、治療成績の向上が期待されています。

症状

膵炎と同じように、みぞおちや背中の痛みがあります。黄疸、食欲の低下、体重の減少、糖尿病の突然の発症・悪化などがあります。がんが進行するにつれ、増えていきます。発症しやすい年齢は60~70歳代で、50歳代から増え始めます。

50歳代くらいで、ダイエットをしているわけではないのに、急に体重が減った、糖尿病を発症したり、悪化した場合は、すい臓がんを疑うことも必要です。初期のすい臓がんの20~30%は自覚症状がなかったというデータもあります。

症状が有っても、みぞおちの痛みを胃の痛みと思うなど、他の病気だと思っている間にすい臓がんが進行している場合もあります。

すい臓がんの危険因子

  • 糖尿病がある
  • アルコール性の慢性膵炎がある
  • 喫煙
  • 両親や兄弟姉妹などの家族に、すい臓がんになった人がいる

などはすい臓がんになるリスクが高くなる要因となります。

すい臓がんの治療法

手術は最も完治が期待できる治療法なのですが、すい臓がんは発見が送れることが多いため、手術が適用されるのは患者さん全体の20%~30%程度です。手術ができない患者さんには、抗癌剤などを使った化学療法と、放射線治療が併用されます。

両方の治療を併用することで、効果があがり生存率を高めることがわかっています。次々に新しい薬が登場し、複数の薬を組み合わせて使えるようになりました。2014年には、副作用が少なく、より多くの人に使えると期待される、ナブパクリタキセルという分子標的薬、ゲムシタビンの併用療法が承認されました。

最近は術後補助療法が標準的な治療として行われています。がんの取り残しや微小な転移をたたき、再発を防止する目的で、手術後に抗がん剤治療を行います。ほかにも新しい治療法開発に向け、様々な研究が行われています。例えば、手術前に抗癌剤を使ってがんを小さくしてから手術を行う術前化学療法などです。

 

まとめ

急性膵炎は早期に適切な治療を受ければ完治が望めるので、慢性化しないようにすることが大切です。慢性膵炎は生活習慣の改善や対処法で病気の進行を食い止めることが大切です。

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