耳だれや耳あか、不快ですが綿棒などで頻繁な耳掃除はちょっと待ってください。治りにくい中耳炎や外耳炎を起こしているかもしれません。鼓膜を破ってしまう恐れもあります。大人の耳だれの原因や注意点を確認。
大人の耳だれ~注意したい症状・原因
ネバネバした耳だれ、不快ですが綿棒などでかきとると耳の中の湿疹がひどくなる、炎症を進行させる、鼓膜を破ってしまうことなどもあります。
耳だれが続いたり急に臭くなったりした場合は、専門医に相談することが大切です。
耳だれが出る原因は慢性中耳炎の他にもあります。注意したい症状など、簡略的にまとめました。
原因は?
大人の耳だれは慢性中耳炎の場合が多いですが、その他にも
- 急性外耳炎
- 耳のおでき
- 真珠腫
などの場合もあります。
慢性中耳炎
大人の中耳炎は鼓膜に孔があき耳だれ(耳漏(じろう))がでて止まらくなり、聞こえが悪くなり話が聞き取りづらくなります。
大人の鼓膜は薄く簡単に破れるので中耳炎を起こした場合の症状は、痛みよりも耳が詰まった感じがしたあと、耳だれがでてくる場合が多いようです。
風邪を引きやすい子供は急性中耳炎を起こしやすいですが、鼓膜は厚く膿がたくさん溜まっても破れにくい。
大人と違い、耳が痛くなったあとにサラサラした液体やネバネバした粘液がでてくる場合が多く、膿が混じることもあります。
好酸球性中耳炎とコレステリン肉芽腫、ウェゲナー肉芽腫症
慢性中耳炎は細菌やウイルスなどの感染によって起こるのですが、アレルギーが原因の場合は「好酸球性中耳炎」が疑われます。
ぜんそくやポリープ(鼻茸(はなたけ))が合併していることが多く一般的な治療では治りにくい中耳炎です。
「コレステリン肉芽腫」「ウェゲナー肉芽腫症」も治りにくい中耳炎の代表です。
急性外耳炎・耳のおでき
耳たぶを押したり引っ張ったりしたときに痛みが強くなる場合は、耳におできができているか急性外耳炎を起こしていることが多い。
おできの場合は破れると膿がてできますが、中耳炎とは違い耳のまわりに溜まっている程度ですので、消毒液をつけた綿棒で膿をそっと拭き取りきれいにします。
耳がかゆくて綿棒などでかいたりすると湿疹がひどくなり、外耳道全体が炎症をおこしてサラサラした耳だれがでてきます。
外耳炎を起こしている場合は専門医を受診してください。
真珠腫
長い間慢性中耳炎の治療を受けていたり、治療の中断などで
- 耳だれが急に臭くなった
- 頭痛、めまいが現れた
場合は、慢性中耳炎の合併症「真珠腫」の疑いがありますので、必ず専門医を受診してください。
耳の骨を壊し、脳に炎症が進行していることを示しています。
アレルギーが原因の慢性中耳炎
中耳炎は風邪やアレルギーが主な原因ですが、アレルギーによる慢性中耳炎は一般的な治療では治りにくい「好酸球性中耳炎」の疑いがあります。
鼻と中耳をつないでいる耳管の、アレルギー性炎症が原因として考えられています。
原因がわかっても基本的な治療方針に大きな違いが無いので、アレルゲン検査(有料)は必須ではありません。
診断と治療
中耳に溜まっている貯留液を採取し、白血球の中の好酸球という成分の量を検査します。ぜんそくやポリープを合併している場合は、さらに疑いが強くなります。
治療
慢性中耳炎の治療は、細菌検査や聴力検査をしたあと、抗生物質の内服液や点耳液などで一時的に耳だれを抑えることは可能です。
耳だれの症状が風邪をひくたびに現れるなど、反復する場合は手術が進められる場合も。
アレルギーが原因の場合、重症度により対処は変わります。抗生物質などの使用ではなかなか治りにくい場合は
- ステロイド溶液を鼓膜の孔から注入(中耳の粘膜がひどく腫れている場合、粘膜の一部を取り除いてから注入することもある)
- ステロイドを加えた抗アレルギー薬を噴霧(ステロイドは悪化時に使用。安定してきたら休止)
などもあります。
まとめ~なかなか治らない大人の耳だれ
耳だれが続くときは早めに専門医の受診をおすすめします。ときに内耳の神経にまで悪影響を与え、重度の難聴になる恐れも!
耳掃除をするときは、消毒液をつけた綿棒でそっと拭き取る程度にし、炎症を起こしたり鼓膜を破ったりしないよう十分注意してください。
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