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ナースほど誇れる仕事はありません

ナースダイアリー・超忙しい看護師のひとりごと

ほくろが急にできた、大きくなる~皮膚がんメラノーマの新薬と治療

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メラノーマは悪性度が高い皮膚がんで、有効な治療法は手術でしたが、近年新薬が次々と登場し、生存率を改善できるようになりつつあります。メラノーマとはなにか。さらにほくろとの違いや診断、治療についてお伝えします。

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悪性度の高いがん、メラノーマ

メラノーマの早期は、ほくろやシミとよく似ていて、発生したことに気づかないことが有ります。従来は手術が主な治療法で、発見が遅れると命にかかわることも少なくありませんでした。

実は昨年メラノーマで知人が亡くなりました。最初は足にほくろが急にできた、と思っただけで、気にもしていなかったそうです。好きで好きでたまらない男性とようやく結婚し、不妊治療をして、やっと授かったお子さんが1歳になったばかり。ほくろが大きくなる、ほかの場所にも急にできた、などおかしいなと思った時には、メラノーマがあっという間にひろがり、立っていることも歩くこともできない状態で、手の施しようがなかったそうです。

大切な愛娘のために、「生きる!」とつらい治療にも立ち向かっていたのですが、それはかないませんでした。大好きなフラの衣装を身に着けたそのお顔は、あまりにも小さくてはかなくて、涙が止まりませんでした。

メラノーマの発見が遅かったこともあるので、何とも言えませんが、新薬での治療を受けていたら、もしかしたら結果は違っていたのかもしれません。(事情があり、十分な治療を受けられなかったとお聞きしています。残念でなりません。本人もさぞかし無念だったことでしょう。こうして書いていると、悔しさがまた思い出され、文字がにじんでくる…)

 

メラノーマとは

メラノーマは基底細胞がん、有棘(ゆうきょく)細胞がん、パジェット病などと同じ主な皮膚がんの一つですが、非常に悪性度が高く、治りにくいがんです。皮膚の色に関係するメラニン色素を作る細胞や、ほくろの細胞ががん化してできるもので、全身どこにでも発生するがんです。

  • 末端黒子型
  • 表在拡大型
  • 結節型
  • 悪性黒子型

の4つのタイプがあります。

ほくろが大きくなるなどの変化をする場合

早期では、ほくろやシミとよく似ているので気づきにくいことが有ります。ほくろとの違いは急にできることと、変化すること。次のように変化していく場合はメラノーマの可能性があります。

  • ほくろがしだいに大きくなる(6mmを超える)
  • 輪郭が左右非対称になる
  • 成長するにつれ、形がいびつになる
  • 色の濃淡が出てくる

特に大人になってからできたほくろが、このように変化してきた場合は要注意です。

メラノーマの診断

黒子やしみが急にできる、大きくなるなど変化が現れた時は、皮膚悪性腫瘍指導専門医や、皮膚科専門医を受診することをお勧めします。

メラノーマの診断は以下のように行います。

  1. まず医師が肉眼で観察
  2. 次にダーモスコープで調べる
  3. さらに詳しく調べる場合は生検が行われることも

ダーモスコープ 光を当てながら幹部を20倍に拡大して観察することができる機器

生検 幹部を切り取って顕微鏡で調べる

ダーモスコープで調べることで、メラノーマの早期診断が可能になりました。

 

新薬による治療

メラノーマの治療は手術が中心ですが、手術ができないメラノーマに対して、2014年からニボルマブ、2015年からイビリムマブと言う、免疫チェックポイント阻害剤が使えるようになりました。どちらも3週間に1回の割合で静脈から点滴を行います。1回の点滴には約1時間半ほどかかります。

手術では、再発を予防するためにメラノーマより1~2cm大きく皮膚を切除します。初期のメラノーマなら5年生存率は95%以上です。進行してリンパ節に転移した場合はリンパ節とその周囲を大きく切除します。さらに進行し、肺、肝臓、脳、骨などほかの部位に転移した場合は、手術は困難で薬物療法が中心になります。

免疫細胞の働き

体には、免疫システムが備わっていて、ウイルスや細菌が体内に侵入したり、がんが発生したりすると、それらを異物と認識して免疫細胞が働きます。この免疫細胞には、正常細胞まで攻撃しないよう、ブレーキがついています。

がん細胞は免疫細胞の攻撃を受けると、この免疫細胞のブレーキを押し、攻撃を辞めさせて増殖していきます。

免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイント阻害剤は、免疫細胞のブレーキニカバーをし、がん細胞がブレーキを押せなくする働きをします。その結果、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようになり、がん細胞の増殖を抑えます。

  • ニボルマブ 28%の患者さんでがんが縮小したり、消失したりした
  • イビリムマブ 3年生存率が22%に達し、がんと共存しながら延命している

と言った臨床試験の報告があります。

免疫チェックポイント阻害剤の副作用

本来体に備わっている免疫反応の制御機構を止めてしまうため、(ブレーキにカバーをかける)様々な臓器に免疫関連副作用が発症する可能性があります。

主な副作用は

  • かゆみ(免疫細胞の攻撃力がたかまるため)
  • 下痢
  • 肝機能障害
  • 甲状腺機能障害
  • 間質性肺炎

などがあります。また、重症筋無力症、突然発生する糖尿病、腎炎などがあることがわかってきました。

それぞれの副作用に対しては、薬物療法などで対処しますが、場合によっては点滴を中止することもあります。

ほかの薬との組み合わせ

現在、免疫チェックポイント阻害剤は1種類ずつ使用するのが原則ですが、将来的にはより効果を高めるため、ニボルマブとイビリムマブを組み合わせて使い、免疫機能の複数のブレーキにカバーする治療法が考えられています。

がん細胞だけを攻撃する分子標的薬との組み合わせで、生存率がより高まることが期待されています。

治癒率向上の期待と注意

メラノーマは、今までは手術以外に有効な治療法はありませんでしたが、近年新薬が次々と登場し生存率を完全できるようになりつつあります。手術ができない患者さんの治療に画期的な効果が期待できる免疫チェックポイント阻害剤ですが、従来のがん治療では見られなかった特殊な副作用が出る可能性もあります。

主治医とよく相談して、慎重に判断する必要があります。

メラノーマの4つの種類

末端黒子型 
日本人のメラノーマのうち、全体の40%を占めるもっとも多いタイプです。主に足の裏や手足の爪にできます。褐色から黒へと変わり、一部が盛り上がったり、潰瘍を作ったりもします。
爪の場合は、爪の中に縦の筋上にでき、爪全体に広がっていきます。40~50代に多いのが特徴です。

表在拡大型 
全身のどこにでもできます。早期は広く浅く広がり、だんだん色が濃くなって一部が大きく盛り上がっていきます。

結節型 
全身のどこにでもできます。早期からドーム状に盛り上がり、成長が速いのが特徴。
メラノーマの中で、最も悪性度が高いタイプです。

悪性黒子型 
70歳以上の高齢者に多いです。紫外線の影響を受け主に顔にできます。
薄い茶色から次第に黒く変化し、数年かけてゆっくりと大きくなっていきます。やがてしこりやこぶになります。

日本皮膚科学会で、専門医や医療機関の一覧を閲覧できます。

参考:皮膚科専門医MAP 日本皮膚科学会

 

まとめ

悪性度の高い皮膚がん、メラノーマ。急にほくろができた、ほくろが多くなったなどの変化がある場合、ほくろではなくメラノーマの疑いがあります。早期に発見すれば手術で生存率を向上させることができます。

免疫チェックポイント阻害剤と言う新薬も登場し、分子標的薬などと合わせた治療で治癒率の向上が期待されています。

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