飛蚊症の多くは加齢により起こりますが、網膜剥離の前兆の可能性もあるので、飛蚊症に気づいたら、眼科で詳しく検査し病的なものかどうか調べてもらうことが大切です。飛蚊症、網膜剥離について確認します。
飛蚊症は老化現象、病気のサインの場合もあるので要注意
目の前に小さな虫が飛んでいるかのように、様々な形や大きさの影が浮かんだり、漂っているように見えうっとうしい飛蚊症。
多くは、生理的なものですが、網膜剥離など、病気があるかもしれません。
急に影の数が増えたりして症状が悪化する場合は、網膜剥離の前兆かも!飛蚊症が現れたら、眼科で視力検査や眼底検査などを受けて、病的なものかどうかを調べ、適切な治療を受けましょう。
異常を早く発見するためにも、50歳を過ぎたら、ひと月に1回程度見え方の自己チェックをすることをおすすめします。
飛蚊症を自覚したら
飛蚊症は生理的なものか、病気によるものなのか、自分で判断することはできません。どちらかの目に異常が起きていても、普段は両目で見ているので気づかないこともあります。
50歳を過ぎると目のトラブルが増えてくるので、ひと月に1回程度、見え方のチェックをしましょう。
飛蚊症と自覚したら眼科で検査を受けてください。飛蚊症には生理的なものと、病気が原因の場合があります。
生理的な飛蚊症は治療の必要なし
検査で病気が見つかった場合は、その病気の治療が行われますが、生理的飛蚊症の場合は治療の必要はありません。そのまま様子を見ます。
目の前の影がうっとうしいのは確かですが、病気ではなく目の中の老化現象なので、手術をして影の原因を取り除く必要は無いでしょう。
年齢相応の減少と捉え、なるべく気にしないようにすることです。メガネの汚れ、くらいに思ってはどうでしょう。
影自体消えることはありませんが、だんだん慣れてさほど気にならなくなることも多いです。
症状が進んで後部硝子体剥離などを起こしていないか、時々見え方のチェックをすることは必要です。
生理的飛蚊症は予防できない
これといった予防法はありませんが、眼球が変形すると飛蚊症の原因となる、後部硝子体剥離を起こしやすくなることが分かっています。
- 目をぶつけるなどの外傷
- アトピーなどで目を強くこする
などはさけます。その他目の老化やトラブルに大きく影響するのは
- 強い光(特に紫外線などの短波長の光)
- 動脈硬化や糖尿病などの影響
などです。遮光メガネをかける、食事や運動などに気を付けて、規則正しい生活をし、生活習慣病を予防することが大切です。
後部硝子体剥離と診断されたら
検査の結果生理的飛蚊症と診断された場合は、ひとまず安心です。
しかし後部硝子体剥離の場合は、症状が徐々に進むのでしばらくしてから網膜剥離が起こる場合もあります。
見え方や光視症、視野の欠損や歪み、視力の低下など他の症状が現れた場合は、できるだけ早く再受信してください。
網膜剥離がおきたら
進行すると失明の危険もある網膜剥離ですが、治療技術の進歩で網膜裂孔の団塊や、剥離が起きたとしても早期に進行を食い止める手術で失明することはほとんどなくなってきています。
ですから目の異常を感じたら、必ず眼科を受診することが大切です。
見え方の自己チェック
老眼や近視の場合はメガネをかけ、必ず片目で見え方のチェックを行ないます。
飛蚊症は、青空や白っぽい壁などを背景にすると見つけやすいです。同時に
- 視力の低下
- 視野欠損(見えない部分)
なども調べ、異常がある場合は、なるべく早く眼科に行って詳しい検査を受けてください。
飛蚊症とは
目の前を小さな虫が飛んでいるかのように、様々な形や大きさの影が浮かんだり、漂っているように見えます。
影は一つの時も、複数の時もあります。視線を動かすと、影も一緒に動きます。瞬きをしても消えません。見え方は
- 蚊のように見える点状
- 糸くず状
- リング状
などのように見えます。
飛蚊症が起こるメカニズム
飛蚊症は目の内部にある「硝子体」に生じる、にごりが原因で起こります。
硝子体はカメラのレンズに相当する水晶体と、フィルムに相当する網膜の間を満たしていて、半透明で、卵の白身のようなゲル状をしています。
ゲル状態を維持するために、細かいコラーゲン繊維が均一に含まれて、そのまわりを取り囲むように、水分を吸着するヒアルロン酸があります。
【加齢で液化が起こる】
加齢でコラーゲン繊維やヒアルロン酸の質が悪くなると、液化(吸着していた水が離れる)がおき、硝子体を均一なゲル状に維持できなくなり、液化腔ができる。
【液化腔が集まる】
さらに液化が進むと、液化腔が徐々に多くなり、濃縮したゲルの部分と液化した部分に分かれ、硝子体の後方に集まる。
【後部硝子体剥離】
濃縮したゲル状の硝子体が前方に向かって収縮し、網膜から徐々に剥がれていく。
硝子体の中が不均一になると、まばらに有ったコラーゲン繊維が集まったりして束になり、濁りが生じて網膜に映ると小さな虫が飛んているように見え、飛蚊症を自覚します。
後部硝子体剥離
生理的な飛蚊症でも、加齢に伴って硝子体の液化が進むと液化腔が徐々に集まって大きくなっていきます。
濃縮したゲル状の硝子体は、水晶体の方に向かって収縮し、硝子体が後部の網膜から離れていきます。この状態を後部硝子体剥離と言います。
後部硝子体剥離が起こると、網膜と接する硝子体の表面の内、視神経の網膜の入り口(視神経乳頭)の周り(楕円形)や、太い網膜血管の部分などに強く癒着します。
少し濁ったコラーゲン繊維の集まりが網膜から浮き上がり、硝子体内の濁りになります。
このため乳頭の楕円形の濁りが影となって、リング状やCの字型、スジ状などの影を割りとはっきり自覚します。
硝子体の収縮に伴って、濁りの部分は網膜から離れるので、時間とともに影は少しずつ薄れていくこともあります。加齢による生理的減少なので心配はありません。
病気が原因
生理的飛蚊症は、見える影の形や数はほとんど変化しないので、急に影の数が増えるなど、症状が悪化した場合は病気が考えられます。
- 病気や外傷により眼底から出血した血液が硝子体内に入り、視野に砂嵐や煙のような影が広がる「硝子体出血」
- ウイルスや細菌感染、外傷などによって目に炎症が起き、硝子体内に炎症細胞などによる濁りが生じる
等による飛蚊症が起こることが有ります。
網膜剥離の前兆
後部硝子体剥離に伴って、突然飛蚊症が起きた場合、網膜剥離の前兆の可能性があります。
網膜との癒着が強い部分や、薄くなった部分が引っ張られて、網膜裂孔と言って、網膜に孔が開くことがあります。
その孔から液化した硝子体が網膜に下部に向かって入り込むと、網膜が眼底から剥がれる網膜剥離が起こります。
光視症
網膜が機会的な刺激を受けると、光を感じます。そのため硝子体が剥離するときに網膜が強く引っ張られると、光視症と言って、稲妻が走るような光が見えることが有ります。
飛蚊症に光視症を伴う場合、網膜裂孔が起きている可能性が、やや高くなります。
網膜剥離を発症しやすい場合
網膜裂孔や網膜剥離の発症は、後部硝子体剥離を起こした人のごく一部です。
- 強い近視がある
- 家族に網膜剥離を起こした人がいる
- 目の病気をしたことがある
等の場合、網膜剥離を発症するリスクが高くなると言われています。
まとめ~見え方の変化、視力低下はすぐに受診を
飛蚊症は多くの場合、加齢による生理的なものなので心配はありません。しかし病気の場合もあるので、飛蚊症と自覚したら眼科で検査をしましょう。
特に見え方が変化したり、視力の低下などが起きた場合は、網膜剥離の前兆かも知れません。すぐに受診することが重要です。
目の異変を素早くキャッチするために、普段から見え方の自己チェックをひと月に一回程度行いましょう。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ