肥満、特に男性でメタボ体型の人は、突然死も招くことがある、コワイ血管病になるリスクが高い。肥満と塩分が血管の老化とどのように関わっているのか、血管のセルフケアの方法とあわせて解説します。
メタボと血管の老化
肥満の解消には、生活習慣の見直しと改善が重要です。同時に血管の老化を防ぐセルフケアでも、食生活の見直しと改善、中でも減塩に取り組むことが大切。
塩分の摂り過ぎは、単に血圧を上げるだけでなく、直接血管を傷つけ、血管病を誘引します。肥満も血管病になるリスクが高い。
どちらも生活習慣の見直しと改善をすることが重要となります。特に食生活、中でも鍵となるのが減塩です。
肥満は血管の病気になりやすい?
特にお腹がぽっこり出た、内臓脂肪型肥満、いわゆるメタボ体型*の人は血管病になるリスクが高いです。
肥満の解消と予防が重要です。健康診断などで、メタボリックシンドロームと判定されたら、食生活や日常生活の見直しと改善を。
メタボ体型は血管病のリスクが高いのはなぜ
お腹についた脂肪細胞から悪玉と善玉の物質が分泌されます。
- 悪玉物質:血圧や血糖師を上げるように働き、脂質代謝にも悪影響
- 善玉物質:血圧や血糖値が上がり過ぎないように調整し、血管の内皮細胞の傷を修復
お腹に脂肪が付き過ぎると
→悪玉物資の分泌量が増え、善玉物質の分泌が減る
→血圧や血糖値があがりやすくなる
→脂質代謝に乱れがおこる
動脈硬化の進行が加速します。
- 高血圧、高血糖(糖尿病)、脂質異常症になりやすい
- 放置していると、脳卒中や心筋梗塞などの血管病に繋がる
※メタボは、内臓脂肪のつきすぎにより、血圧、血糖、血中脂質の代謝障害が重なって起こり、動脈硬化の進行を加速させる病気。
メタボ=お腹ポッコリ型の肥満、ではありません。
男性は女性より血管病になりやすい
例えば、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)では、男性の発症率は女性の2~3倍、男性の方が血管病になりやすい傾向があります。その理由は、
動脈硬化が進みやすい:
- 男性は30~40代で血圧やコレステロール値が上昇しやすい傾向
- 血管への負担が比較的若い頃から増すので、動脈硬化が進みやすい
血管病になりやすい生活習慣
- 塩分やカロリーが高い食事を好む
- 外食が多い
- 喫煙習慣
- 仕事のストレス
などが重なったりすると、高血圧、糖尿病、高LDLコレステロール血症を発症しやすいことにあります。
忙しさや疲労などでこれらの生活習慣病を放置していると、動脈硬化がすすみ、脳卒中や心筋梗塞などの血管病につながりやすい。
一方女性は、女性ホルモンが血圧や血中脂質を調整する働きをするので、男性ほどには血圧やコレステロール値は上がりません。
しかし、閉経前後になると、高血圧や高LDLコレステロール血症を発症する人が増えてきます。
メタボの男性は、肥満の解消、予防を真剣にこころがけてください。
血管の老化を防ぐセルフケア
セルフケアで血管を若返らせ、強くすることは、動脈硬化がさほど進行していない段階なら可能です。
血管の老化は、過食、偏食、運動不足、喫煙などの生活習慣の乱れ、過剰なストレスなどが原因で起こります。
これらの毎日の積み重ねが、血管を傷つけ、血液の状態も悪くしているのです。
血管ケアの基本も他の病気と同じように、生活習慣の見直しと改善。中でも重要なのが食生活です。
- 塩分を減らす
- 魚や大豆製品を食べる
- 野菜をたくさん食べる
悪いものを減らし、良い物を増やすことが大きなポイントとなります。
減塩が血管を強くするカギ
血圧と塩分は密接な関係があります。食生活で一番大切なのは、塩分の摂り過ぎ。塩分を摂り過ぎると、血圧が上がりやすく、血管に負担がかかります。
さらに余分な塩分が血管壁に入り込んで、血管を痛めるのです。 塩分の摂り過ぎで血管の老化が進むのは
- 血圧の上昇
- 直接血管にダメージを与える
ためです。
減塩のコツ
「高血圧の人は一日の食塩摂取量6g未満」と言うのは目標値です。100%を求めると続きません。では、どうするか。
とりあえず、食塩の摂取量を減らせそうなことを、いろいろやってみましょう。
- 食塩の摂取量を意識して減らす
- 食塩を排出する栄養素を摂る
ことを大きな柱にすると、取り組みやすいです。
摂取量を減らす、は文字通り薄味にしたり、塩分の多い外食、出来合いのお弁当、加工食品などを減らすこと。(ラーメン好きなら汁は全部飲まない、などでも違います)
食塩を排出する栄養素、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを多く含む食品を多く食べること。(野菜、大豆、果物、イモ類、海藻類など)
減塩食はネットでも豊富にメニュー、レシピを探せますよ。
塩分が血管の老化を早める
血圧と塩分は密接に関わっています。塩分を摂り過ぎると、
→体内のミネラルバランスが乱れる
→余分な塩分を排出しようとする体の生理機能が働く
→血圧が高くなる
さらに
→余分な塩分が血管壁にも入り込んで、血管を厚く硬くする
→血管壁の内側にある内皮細胞が傷つきやすくなる
→血管のバリア機能が弱まる
→傷のすき間から血管に異物が入り込む
異物の代表、酸化LDLコレステロール
前回の、突然死を回避する!血管年齢を老化させない強い血管を作るかぎ、でも触れましたが、異物の代表が、血液中に増えた悪玉コレステロール、LDL-Cです。
血管壁に入り込んだLDL-Cは活性酸素の攻撃を受けてさらに悪玉度をまし、酸化LDLコレステロールとなります。
こうして出来た酸化コレステロールを異物とみなし、体の免疫機能が排除しようとします。
→酸化コレステロールが血管壁に入り込む
→免疫機能を持った白血球の一種、単球という物質が血液中から血管壁に入る
→これが免疫細胞の一種、マクロファージに変わって、酸化LDLコレステロールを食べて処理
プラーク「アテローム硬化」
太い動脈でよく起こる血管の老化です。
異物を食べて満腹状態になったマクロファージは泡沫細胞に変わリ、血管内膜にアテローム性プラーク(コブのような隆起)を作ります。
もう一つの悪玉物質AGE
高血糖が続くと血管壁に侵入しやすい、AGE(終末糖化産物)という悪玉物質が、血液中に増え、アテローム性プラークの中に入り込んで動脈硬化を進めます。
血管がその負担に耐えられなくなると、プラークが破裂して血栓が詰まることで、脳卒中、心筋梗塞と言った血管病が起こります。
血管ケアで若返り
血管ケアを行って、血管や血液の状態がよくなってくると、見た目の印象もぐんと若返ってきます。
血管が強くなると、健康寿命をのばすことにも繋がる。血管のセルフケアをすることで、40代、50代以降の人生も大きく変わってきます。
血管ケアで変わること
血管を強くするには、内皮細胞のケアが重要ですが、それに欠かせないのは、美容効果でもよく知られている抗酸化成分です。
抗酸化成分は、体自体の免疫力も高めてくれます。免疫力が高まると
- 風邪やインフルエンザにかかりにくい
- 腸内環境を良い状態に整えやすい
- がんの予防がしやすくなる
など全身の健康維持に繋がります。
さらに、脳の血管の軽いつまりや出血が原因で起こる、「血管性認知症」の予防にも。
医者(看護師)の不養生ではないけれど…
血管の病気がコワイ、コワイ、予防は◯◯、生活習慣を見なおして~。とここの所言い続けているのですが、「ではオマエはどうなんだ?」と聞かれると…
胸を張って、「ちゃんと気をつけていますよ」とはとても言えない生活をしています。
多くの人と同じように、「自覚症状なないし、私は大丈夫」と根拠のない自信で、毎日走り回っている^^;
「早期のがんが見つかりました」と言われたら、すぐに治療を開始するのが普通ですよね。
しかし、健康診断で血圧や血液検査の結果、医師から血管病のリスクと、生活習慣の改善などの指導を受けても、何もせず、放置する人のほうが多いのが現状です。
「あのとき、ちゃんと見直しをしていたら…」と後悔しないためにも、セルフケアはしっかりしなければ、と自戒もこめて。
まとめ~血管の老化を防ぐには、減塩から
見た目の若返り効果、全身の健康維持、生活の質の向上などが期待され、何よりも突然死のリスクを減らす血管ケア。
今すぐ効果が目に見えるわけではないので、なかなか取り組んだり継続したりしにくいのですが、ケアをするとしないでは、人生が大きく変わります。
肥満の解消、血管の老化を防ぐために、まずは食事の塩分を減らす、減塩から始めてみましょう。出来ることをコツコツ、1つずつ積み上げ継続することが大切です。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ