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室内でも熱中症!備えあれば憂いなし、熱中症の予防と対策

梅雨明けから夏にかけ、熱中症が急増します。屋外だけでなく室内でも起こり、重症化しないように、これからの季節は熱中症の予防と対策が大切。適切な予防法と症状がでたときの対処を確認しておきましょう。

室内でも熱中症が起こります。熱中症の予防と対策は備えあれば憂い無し

熱中症の予防・対策

天気予報に熱中症予報が表示される時期となりました。今年は5月中にすでに熱中症で2,613人が救急搬送されたそうです。

発症のピークは7月下旬から8月上旬くらいと言われていますが、寒暖差の激しい季節の変わり目の5~6月も、体が暑さになれていないために、気温の上昇に適応できないことから、熱中症になることも少なくありません。

16日も運動会中に熱中症を起こし、重症の生徒さんが救急搬送されたと言うニュースが流れていました。

 

熱中症とは

熱中症は体内の水分や塩分が不足し、体温調節ができなくなって起こります。重症化すると命に関わりますが、適切な対策をすることで予防することは可能です。

炎天下で起こりやすいですが、近年室内での熱中症も増えています。特に体温調節機能が低下している高齢者では、要注意です。

まず、熱中症が起こる仕組みを理解するために、体温を保つ体の仕組みを確認し、その上で、熱中症の症状や対処、予防について見ていきましょう。

特に高齢者は室内でも熱中症を起こしやすく、重症化しやすいので家族や周りの方は十分理解してください。

 

体の仕組みと熱中症が起こる仕組み

体には体温を一定に保つ仕組みがあります。体温が上昇すると

  • 末梢血管が広がり、血流量を増やして皮膚から熱を逃がす
  • 汗をかき、汗が蒸発することで皮膚の熱を逃がす

などで体温を下げています。

 

熱中症が起こる仕組み

  • 炎天下など暑い環境*に長くいると多量の汗をかき、体内の水分や塩分が不足して脱水状態になる
  • 汗をかきにくくなる
  • 湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体が熱を放出できなくなるので体内に熱がこもる

などから変調をきたし、熱中症を起こします。重症の場合、命を落とすこともあります。

熱中症の症状や予防、対策について一般的な方法については、後述していますが、その前に熱中症の体験談を一つ。

*高温多湿で風邪がない環境(熱帯夜など)、梅雨明けで体が暑さに慣れていないなどでも発症しやすい

 

室内でも熱中症患者続出!ありえない職場

7年前になるかと思いますが、記録的な猛暑で熱中症で救急搬送と言うケースが多く、熱中症による死亡者が非常に多かった年のことです。

外仕事をされている知人が熱中症で10日間入院されました。その時のお話がちょっとありえない!と思ったことでよく覚えているのです。簡単な状況説明をすると

  • 社員ではあるが特殊な勤務形態(原則9時~13時)で昼食休憩は原則ない
  • 当時目が回る(実際に回ってしまって入院されたのですが)ほどの忙しさで15時、16時まで連続勤務の日が続いていた(もちろん昼食抜き)
  • 炎天下での作業(バイク乗車)は11時前後から16時ころまで

もちろん水分補給は1日2l~3lを携行し、それでも足りない場合は自販機で買って飲んでいたそうです。クーラーバックに保冷剤を入れてタオルを冷やしたりと、出来る限りの対策はしていたとのこと。

そこからがびっくり仰天の話でした。なんとそんな思いをしてようやく帰社しても、事務室には冷房がない!

人いきれで蒸し暑く、むしろ外のほうが涼しく感じるなんて考えられますか?しかも外仕事をする職場ですよ。

さらに、冷房がない理由がありえない。今時そんな会社(大手です)があるなんて信じられませんでした。

 

熱中症で倒れた仰天の理由

冷房がなかったのは「冷房装置が老朽化して故障」したため修理中で使えなかったためで、巨大な送風機が何台か事務室に置かれて暑さ対策とされていたのだそうです。もちろん送風のみですから生暖かい風が出るだけ。

業者は「送風機の貸出しで修理するよりも、設備を新しくした方が安くできるし速い」と提案したそうですが…

管理者はそれを断りました。その断りの理由もお聞きしましたが、推測の又聞きですのでここでは書きません。空いた口が塞がらない理由とだけ言っておきましょう。

事務室に残っている役職者(外には行っていません)も倒れ、他にも社員が数名倒れたり入院したりしたそうです。

当時毎日のように防災無線で「気温が35度を超えました。外出は控え涼しい場所にいましょう」とかなんとか放送があり、それを聞くたびに余計暑さがこたえたとのこと。

「仕事を放り出すわけには行かないんだからっ!」と腹が立ったそうです。そりゃそうですよね。

 

熱中症の症状

知人が倒れたのは月曜日でした。めまいがひどく気持ちが悪い、ということでもなんとか自力で病院に行き、順番を待つ間点滴室で休ませてもらって…

当日は点滴を受け、薬を処方されて帰宅しましたが、翌朝になっても症状はひどくなるばかり。

目を開けると天井がぐるぐる周り、体を動かすたびにめまいがして、床も動いているように感じたそうです。

これは限界と思って救急車を呼び、前日受診した病院へ向かった結果入院。

3日間程はめまいと吐き気で最悪だった!とあとで話してくれました。トイレに行きたくても起きると目が周り、吐き気に襲われる。何も食べられなかったので、胃液しかでず本当に辛かったと言っていました。

4日め辺りにようやくお粥を少し食べられるようになり、最初の食事は「なんて美味しいんだろう」と思ったそうな(病院食はね、一般的にあまり美味しいとは言えませんから)

結局10日間入院されていました。

 

めまいから退職

その後も時々めまいの症状が出るようになり、翌年退職されました。バイク仕事でめまいは危険ですから。

余談ですが病気理由の退職(医師の診断書あり)なので、失業保険の待機期間は7日間だけだったそうです。

熱中症との関連はわかりませんが、そもそも入院した時は熱中症もあったのでしょうが、過労と劣悪な職場環境、ストレスも大きな原因だったのでは、と考えられます。今思えば労災案件だったのかも。

 

熱中症を予防する方法

indoor_heatstroke

熱中症を予防する基本は温度と水分です。高齢者では体温の調節機能が低下して暑さを感じなかったり、エアコンを使用するのを嫌がる場合もありますので、注意が必要です。

寝たきりなどで介護が必要な方にも、介護者が室内環境と適切な水分補給に注意し、熱中症を予防してください。

熱中症を予防するためのポイント

  • 室温を28℃以下にする(エアコンの使用)
  • 水分と塩分を十分にとる

 

対策のポイント

室温・湿度
いちばん重要なのが室温を28℃以下に保つことです。暑いと感じてからエアコンをつけるのではなく、天気予報や温度計、熱中症予報などを参考に室温をコントロールしましょう。

湿度も重要です。70%以下に保つようにします。扇風機を回して室内に空気の流れを作ることも効果的です。

衣服
通気・吸収・速乾性の良いものを着て熱がこもらないようにしましょう。最近は良い商品が手軽に手に入りますので、利用してください。

外出時
可能な限り炎天下の外出は裂けたいですが、外出する時は

  • 日陰を歩く
  • 帽子や日傘を使用して直射日光を避ける
  • 首にまく冷感グッズなどの使用

など工夫しましょう。

 

水分と塩分

水分補給

水分
汗をかく時期は十分な水分と適度な塩分を補給します。夜間の熱中症を防ぐために、寝る前にコップ1杯の水を飲む習慣をつけるようにしましょう。

のどがかわいたと感じる前に、こまめに飲むことも大切。喉がかわいたと感じたときには、すでに脱水症状になっていることもあります。

緑茶、コーヒー、紅茶などカフェインを含む飲料、ビールなどのアルコール飲料は利尿作用があり、かえって体内の水分を減らします。

最近話題となっている栄養ドリンクもカフェインを含むので、飲みすぎないようにしてください。

水、麦茶が最適

また、イオン飲料やスポーツドリンクなどにはビタミンB1が含まれていません。ビタミンB1は糖をエネルギーに変換するのに必要なビタミンです。

特に乳幼児がイオン飲料やスポーツドリンクなどを多量に飲み続けると健康状態が悪化する、という報告があり、子供が好むから、と与え続けないようにしてください。

水分補給は水、麦茶が最適です。スポーツドリンクは激しい運動をする人には良いのですが、日常的に飲むには当分が多すぎるので注意してください。

塩分
塩分補給は梅干しを1つ食べる程度で十分です。梅干しの塩分量は製法によって差があります。表示を確認して塩分制限をしている人は、一日の塩分摂取量を超えないように注意してください。

 

熱中症の症状と対処法

熱中症が起こると、めまい、頭痛、吐気が起こり、意識を失うこともあり、突然重症になることもあります。

熱中症は軽い方からI度、II度、III度にわけられ、徐々に悪化することも有れば、気づいたときにはII度やIII度になっていることもあります。

軽症のI度の段階で気づき、適切な対処をすることで多くは悪化を防ぐことができます。

熱中症を起こした(疑いのある)場合はとにかく体を冷やすことを優先します。

熱中症?のときの対処法
  • 涼しい場所に移動する
  • 水分を補給する
  • 頭痛や吐気がある時は、救急車を呼ぶ

救急車を呼ぶかどうか判断に迷う場合は、相談ダイヤル#7119を活用しましょう

 

熱中症が起こりやすい気候や環境

真夏の暑い日に起こると言うイメージが強い熱中症ですが、気温が高い日ばかりでなく

  • 寒暖差の激しい季節の変わり目(5~6月)
  • 梅雨明けの体がまだ暑さに慣れていない時期
  • 高温多湿で風がない環境
  • 熱帯夜

などでも起こります。日差しがなくても蒸し暑ければ危険です。

天気予報では熱中症予報も報じられますので、外出やイベント、外での作業などの場合の参考にするようにすると良いですね。

 

28℃が注意の目安

注意すべき気温の目安は28℃以上ですが、気象庁発表の気温*より体感温度は5℃ほど高いと考えましょう。

気象庁では、翌日または当日の最高気温が概ね35℃以上と予想される日に「高温注意報」を発表し、熱中症への注意を呼びかけています。

環境省の熱中症予防情報サイト(後述)では毎日の暑さ指数の実況と予測を今年は9月23日までの予定で更新していますので、こちらをチェックするのも良いでしょう。

*芝生の上で日陰の風通しの良い場所(風速5m)という条件で測定しています。

 

熱中症に気づくポイント

熱中症が起こると、以下のような症状が現れます。軽症のうちに気づき対処することで多くの場合悪化を防ぐことができますので、おかしいと感じたらためらわず受診しましょう。

高齢者の場合は自分で気づかないことも多いので、家族や周りの人が十分注意する必要があります。

段階 症状 特徴
軽症 I度 めまい たちくらみ こむら返り など 脳への血液量が不十分になると、立ちくらみやめまいが起こる。 多量の発汗で体内の塩分が不足すると、筋肉が硬直してこむら返りが起こる。
中等症 II度 吐気 嘔吐 頭痛 倦怠感 虚脱感 など 左記のような症状が現れ、患者さん自信で対処することは困難。
重症 III度 立てない けいれん 高体温(体に触れると熱い) 意識障害(もうろうとする) 意識がない など 左記の症状を放っておくと命に関わる。 緊急の対処を要する。

 

熱中症の疑いがある場合の対処法

熱中症I度

熱中症が疑われた場合は、すぐに涼しい場所に移動し、体を冷やします。屋外で周りに涼しい場所がない場合は、エアコンのある室内に移動、室内の場合はエアコンをつけ室温を下げます。

熱中症II度

I度の場合大抵は自分で対処できますが、II、III度の場合は救急車を呼ぶなどしてすぐに医療機関を受診してください。

体を冷やす 涼しい室内、または日陰で風通しの良い場所に移動します。首筋、脇の下、足の付け根、ひざの裏など太い血管が皮膚の表面近くを走る部分に、冷たいタオルや氷をあて体を冷やします。

熱中症III度

水分と塩分を補給 水やスポーツドリンクなどで水分と塩分を補給します。意識がない場合や吐気のある場合は、気管に入ると危険です。無理に飲ませてはいけません。本人に持たせて飲ませるようにします。それができない場合は救急車を呼ぶほうが良いでしょう。

横向きに寝かせる 吐気や嘔吐、意識障害がある場合は、吐いたものが喉に詰まって窒息するのを防ぐために顔を横向きにして寝かせます。衣服のベルトなど締め付けているものを緩めます。

 

高齢者が熱中症になりやすい理由

熱中症による高齢者の死亡者数は他の年齢層に比べて非常に多くなっています。平成27年度では65歳以上の割合は80.7%に登ります。

熱中症による死亡数の年次推移(平成22年~27年)

死亡者数 平成27年度 平成26年度 平成25年度 平成24年度 平成23年度 平成22年度
総数 968 529 1077 727 948 1731
65歳以上 781 428 833 578 717 1372
割合(%) 80.7 80.9 77.3 79.5 75.6 79.3

出典:厚生労働省人口動態統計(確定数)より一部抜粋

 

高齢者が熱中症を起こしやすいのは

  • 汗をかきにくく、体温の調節がしにくい
  • 暑さや喉の渇きを感じにくい
  • 薬の影響で体温の調節がしにくくなっている
  • 持病の影響で体温の調節がうまくできなくなっている

などが主な原因です。

汗をかきにくく、体温の調節がしにくい 
体内の水分量は年齢とともに減少しますし、高齢になると汗を分泌する汗腺の機能や体温を調節する自律神経の働きも低下します。

又、高齢者は水分を取るのを控える傾向もあり熱中症のリスクが高くなります。

 

暑さや喉の渇きを感じにくい 
加齢や持病などにより感覚が鈍くなることが多く、暑さや喉の乾きを感じにくくなっています。 

またエアコンがあっても、苦手だから、あるいは節約のためにと使わない傾向があることも、高齢者の熱中症の発症、重症化の一因となっています。

 

薬の影響で体温の調節がしにくくなっている 
降圧薬、睡眠薬、抗アレルギー薬、抗不安薬、向精神薬、かぜ薬などの薬を飲んでいる人では、薬の影響で暑さを感じにくくなったり発汗機能が低下したりすることがあります。

 

持病の影響で体温の調節がうまくできなくなっている 
糖尿病で神経や血流障害が起こっている人や、腎臓病、心臓病、精神疾患度の持病がある人では、持病の影響で体温調節機能が低下することがあり、注意が必要です。 

これらの持病のある人が熱中症を起こすと、重症化しやすい傾向があります。

 

熱中症の後遺症

熱中症で医療機関に救急搬送された場合、すぐに治療が初められますが、重症で命をとりとめても脳や肝臓、腎臓の機能低下などの後遺症が残ることもあります。

脳は熱に弱いので、記憶や認知などの機能が低下する「高次脳機能障害」が起こることがあります。例えば腎臓病のある人が熱中症で更に腎機能が低下し、透析治療が必要になるなど、持病が悪化することも。

救急搬送されると点滴で水分と塩分を補給、重症の場合は全身を冷やす治療として体腔内冷却法(体の中から直接冷却させる)で胃や膀胱に管を入れて冷水を注入する方法や、血液を体外に導いて冷やしたあと体内に戻す「体外循環法」などが行われます。

 

まとめ

熱中症の予防と対策

熱中症が起こりやすい気候、環境などについて知識を持ち、予防をすることが重要ですが、熱中症が疑われる場合の対処法についても、きちんと理解しておくことが大切です。

室内や、就寝中に熱中症になることもあります。温度・湿度管理、水分補給などを普段からこまめにすることを心がけましょう。高齢者の見守りも忘れないでくださいい。

環境省では、前述の暑さ指数の実況と予測だけでなく、熱中症に関する情報を色々発信しています。熱中症の予防・対策に役立つ情報が詳しく載っていますので、是非ご覧になってください。イベントの主催者向けの情報もあります。

参考: 環境省 熱中症予防情報サイト

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