熱中症が心配な高齢の父母の家にエアコンを設置しました(今まで無かった!)。エアコン嫌いの父が暑がりの母を気遣ったのかもしれません。高齢者とエアコンのあるある、熱中症になりやすい要因、熱中症の予防や対策を考えました。
高齢者の熱中症は非労作性熱中症が多い
高齢者が発症しやすい熱中症は「非労作成熱中症」と呼ばれ、家の中で日常生活を送っているだけでも脱水症状が進むタイプです。高齢になるほど発症しやすくなります。
梅雨が開けて暑さが本格化してくると、部屋の中が高温多湿な状態が続きぐっすり眠れなかったりで、高齢者でなくとも体力がなくなり、食欲も落ちて脱水症状を起こしやすくなります。
詳しくは後述しますが高齢者は、
- エアコンの風がキライ
- 電気代がもったいないと使わない
- 年齢とともに身体機能が低下し、喉の乾きや暑さを感じにくくなったりする
ことなども非労作性熱中症の要因となります。
エアコン嫌い夫と暑がり妻の熱中症対策は難しい
世間では夫のエアコンきかせすぎに妻が辟易(へきえき)、という話をよく聞きますが実家は逆。
父が典型的なエアコン嫌いで、実家にエアコンはありません。しかも最近は暑さを感じにくくなり、常に長袖を着ています。窓をあけて風を通すのも渋るほど。
一方母の方は暑がりで、窓も開けられない状況にストレスマックス、体調も崩しがちです。
特に夜は父が窓や扉を締め切ってしまいますので、扇風機を体の直ぐ側で回し、直接風に当たるのです。これ、絶対良くない!
扇風機の風は少なくとも2mくらい離し、同じ場所にずっと当たらないようにしましょう。できれば一旦壁などに当てた風が体にかかるように設定すると良いです。
典型的な高齢者とエアコンの関係
熱中症で救急搬送される人の約半分は自宅で倒れた高齢者で、重症化しやすいという消防庁のデータもあります。
高齢者に熱中症が発症しやすいのには、身体機能や環境、意識が関わっているからです。詳しくは次項で。
実家はここ数年、「○○町で最高気温○○℃」と度々お天気コーナーでも取り上げられるような暑い場所にあります。
今まで何度も「エアコンを付けたほうがいいよ」と説得していたのですが、母はなんだかんだ文句をいいながらも父をたてて我慢していました。
母曰く父は、
- クーラー(エアコンではなく)の風が当たるのがきらい
- 電気代を節約しなければという気持ちが強い(年金生活の心配)
- そもそも暑さを感じない(暑くても長袖、ベストを着ていることさえある)
のだと。
これはまさに、高齢者に熱中症が起きやすい要因と言われているそのものですね。
高齢者に熱中症が起きやすいわけ
熱中症で救急搬送されたひとのうち、高齢者は約半数を上回っています。平成28年の熱中症に寄る死亡数は621人、そのうち65歳以上は492人(79.2%)*になります。
*厚生労働省 人口動態統計(確定数)より
/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/necchusho16/dl/nenrei.pdf
高齢者に熱中症が起きやすいわけは
- 暑さに対する感覚が鈍くなる
- 発汗などで体から熱を逃がす機能が低下
- そもそも体内の水分量が成人より少ない
- 食事からの水分摂取も減っている
- 水分を制限している
- エアコンは体が冷えるから嫌だ、風が苦手
- 電気代がもったいないので使わない
などの要因があります。
また、日頃からどこか具合が悪いところがあり、熱中症の症状に気づきにくく重症化してしまうことも少なくありません。
それぞれの要因とその対処を考えて、熱中症を防ぐヒントにしていきましょう。
節約意識を上手に利用してエアコンを使ってもらう
両親宅のようにエアコン自体ない場合もありますが、「あっても電気代がもったいない」と使わずにいて、室内で熱中症で倒れ救急搬送される高齢者が後をたちません。高齢者だけの世帯では、特にその傾向が強いようです。
父は本当に節約に気を使う人で、例えば夜トイレに起きるときに足元が危ないからと、つけたコンセントに差し込む常夜灯さえ抜いてしまいます。
これは、「暗くて転んでケガをしたら病院代のほうが高くつくでしょ!」と言ったことでなんとか付けたままにしてくれましたが…
エアコンの電気代を使いたくない人には、
「熱中症で救急搬送され数日間入院となれば、数万円の支払いが発生する可能性もあるのよ」
このような論法の節約意識から説得するのも一つの手段となりそうですね。
身体機能の低下をどう補うか
成人は体の60%程が水分です。しかし高齢者は心臓の負担が少なくなるよう、50%ほどになっています。その分水分の蓄えが少なく熱中症になりやすいと考えられています。
体温を調節する機能も低下暑さ・寒さに対する反応が弱くなり、暑いときに汗をかいて体の熱を逃がすことがうまくできなくなってきます。
食事をきちんと摂れていないと食べ物からの水分摂取も不足しがち。喉の乾きも感じにくいので脱水状態になりやすいです。
脱水状態になると、血液を体の表面で冷やして体内に戻す、という循環機能が低下するので熱中症になりやすくなります。
機能低下を補うには、
- 温度計を部屋につけ、室温の上がり過ぎに注意する
- 室温が28℃を越えないよう、エアコンを付けたり扇風機を付けたり、窓をあけて風通しを良くする
- こまめな水分補給(詳細は後述)
- 涼しい服装
- シャワーやタオルで体を冷やす
などを心がけます。
高齢者は水分補給が難しい
喉が渇けば当然水分補給がしたくなりますが、高齢者では水分補給が難しい要因として、喉が乾いたことを感じにくくなっている他に、
- 夜中にトイレに行きたくないので水を飲むのを控える
- 持病で水分を制限している
ということもあります。
病気の場合は主治医の指示に従うことが重要ですが、そうでない場合は水分補給のスケジュールを決めて、水分補給を習慣にすると良いです。例えば
- 朝起きたとき、寝る前
- 食事ごと
- お風呂の前後
などにそれぞれコップ1杯ほど飲むようにします。1日に飲む料は1.2リットルくらいが目安です。(最低限、食事からの摂取は別に必要)
白湯や麦茶、お茶も良いですがなるべくカフェインがないものが良いでしょう。汗をかいた時は塩分も必要ですのでできれば経口補水液(塩分や糖分などが調整されており、体への吸収が早い)、なければスポーツドリンク(飲み過ぎに注意)などを飲みましょう。
経口補水液の作り方(市販もしています)
- 水1リットル
- 砂糖40g(大さじ4)
- 塩3g(小さじ2分の1)
急転直下!エアコンをお得に買うコツ
今週は寒いくらいですが、その前は暑かったですよねえ。さすがに今年はエアコン無しでは危ないかも、と母が心配し始めたのを期に、今がチャンス!とGW中の売出し広告から数点ピックアップ、半ば強引に勧めてみました。
母から(この時点では父は蚊帳の外、です(笑))全面委任をとりつけ、早速近くの大型電気店に向かい電光石火で購入、取り付けも2日後と決まりました。
今の時期は工事もスムースです。梅雨明け後に混み始めるそうですので、購入を検討されている方はお早めに。店員さんもひまなのでまだ忙しくないので、じっくり話が聞けますよ。
値引き交渉のコツは…
値引き交渉は事前の市場調査が重要です。折込チラシやネットで同じ商品の価格や工事費など調べておきましょう。
後は、担当者次第ということもあるので、実力のない担当者にあたった時は店長さんに変わってもらいましょう(笑)。
狙い目は最新モデルの一つ前。機能はほぼ変わりありませんので、価格交渉次第ではかなり値引きになりお得です。
エアコンがやってきた
午後からの工事、ということでしたが朝9時に業者さんから早くなったとの連絡があり、立会のため急いで実家に向かいました。年寄り二人では心もとないですからね。
工事工程も写真に収めようと思っていたのに、すっかり忘れてしまいました。まあ、特に変わったことはありませんが。
かなり前にクーラー(エアコンではなかったです)がついていた場所なので、取付用の穴や専用コンセントはありましたので、スムースに設置できました。
それでも結構時間はかかりましたね。暑い日でしたので業者さんも汗だく。ありがとうございました。
室外機が結構大きいのにはちょっと驚きましたが、場所は十分ありますので問題はありません。
ただ、真南に向いていますので日除けカバーを購入予定です。アルミ製で1万円前後で良いものがありました。
父の容認は意外だった
実家につくと母が意外なことを言いました。それは父が「エアコン代を自分が出す」と言ったというのです。
節約を気にする父に設置を受け入れてもらうために、こちらで持つからということにしていました。
ああだこうだと反対すると思っていたものですから、これにはびっくり。もしかしたら母への気遣いかも、なんて想像しています。
母が体調を崩すことも多くなってきたこと、そして父も自分の衰えを感じているのでしょう。
今のエアコンは高性能ですよ!
エアコンは冷えすぎる、風が当たるのがキライ、という高齢者も多いですが、今のエアコンはなかなかのすぐれもの。
一度設定しておけば快適な温度で自動的にオン・オフする機能などもあるし、直接風が当たらないようにすることも可能です。
実際試し運転をしてみましたが、音は静かだし空気の流れも気になるほど風も当たらない。エアコン嫌いの父も、さほど気にならずに快適な夏を過ごせそうです。
母には、扇風機は自分にあてるのではなく、部屋の空気をかき回すのに使うこと、と念を押しました(笑)。
エアコンは新しいものほど省エネで、電気代が夏場だけ突出することもないでしょう。暖房でも電気パネルなどに比べて格段に安いはずです。
まとめ~熱中症対策、周りの人の見守りも大事です
暑さに体がなれていない時期の蒸し暑い日、真夏日は特に救急搬送者が増える傾向があります。
高齢者の熱中症をできるだけ防ぐには、高齢者の身体機能の低下や節約意識なども理解した上で、以下のようなポイントについて本人だけでなく、周りの人間の見守りも大事。
- エアコンの利用
- こまめな水分補給
- 無理をしない
- 涼しい服装
- 部屋の風通し
また、高齢者だけの世帯では、誰もが分かる場所に
- 緊急時・困った時の連絡先
- かかりつけの医療機関名と連絡先
- 処方されている薬の種類がわかるもの
を備えておくことも大切です。緊急時に迅速な処置が可能となります。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ
参考:
熱中症マニュアル 環境省
/k/chemi/heatstroke/kourei/confirm.html
高齢者と子供の注意事項 環境省熱中症予防情報サイト pdf p.34~40
/pdf/envman/3-2.pdf