口内炎は大抵は自然に治ることが多いですが、口内炎が治らない場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。口の中のできものは口内炎だけとは限りません。病気の発見に役立つ口内炎の種類、対処をお伝えします。
口の中の出来物と口内炎
多くの方が一度は経験するであろう口内炎ですが、口の中のできものを、口内炎だと思って放おっておいたらなかなか治らず、医療機関を受診したら実は別の病気だった、ということもあります。
口内炎が1か月以上たっても治らない、大きくなるなどの場合は、口の中のできものが口内炎ではない可能性を考え、耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。後述する白板症の一部はがん化することもあります。
また、入れ歯などによる障害で口内炎が度々繰り返すことで、その部位ががん化することもあります。口内炎を何度も繰り返す場合は軽視せず、受診しましょう。
口内炎と区別がつきにくい病気
粘膜が白く変化した白板症は、口内炎でよくあるアフタ性口内炎と見分けがつきにくい病気です。口内炎だと思い放おっておくとなかなか治りません。
できものがだんだん大きくなって、痛みが出始め受診したときには、舌がんに進行していた、ということもあります。
口内炎がなかなか治らない場合は、病気の早期発見のためにも、医療機関を受診して検査を受けるようにしましょう。
舌がんと白板症
舌がん
早期の小さな舌がんは白く濁って見え、耳鼻咽喉科の専門医であれば見分けがつく。しかし、一般には口内炎と区別するのは困難である。
早期には痛みなどの症状がないことが多く、見過ごされやすい。
進行すると広い範囲に潰瘍ができたり、不揃いの凹凸ができて硬くなり、痛みが生じる。
白板症
粘膜が白く変化した状態。舌を含め口腔の様々な部位にでき、小さなものでは口内炎と区別がつきにくいので、放置されがちである。
また、白板症の一部は、時間がたつとガンに変わる前がん状態の場合もある。
舌がんは最初から潰瘍ができて見つかることもあるが、白板症が起こり、少しずつ潰瘍ができたり、固くなったりして舌がんになることがある。
受診が進められる場合
口内炎の多くは治療をしなくても、通常1~2週間ほどで治っていきますし、口内炎が大きくなることは殆どありません。
一方で舌がんは自然に治ることはほとんどなく、放っておけば徐々に大きくなり、白板症も自然に消えることはありません。
口内炎が1か月以上たっても治らない場合、大きくなる場合は病気の可能性を考え、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
白板症の場合は、数カ月から半年に1回など、定期的に検査を受けてガンになっていないことを確かめることが大切です。
口内炎の治療・予防
口の中は鏡を使うなどして自分で観察することができます。
がんを早期に発見したり口内炎を早めに治療するためにも、歯磨きなどの際に口の中を観察し、必要であれば耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。
口内炎の治療では原因に応じてビタミン剤、抗ウイルス薬、ステロイド外用薬、抗菌薬、抗真菌薬などで薬物療法が行われます。
口内炎の主な3つの種類
まず口内炎の種類を確認しておきましょう。口内炎は、舌や歯肉、口唇を含む口腔内の粘膜に起こる炎症のことです。主な口内炎には以下の3つの種類があります。
口内炎の種類
- アフタ性口内炎
- ウィルス性口内炎
- 物理的な障害による口内炎
この他、細菌や真菌(かび)などで口内炎が起こる場合もあります。
区別がつきにくい病気
- 舌がん
- 白板症
詳細は後述
薬物治療
ビタミン剤
ビタミンB2不足が疑われる場合、ビタミン剤を服用。
静脈注射や点滴が行われることもあります。
抗ウイルス薬
口唇ヘルペスには抗ヘルペス薬の軟膏が使われます。
症状の程度によっては内服薬が使用されることもあります。
ステロイド外用薬
アフタ性口内炎や物理的な障害による口内炎に使われます。
炎症を抑える作用をもっています。
頬や口唇の内側などには、ステロイドを含む「パッチ」を貼ることもあります。
そのほか、細菌が原因の場合は抗菌薬の内服薬、真菌が原因の場合は口に含むゲル状の抗真菌薬などが使われます。
鉄分が不足している場合は鉄剤が使われたり、炎症を抑え粘膜を保護するためのうがい薬が使われることもあります。
口内炎の予防4つのポイント
- 食生活に注意する
- 過度の疲労・ストレスをためない
- 禁煙、適量の飲酒
- 口の中を傷つけず、清潔に保つ
食生活に注意する
ビタミンが不足しないようにしましょう。ビタミンB2を多く含むレバー、卵など、ビタミンC・Aを多く含む緑黄色野菜・くだものなどを積極的に摂ります。
栄養バランスの良い食事は口内炎に限らず様々な病気の予防につながります。
過度の疲労・ストレスをためない
免疫力を低下させたりビタミン不足を招くことが有るので、過度の疲労やストレスをためないよう注意しましょう。
禁煙、適量の飲酒
たばこやアルコール飲料は口腔の粘膜に直接刺激を与えるので、炎症を起こす原因となることが有ります。
また、口腔、のど、食道などのがんのリスクも高まります。禁煙し、飲酒は適量に抑えましょう。
口の中を傷つけず、清潔に保つ
歯のかみ合わせが悪い、入れ歯があっていないなどがある場合は、歯科で調整してもらうことが大切です。
食後には歯磨きを行うなど口の中を清潔に保つことも必要です。
口内炎の種類
アフタ性口内炎
表面が白っぽく周囲が赤い楕円形、または円形の潰瘍で痛みを伴う。
多くの人が経験するタイプの口内炎で、舌、歯肉、頬の内側、口唇の内側など様々な部位にできる。1つの場合も複数の場合もあり原因はわかっていない。
ストレス、睡眠不足、唾液不足による口腔内の乾燥、口腔内の不衛生、ビタミンや鉄分の不足などが関係していると考えられている。
ウィルス性口内炎
ウイルス感染が原因で、疲労や免疫力の低下、生理などをきっかけとして発生することがある。
代表的なウイルスがヘルペスウイルスで、水疱や赤い発疹ができ、チクチクするなど違和感がある。
ヘルペスウイルスによる口内炎は、口唇にできる口唇へルペスが多く、口腔粘膜にできる口内ヘルペスもある。
子供の場合はコクサッキーウイルスで手足口病などで口に水疱ができることがある。
物理的な障害による口内炎
やけどや歯、入れ歯、矯正器具などが当たる刺激が原因で起こる。粘膜が白くなったり赤くなったりして痛みを伴う。
舌にできた場合は、味覚の低下、酸味・辛味など刺激の強い食べ物がしみたりする。
参考
少し古いですが、NHKためしてガッテン(現ガッテン)で口内炎を取り上げていました。わかりやすいのでリンクを貼っておきます。
(NHKトップページに飛びますので、番組検索でガッテンを選び、タイトル、もしくは放映日で検索してください。)
▶口内炎スピード完治!NHKためしてガッテン 2009年2月25日
まとめ
物を食べるとしみて痛い口内炎。誰もが一度は経験したことが有るのでは。通常は1~2週間ほどで自然に治ります。
しかし、口内炎と区別がつきにくい口の中のできものもあり、進行すると舌の機能を失ってしまう舌がんの可能性もあります。
口の中のできもの、口内炎がなかなか治らない、何度も繰り返すといった場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。
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