汗は本来無臭です。ワキガの原因となるアポクリン線から出た汗も出た時は無臭。臭い汗は病気が原因の場合もありますが、実は人間の本能と深い関係にあるのでは、という研究もなされています。汗の種類と臭い汗の真実に迫ります。
汗腺の種類とその機能
汗は、エクリン汗腺とアポクリン汗腺と言う2つの汗腺からでます。発汗直後はどちらも臭いはありません。それぞれの特徴と機能は以下に簡単にまとめました。
エクリン汗腺 | アポクリン汗腺 | |
---|---|---|
ある場所 | 爪の下と唇以外、ほぼ全に分布身 | 毛穴に付随 脇の下、耳(外耳道)、乳輪、まぶた、鼻の脇、陰部、肛門などに点在 |
機能 | 体温調節 | 異性への本能? |
特徴 | 無臭でサラリとしている | 発汗直後は無臭 思春期頃から活動を始める やや粘り気がある 体臭のもと わきがの原因 |
脇がにおうのは、本能?
生物が種の保存のため異性を引き付けるために利用する物の一つに、においがあります。ヒトも例外ではありません。
女性が惹きつけられるにおいは、父親のにおいから、最も遠いにおいだそうです。本能が遺伝学的に問題を起こさない対象を選ぶようになっているということなんですね。
Aさんが嫌うにおいの男性が、Bさんをひきつける、というわけです。
そこで重要なのが、脇の下のにおい。人は抱擁し合う時脇を広げます。
そのときに感じる臭いが愛情と安心の象徴ではないか、いわゆる異性を引き付けるフェロモンの役割を果たしているのでは、人間の本能の中に、脇のにおいへの愛着が深く根付いているのでは、と言った説もあるようです。
ある人にとっては鼻を塞ぐほどに不快なにおいでも、別の人にとっては惹きつけられる良いにおいである。不思議ですね。
といっても、不潔にしているために発生するにおいはいただけません。
臭い汗の原因NO.1はアポクリン汗腺
男女ともに体臭で悩む原因のトップは、脇の汗によるわきが。汗を出すのはアポクリン汗腺とエクリン汗腺がありますが、脇がにおうのはアポクリン汗腺から出る汗の成分が、皮膚表面の常在菌によって分解されるためです。
汗の中に僅かに含まれている皮膚の脂肪酸が酸化分解されると、イソ吉草酸などが形成されて、においを放ちます。こうした汗臭さは、誰もが自然と発生させているのですが…
わきが
臭い汗の代表、わきがはアポクリン汗腺から出る汗によって起こります。アポクリン汗腺から出る汗も、発汗直後は臭いはありません。
汗に含まれているタンパク質、アンモニア、脂質などの成分が、皮膚表面の常在菌に触れて分解されてにおいが発生します。
アポクリン汗腺が多い人の場合、臭いの質・量とも他の人を遥かに上回ることがあります。アポクリン汗腺から、揮発性ステロイドがたくさん分泌され、かなり強い匂いを発生させ、いわゆるわきが状態となります。
わきがは脇の下の臭いが代表的ですが、実はデリケートゾーンの臭い(すそが、すそわきが)などもあり、臭いに悩む人は多いです。
感情の起伏で出る汗の種類
辛い時、悲しい時、焦っている時、危険な時、性的欲望を感じた時…
同じ汗でも、状況や感情の起伏により出る汗の種類は異なってきます。大きく分けると、
- 温熱性発汗
- 精神性発汗
があります。また、汗には気持ちの良い汗と悪い汗があり、悪い汗は臭いといえます。
汗の役割は、体温調節ですが、老廃物の除去、自律神経の調節や、肌の保護の役割も果たしています。
温熱性発汗
温熱性発汗は、気温の高い時のほかにも、適度な運動で体温が上がったときやサウナに入ったときなどもでます。
ものを食べるときも体温が上がり、発汗が促されます。夏に暑いものを食べると涼しくなるのは、暑い食べ物で体温が上がり、でた汗が皮膚の表面温度を下げてくれるからです。
温熱性発汗は、気持ち良い発汗を促してくれます。においも自然な汗のにおいです。
精神性発汗
熱くもないのに額や脇の下などにじっとりかく、気持ち悪い汗の代表が冷や汗。緊張やストレスから起こります。
体温調整とは関係なく、交感神経が過剰に働いているのが原因で、皮膚は冷え毛穴は縮まって鳥肌が立っているのに、更に汗が流れてひやりとします。
冷や汗は通常の生理現象なので、健康上は特に心配はありません。
皮脂が汗にまじりこむ脂汗も、生活習慣病につながりやすいという心配はありますが、それ自体は心配ありません。
額は皮脂腺が多いので脂汗でテカりやすいです。油ものの好きな人や、脂肪のついた体の人は脂汗が出やすいといえます。
ただし、高熱がある、発熱、ケガなどで非常に強い痛みを感じているときに出る脂汗は、脳卒中や腸閉塞など、重い病気の前兆という可能性もあるので、病院にいくことをおすすめします。
また、少しの刺激で大量の汗をかいてしまう、多汗症という体質の場合もあります。糖尿病などの疾患に伴う場合と、精神的要因によるものがあげられます。
臭い対策
臭い汗も、前述のように、異性を引き付けるためのにおいでもあるわけで、極端に臭い対策をするのは考えものかもしれません。
あまりに症状がひどい場合はアポクリン汗腺切除、という方法もありますが、大抵の場合は日常のケアでなんとか臭いを抑える、という対策をとります。
- こまめに体を洗って汗や分泌物を落とす
- 制汗剤で発汗を抑える
- 抗菌剤で皮膚の常在菌の繁殖を抑える
などです。
しかし、制汗剤などで汗を出なくすると、放熱機能が妨げられますし、抗菌剤は皮膚を守ってくれている常在菌まで除去してしまいます。
自然な汗のにおいを許容するのが、一番の対策のような気もしますが、極度な清潔嗜好傾向にある現代では、それは難しいといえるかもですね。
汗腺トレーニング
空調の効いた快適な環境で過ごすことが多い現代人は、汗腺の機能が低くなり、暑い場所ではどっと汗をかいてしまうことが多いです。
汗は本来酸性なのですが、こうした悪い汗はアルカリ性で、常在菌が繁殖しやすい環境を作ります。
クーラーの効いた部屋から急に暑い戸外に出てびっくりと言う環境が繰り返されているうちに、自律神経が狂いがちになり、汗と一緒に塩分やミネラルなど、体に必要なものが出てしまいます。
大量に汗をかいたあと、衣服にびっしりと白く塩がつくのはこのためです。
悪い汗をかくと臭い汗になりやすいので、日頃の汗腺トレーニングで悪い汗を書かないようにすると良いでしょう。
- 適度な運動
- 浴槽に浸かる(シャワーだけですませない)
- 1日一度、熱い飲み物を飲んでじんわり汗をかく
- クーラーの設定温度は、外気温からマイナス5℃以内
と言ったことを心がけると、汗の質は良くなっていきます。
汗の機能
暑いときに汗をたくさんかくのは、汗が蒸発する時の気化熱で、皮膚表面の温度をさげて、体温上昇をストップさせるためです。
汗を書かないと体温はドンドン上がり続け、最悪の場合、死に至ることもあります。汗をかきにくい人は注意が必要です。
汗腺(汗を出す細い管)は少ない人で200万個、多い人では500万個あり、皮膚の中で毛細血管とつながり、そこから汗を出します。
毛細血管も暑いときは広がり、寒いときは縮むと常に働いています。体温調節は、汗腺と血管の連携プレーで行われています。
汗の成分は、水分、喧嘩ナトリウム、尿素、塩素、カリウム、マグネシウム、乳酸などです。
まとめ~汗のにおい対策
汗の臭いの種類は、自然な汗臭さのほかに、悪い汗をかいて菌が繁殖しやすい環境になって臭い汗になる場合があります。
人によっては同じにおいでも、臭いと感じたり、魅力を感じたり。嗅覚はヒトの本能と深く関わっていると言えるようです。
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