鼻水・鼻づまりがかぜ(かぜ症候群)によって鼻炎が起きている場合であれば、殆どは1週間ほどで治ります。長びく場合はアレルギー性鼻炎が考えられます。長びく子供の鼻水・鼻づまりについて症状や治療法をお伝えします。
長びく子供の鼻水・鼻づまり注意報
子供のアレルギー性鼻炎は、鼻水や鼻づまりが長びく他にも、様々な兆候があります。小さい子供では自分で症状を訴えることは難しく、周囲の大人が子供の様子を観察し、兆候に早く気づくことが大切。
原因となるアレルゲンを特定し、除去したり避ける日常生活での工夫も重要ですが、過度のストレスや睡眠不足などで、症状が重くならないように注意することも大切です。
子供の症状とアレルギー性鼻炎の兆候
子供はハウスダストが原因の通年性アレルギー性鼻炎*が多いです。アレルギー性鼻炎の代表的な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりです。子供に以下のような様子が見られないか、周囲の大人が観察して兆候に気づくことが大切です。
*アレルギー性鼻炎の種類と特徴については後述しています。
子供の様子を観察する
子供にくしゃみ、鼻水、鼻づまりのほかに、
- 鼻が痒くていじったりこすったりする回数が増えた
- 鼻血が出やすい
- 鼻づまりのため、口呼吸をする
- 寝付きが悪い
- いびきをかく
などの様子が見られると、アレルギー性鼻炎が進行している疑いがあります。
鼻の症状以外にも、目や喉にもアレルギー反応が起こり
- 目のかゆみ
- 頭痛
- 咳が続く
- 皮膚のかゆみ
などの症状が出る場合もあります。
また、鼻づまりを不快に感じ、不機嫌になりがち。小さい子供は、鼻づまりなどの症状を自分から訴えることは難しいので、周囲の大人が子供の様子を注意深く見守ることが大切です。
環境の影響
清潔志向も行き過ぎると体の抵抗力が低下するのであまり良くない、という考え方もあります。
乳幼児期にあまり清潔でない環境にいる子供は、アレルギー疾患の発症が少ない、という多くの疫学調査による報告もありますが、それとは矛盾する報告もあり、今のところこの問題に対する結論はでていません。
治療法
主に薬、手術、免疫療法があります。子供の場合は薬が治療の中心となります。子供の治療に使用される主な薬は以下の4種類です。
- 第1世代抗ヒスタミン薬
- 第2世代抗ヒスタミン薬
- ステロイド薬
- 血管収縮薬
薬による治療
ヒスタミンはアレルゲンが体の中に入ったときに、過剰な免疫反応で出来る化学伝達物質の一つ。この働きを抑えるのが抗ヒスタミン薬で、第1世代と第2世代があります。
第一世代抗ヒスタミン薬
- 主にくしゃみ、鼻水に効果があり、乳幼児を中心に使用
- 副作用:眠け、胃腸障害、口の乾き、めまい、頭痛、ときに痙攣など
第2世代抗ヒスタミン薬
- くしゃみ、鼻水・鼻づまりに効果があり、学童期以降に使われる
- 第一世代に比べ副作用が比較的少ないとされている
ステロイド薬
- くしゃみ、鼻水・鼻づまりに非常に効果が高い
- 最近のステロイドの点鼻薬は、体に吸収されにくく分解も早いので、全身的な副作用の心配はない
- 容量の調整も可能で安心して使用できる
血管収縮薬
- 通気性を良くし、鼻づまりに即効性がある点鼻薬で市販されている
- 長期間使い続けると、かえって鼻づまりがひどくなる
特に子供の場合、過度の使用で発汗、徐脈、昏睡などのショック症状が現れることもあるので、なるべく長期使用は避けたほうが良い - 症状が続く場合は医療機関で適切な薬の処方を受けること
※点鼻薬は鼻をかんだ後に使うと効果的。
手術と免疫療法
手術には
- 鼻の粘膜を焼くレーザー治療
- 腫れた鼻の粘膜をメスで切除して小さくする
方法があります。鼻づまりに効果がありますが、長く持続しないのでいずれ再発し、治療を繰り返すことになります。
小さい子供では全身麻酔で手術、入院する必要があるので、手術はあまりおすすめできません。
免疫療法
原因となっているアレルゲンを、少しずつ量を増やしながら2~3年かけて定期的に注射して体をならし、免疫が過剰に働かないようにする治療法です。即効性はなく、薬との併用で行います。
対象は6歳以上の子供ですが、アレルギーの原因物質を薄めて投与するため、まれにショックなどの副作用が起こります。重症の気管支喘息を合併している子供は、特に注意が必要です。
アレルギー性鼻炎との付き合い方
子供のアトピー性皮膚炎や気管支喘息は、小学校高学年になる頃には自然治癒する傾向が多いです。アレルギー性鼻炎の場合は治癒することは非常に少なく、基本的に継続した治療が必要です。
アレルギー性鼻炎は症状がないときに薬を減らすことは可能。ダニが原因の場合はダニが少ない冬、花粉が原因の場合は、花粉の少ない時期に薬を減らすことが可能です。医師に相談してみましょう。
日常生活の注意点
アレルギー性鼻炎を悪化させないためには、病気を引き起こすアレルゲンを除去・回避することが重要。子供は生活の範囲が狭く、日常生活では以下のような点に気をつけることが大切です。
通年性アレルギー性鼻炎 室内を清潔に保つ
- 布貼りのソファーは避ける
- カーペット、畳はできるだけ辞めフローリングにする
- 少なくとも寝室にはペットをいれない
などの工夫をする
季節性アレルギー性鼻炎
花粉情報を参考に、飛散の多い日は、窓や戸を締め、なるべく外にでない
アレルギー性鼻炎とは
アレルギー体質の人が、アレルギーの原因となる「アレルゲン(抗原)」に触れることで起こります。アレルゲンが体の中に入ると、それを異物とみなす免疫の働きが過剰になり、花の粘膜や神経などが刺激されてアレルギー性鼻炎の症状が起こります。
アレルギー性鼻炎は、通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎の2つに大別されます。
通年性アレルギー性鼻炎
代表的アレルゲンはハウスダスト(室内のほこり、ダニ、動物のフケや毛)で、一度発症すると、一年中症状があります。
季節性アレルギー性鼻炎
アレルゲンは、スギ、ヒノキ、ブタクサ、カモガヤなどの花粉で、「花粉症」とも呼ばれます。その花粉の飛びかう特定の時期に発症します。
合併症
鼻づまりが悪化すると「滲出性中耳炎」や「副鼻腔炎」などを発症したり、アレルギー体質があると「アトピー性皮膚炎」や「気管支喘息」が起こるリスクも高くなります。
気管支喘息で医療機関を受診する患者さんの8割がアレルギー性鼻炎を併発、というデータもあります。アレルギー性鼻炎は早めに治療を始めることが大切です。
まとめ
子供の長びく鼻水・鼻づまりなどは、アレルギー性鼻炎の兆候に周囲の大人が早く気づき、早めに治療を始めることも大切です。
アレルゲンを除去する、避けるなどのほかに、日常生活の注意、過度なストレスや睡眠不足などによって症状が悪化しないよう、子供に規則正しい生活をさせることが重要です。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ
参考
▶アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)の主な治療薬 日本アレルギー協会
/www.jaanet.org/pdf/archives_20150805-2.pdf
▶子供のみみ・はな・喉の病気 はなの病気 Q&A アレルギー性鼻炎 日本耳鼻咽喉科学会
/www.jibika.or.jp/citizens/handbook/hana1.html