突然の足の激痛!働き盛りの男性に多い痛風は、高尿酸血症が根底にあります。代謝の病気で、心血管病とも関連。激痛や全身の合併症を防ぐには、尿酸値を下げる治療が大切です。痛風の痛みとその対処、薬と治療についてお伝えします。
痛風の薬と治療
痛風発作の症状は1週間ほどで収まりますが、尿酸値が高いまま放置すると慢性化し、メタボリックシンドロームが起こりやすいと考えられ、心血管病が増えることも知られています。
痛風・高尿酸血症は基本的に生活習慣病であり、治療はまず生活習慣の修正が基本となります。十分に改善されない場合は、薬物療法を行います。
最近では、高尿酸血症には、痛風の原因となるだけでなく、様々な生活習慣病が起こりやすい状態を示す、マーカとしての側面があるとも考えられています。
その場合は、尿酸値を下げることよりも、合併する高血圧や脂質異常症、糖尿病などの改善から取り組むことになるでしょう。
高尿酸血症の治療方針
尿酸値が7.0mg/dl を超えると高尿酸血症と診断されますが、それだけで薬が必要なわけではありません。痛風発作がなければ、注意信号と考えて、まずは生活習慣の改善を図ります。
- 痛風関節炎や痛風結節がある
- 尿酸値が8.0mg/dl 以上で合併症がある
- 尿酸値が9.0mg/dl 以上
の場合に、生活習慣の修正を測った上で、薬物治療を検討することが勧められます。
薬物療法
生活習慣の修正で改善されない場合に行う薬物治療に使われる薬は、
- 痛風関節炎の治療
- 高尿酸血症の治療
- 尿路結石を防ぐ治療
などの目的に分けて考えられます。
- 痛風発作が起こったとき まず関節炎を抑える治療をおこなう
- 症状が収まってから高尿酸血症の治療を行う
- 尿酸値を下げる薬を用いて、体内にたまった尿酸を減らす
- 尿路結石の予防に、尿をアルカリ化する薬で尿酸を溶けやすくする
痛風発作(痛風関節炎)を抑える薬
痛風関節炎に対しては、炎症や痛みを抑える「コルヒチン」「非ステロイド消炎鎮痛剤」「ステロイド薬」などが用いられます。
飲み方や使い方の注意点などを確認しましょう。
コルヒチンの使い方、飲むタイミング
コルヒチンは古くから痛風発作を抑えたり、軽くするために使われてきた薬です。
痛風発作は、関節にたまった尿酸の結晶が剥がれ、白血球がそれを取り除こうとするために、炎症を引き起こしてます。
コルヒチンは、その白血球の作用を押せて炎症を防ぐので、痛風発作の前兆期や起こり始めに飲めば、ひどい発作を避けることも可能です。
痛風発作を起こしたことのある人は、この薬を持ち歩き、前兆があったらすぐに1錠飲むようにしてください。
1錠飲んでも激痛が収まらない場合、追加で飲んでも大丈夫ですか?
痛みがひどくなってから何錠も飲んでもあまり効果はありません。
その場合は非ステロイド鎮痛薬を用います。
コルヒチンを飲んでいれば痛風発作を予防できますか?
- 多量に使うと副作用がでやすいので、発作のときに必要な量だけ使うのが基本です。
- 発作が頻発するときは連日使うこともあります。
- 発作の症状を抑えるだけで、根本的な治療薬ではありません。
- 痛風発作の予防には、尿酸値を下げる治療が必要です。
非ステロイド消炎鎮痛剤
分類名 | 一般名 |
---|---|
痛風発作緩解薬 | コルヒチン |
日ステロイド消炎鎮痛薬 |
インドメタシン |
オキサプロジン | |
ナプロキセン | |
プラノプロフェン |
痛風発作を起こして受診した場合は、痛み止めとして広く使われている、非ステロイド消炎鎮痛剤が主に用いられます。
炎症が強い時期には、一般に【パルス療法】といって、1~2日の短時間だけ比較的多い量を使います。
関節痛がある場合は通常服用を続けますが、痛みが治まれば中止します。
市販の鎮痛薬を飲んでも大丈夫ですか
- 市販の鎮痛薬にはアスピリン(アセチルサリチル酸)を含むものが多いです。
- アスピリンは尿酸値を変動させます。 血栓予防に使うような少量なら、尿酸値は少し上がりますが、発作には影響しません。
- しかし、市販の鎮痛薬は量が多めなので、尿酸値が急に低下し、発作がかえってひどくなります。
- アスピリン成分に入っているものは、避けたほうが良いでしょう。
ステロイド薬はどんな場合に使われるのですか
- 非ステロイド消炎鎮痛剤が使えない、使っても効果がなかった、痛風関節炎が同意に何箇所にも起こったときなどに用いられます。
- 炎症を協力に抑える作用があり、痛みや腫れを取り除く効果があります。
- 急に辞めるとリバウンドが起こるので、症状が収まったら少しずつ減量していきます。
高尿酸血症、尿酸値を下げる薬
分類名 | 一般名 | 通常の使い方 (1日) |
副作用・注意点 |
---|---|---|---|
尿酸排泄促進薬 |
ベンズブロマロン | 1~3回服用 | 尿路結石、まれに思い肝障害。 高度な腎障害があると無効。 |
プロベネシド | 2~4回服用 | 尿路結石。薬剤相互作用が多い | |
ブコローム | 1~3回服用 | 消化性潰瘍 | |
尿酸生成抑制薬 |
アロプリノール | 2~3回服用 | ときに軽い肝障害、皮疹。 腎不全のある人ではまれに重篤は副作用。 腎機能低下に応じて減量。 |
フェブキソスタット | 1回服用 | 2011年5月発売の新薬。 チケにゃ海外での使用における副作用の報告は少ない。 |
尿酸値を下げる薬は、尿酸は異種促進薬、尿酸生成抑制薬が使われてきました。薬を飲むことで、痛風発作を起こしにくくできます。
高尿酸血症には以下の3つのタイプがあり、それぞれに応じた薬を用います。
- 尿酸排泄低下型 尿酸の体外への排泄が低下しているタイプ
- 尿酸酸性過剰型 体内で尿酸が作られすぎているタイプ
- 混合型 2つが重なっているタイプ
これらに加え、2011年5月に尿酸生成抑制薬、フェブキソスタットという新薬が40年ぶりに登場しました。この他、2010年からがん化学療法に伴う高尿酸血症に「尿酸分解酵素薬」が用いられるようになりました。
薬を飲んで尿酸値6.0mg/dl以下を目指す
結晶化して体内にたまった尿酸を溶かし出すには、尿酸値を一定以下まで下げる必要があります。6.0mg/dl 以下に保つのが望ましいとされています。
最小容量から始めて、3~6ヵ月かけて6.0mg/dl 以下に下がるよう、少しずつ減量していきます。その後尿酸値が6.0mg/dl 以下に安定する容量で服用を続けます。
尿酸の結晶が体内にたまり始めるのは尿酸値が7.0mg/dl を超えたあたりですが、それより少し低い値では、すでに体内に溜まっている尿酸はほとんど減りません。確実に尿酸が溶ける値が目標となり、実際に6.0mg/dl 以下に保つと痛風発作の回数が減ります。
尿路結石の予防薬
尿路結石は痛風に合併しやすく、予防のために「尿アルカリ化薬」を用いることがあります。
尿中の尿酸は、尿が酸性に傾くほど溶けにくくなり、結石ができやすくなります。その為、尿酸の尿中への排出量が多い人は、尿をアルカリ性にして結石ができにくくすることが大切。
特に、尿酸値を下げるために尿酸排泄促進薬を服用している場合、尿中の尿酸が増えて尿路結石ができやすくなるので、通常尿アルカリ化薬を併用します。できた尿路結石を溶かすために使われることもあります。
尿路結石の予防には、ナトリウム含有量が少ないクエン酸製剤が主に用いられており、1日2~3回、食後に飲むのが一般的です。
ナトリウムが含まれているので、高血圧のある人は血圧に注意しながら使います。尿路結石の予防には、
- 水分を十分にとって尿量を増やす
- 尿を酸性にしやすい肉などを控えめにし、アルカリ性にする野菜や階層、牛乳などを積極的に取る
と良いでしょう。
参考: 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版 2012年追補ダイジェスト版
日本痛風・核酸代謝学会>ガイドライPDF /wp-content/uploads/2013/06/tufu-GL2.pdf
画像 p11
NSAID(非ステロイド消炎鎮痛薬) p9
尿酸降下薬の種類 p12
足の激痛、痛風の痛みの原因と治療
痛風は突然足の激痛におそわれる病気として知られていますが、単に関節が痛くなる病気ではありません。
痛風発作と呼ばれる「痛風関節炎」は突然起こりますが、その根底には、血液中の「尿酸」が多くなりすぎた「高尿酸血症」があります。
血液の尿酸値は一般に男性のほうが高めですが、性別、年齢にかかわらず7.0mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されます。
尿酸とは
尿酸は新陳代謝等によって生じる物質で、毎日体内で作られる一方、主に腎臓から尿へ排出されることで一定量に保たれています。
健康な人の血液中にも溶け込んでいますが、多くなりすぎると結晶化して体の中に溜まってきます。
特に溜まりやすい部位が関節で、これが関節炎の原因となります。痛風の痛みの症状は1週間ほどで収まりますが、尿酸値が高いまま放置すると、多くの場合発作を繰り返し、慢性化していきます。
尿酸の結晶が皮下に沈着して結節ができたり、腎障害や尿路結石などの合併症を起こすこともあります。
生活習慣の修正と薬物治療
尿酸値を上げやすい生活習慣の修正が基本となります。
- 食べすぎない
- 尿酸のもとになるプリン体や、加藤のとりすぎに注意
- 飲み過ぎない
- 水分を十分に取る
- 適度な運動をする
などを心がけます。
生活習慣の修正で、痛風・高尿酸血症が十分改善されない場合、薬物療法を加えます。
痛風・高尿酸血症のポイント
- 尿酸値を上げやすい生活習慣の修正
- 痛風発作が起きているときは、尿酸値の急な変動を避ける
- 尿酸値を下げる薬は、尿酸値を6.0mg/dl 以下に保つことを目指して使う
まとめ~尿酸値に注意して早期に以上を発見
足の激痛など、痛風発作はは日本では比較的早くから治療を行うので全般に軽症で済んでいます。
しかし、症状の無い高尿酸血症は尿酸値だけでなく、併せ持つリスクも総合的に考えて薬の必要性を検討します。
健康診断を受けたら、尿酸値にも注意して早期に異常を発見しましょう。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ