生活習慣病や肥満の予防、改善に適度な運動は重要な要素で、ウオーキングが手軽に出来る運動ですが…膝の痛みがあるとウオーキングも辛い。今回はお風呂で毎日できる膝の痛みを治すストレッチをご紹介します
変形性膝関節症による膝の痛みの対処
膝の痛みがあってウオーキングも怖くてできない、という人の9割は変形性膝関節症が原因と言われています。痛みがあるので動かさないでいると進行して膝に水がたまり、腫れてくることもあります。
悪化させないためには、膝関節軟骨に大きな負荷をかけないことも大事ですが、安静にしすぎることにも問題があります。
関節軟骨には血管が無いので、栄養を補給するためには、適度な歩行などの運動による圧縮・弛緩のリズミカルな刺激が必要です。
膝に力を入れたときに老廃物が関節軟骨から押し出され、力を抜いたときには新しい関節液と一緒に栄養も送り込まれます。
ひざを支える筋肉を鍛える
膝の痛みを治すには、膝を支える筋肉を鍛え、関節軟骨に適度な荷重をかけることも重要です。
痛みがあまりなければ、散歩などを行ったほうがむしろ効果的です。ポールウオーキングやベンチステップ運動など膝や腰などへの負担を軽減する運動もすすめられます。
運動は継続して行うことが良いのですが、なかなか難しい事情があったり、他の運動がひざの痛みで続けられないこともあるでしょう。そんな方におすすめなのがお風呂で行うエクササイズです。
膝の痛みを軽くするお風呂エクササイズ
最近はシャワーだけで済ませる人も少なくないようですが、日本人は入浴好きが多い。その生活スタイルを利用したお風呂エクササイズが、膝の痛みを治すのにおすすめです。
お風呂に入る事で膝を温め柔らかくしてから始められ、お湯の浮力で無理な負荷をかけずに出来るのもメリットです。
治す、と言っても治療ではありませんので痛みが軽減して改善するのに役立つ、ということです。痛みが長引いたり強くなってきたら、専門医に相談することが必要です。
整形外科を受診して、変形性膝関節症の治療をしっかり受けてください。治療はまず保存的療法で病気の進行を押さえ、痛みの改善を測ります。
お風呂エクササイズのやり方と、変形性膝関節症の特徴、治療についてお伝えします。
膝の関節が安定するお風呂エクササイズ
お風呂エクササイズは、太ももの前側と後ろ側の筋肉を同時に強化することができ、膝の関節が安定します。
痛みが誘発されたり、単調で飽きたりすることも少なく安全で効果的な方法です。入浴ができない時は、足を伸ばして座り、膝の裏にタオルなどを丸めたものが当たるように置き、膝を伸ばして膝の裏で潰すような膝体操もおすすめです。
基本の方法をチェック
- ややぬるめのお湯をため、風呂場を暖かくしておく
- コップ1杯の水を飲む
- 浴槽の後ろの壁に背中を付ける
- 両足の裏を前方の浴槽の壁にしっかりとあてる
- 両手は浴槽の縁をつかみ体が滑らないようにする
- 浴槽の前壁を両足で押す
- 膝を伸ばすように5秒間両脚をつっぱる
- 5秒かかけて両足の力を抜く
- 膝に痛みがでない程度の強さでゆっくり30回程度繰り返す
※膝の曲げ伸ばしの時☆の部分の角度が、40度以上にならないように注意する。
浴槽の大きさに併せたエクササイズ
浴槽が浅く広い時
- 浴槽内の後ろ側の壁に肩をつけ、お尻を前に出して寝そべるような形で足を伸ばす
- 首や手は浴槽の上縁にかける
- 浴槽の前の壁に両足の裏をあて、基本の動作を行う
浴槽が狭い時
- 浴槽の隅に腰を下ろす
- 片足の裏を浴槽の対角線上の前壁にあてる
- 片方ずつ膝を伸ばして突っ張る
この方法ではO脚が矯正され、エクササイズが行えます。
浴槽が狭く、余力がある人
- 浴槽に入ったまま、膝の屈伸ストレッチをしてみましょう。
- 浴槽の上縁を両手でしっかりつかむ
- ゆっくり、できるところまで膝をまげる
- その姿勢を10秒間保ったあと、ゆっくり立ち上がる
- これを5~10回程度行う
※滑らないよう、浴槽の縁をしっかりつかみましょう。浴槽が広い、大きいなど場合は危険が大きいので行わないようにするか、誰かにそばにいてもらってください。
変形性膝関節症の治療
膝の痛みが強くなってきたら、専門医に相談することが大切です。変形性膝関節症の治療はまず、保存的療法を行います。
保存的療法には、運動療法、物理療法、装具療法、薬物療法など色々な方法があります。ヒアルロン酸の関節内注射も注目されている治療法です。
これらの保存的療法で効果が得られない場合は、手術が検討されます。
抜くとくせになる?ひざの水
多くの患者さんが心配するのが、「膝の水を抜くとくせになる」ということ。確かに毎週のように水を抜いてもまたすぐにたまるため、一見くせになるように思えますが、抜くからたまるわけではありません。
膝の炎症が起きている時は、抜いてもたまりますが、炎症が落ち着けば自然と水はたまらなくなります。むしろひざにたまった水を抜かずに我慢するほうが、ひざには悪い影響を与えます。
水がたまった状態でひざをまげると、ひざが突っ張ったようになり、関節に負担をかけます。
また、水がたまったままヒアルロン酸の注射をしても、せっかくの成分が薄まり効果が落ちてしまいます。
ひざの水を抜くことは治療上必要ですが、関節液の状態を観察する、という面でも重要です。関節液がひどく濁っている時は、変形性膝関節症ではなく、痛風や関節リウマチなどが原因のこともあります。
ヒアルロン酸の関節内注射とは
関節液の成分であるヒアルロン酸は、関節の動きをなめらかにしたり、クッションのように衝撃を和らげたりする働きをします。
ヒアルロン酸の関節内注射はひざの関節内に高分子ヒアルロン酸を注射することで、病気で減少したヒアルロン酸を補う方法です。正常な関節液に近い高分子量のヒアルロン酸が効果的です。
- 炎症を鎮める
- 痛みを抑える
- 動きを滑らかにする
効果が期待できます。
ヒアルロン酸の働き
ヒアルロン酸はもともと膝関節の中にある物質で、オイルのような潤滑機能とゴムのようなクッション機能を持っています。加齢や関節症の進行に伴い減少していきます。
そのために高分子ヒアルロン酸を関節内注入で補うという治療が行われるようになっています。
健康食品やサプリは効果ある?
飲むことでヒアルロン酸を補充する、という健康食品やサプリメントが市販されていますが、その効果は医学的に立証されていません。ヒアルロン酸を補うためには、整形外科で関節内注入を受けることが最も確実な方法です。
高分子ヒアルロン酸の注入は1週間毎に連続3~5回、ひざの関節内に注射します。痛みの軽減が充分でない場合には、その後も継続して投与する場合もあります。
膝関節症とは
膝関節は大腿骨と脛骨をつなぐ人の体の中で最も大きな関節です。関節の中は関節液で満たされており、骨の表面はクッションの役割をするつるつるした軟骨で覆われています。
膝関節を支える筋力の低下や肥満などで関節に負担がかかり、軟骨動詞がこすれてすり減った状態を変形性膝関節症と言います。
初期の症状は動き始めや立あがり時に痛み、進行すると次第に正座やひざの曲げ伸ばしが辛くなってきます。更に進行するとひざに水がたまり腫れてきます。
ひざの痛みや違和感がある前兆段階で対策をすることも大切です。病気の進行、重症化を防ぐことにつながります。
まとめ
ひざの痛みの大半は変形性膝関節症が原因と言われています。加齢による筋力低下、肥満などが要因となって起こる病気ですが、ひざ関節軟骨に過大な負荷をかけないことは重要ですが、安静にし過ぎもかえって筋力の低下などを招き良くありません。
ウオーキングなどの運動が辛いような場合、お風呂で出来る簡単なエクササイズで、膝の筋肉を鍛え痛みの軽減を測りましょう。
ひざの痛みがある人の生活習慣病の予防、改善、ダイエット、まずお風呂エクササイズから!
「Anのひとりごと」~今日も1ページ