健康と日々の徒然~Anのひとりごと

心と体の健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

家庭内溺死を防ぐ!看護師が教える入浴の方法~身体への影響と効果

入浴には様々な効能があります。しかし、入浴中の死亡は年々増加傾向にあり、その原因の6割は、心血管系疾患です。快適であるはずの入浴も、心臓疾患を持つ人にとっては、生命を脅かしかねません。望ましい入浴方法は? 

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病気や介護時の入浴の方法

入浴は単に「身体を清潔にする」だけでなく、心身をリラックスさせ、1日の疲れを取るのに効果的です。さらに入浴は免疫機能を高めることが出来ます。 

病気や身体の状態などによっても異なりますが、一般的に温めのお湯で座位、半身浴が呼吸や循環への影響が少ない。

熱めのお湯は10分程度にし、予め下肢から徐々に全身にかけ湯をしてから。湯から出るときは、ゆっくり立ち上がる。

一般家庭でも風邪が長引いてお風呂に入れない時や、高齢者の介護をするときにも、大いに役立つ、入浴が効果のある根拠、病気の患者さんに入浴を行うときの注意点を知っておきましょう。

 

入浴の効果と注意点

病気を治すためには、免疫機能を高めることが一般的に知られています。免疫系が十分な機能を果たせなくなると、傷の治りが悪くなる、炎症を引き起しやすくなると言ったことがおきます。 

効果

免疫機能を高める助けになることには、生活環境やコミュニケーション、食事、リラックスと言った基本的な方法が一般的に考えられます。入浴については、さらにその効果が高く評価されています。 

注意点

心疾患患者の入浴は、一般には、入浴にともなる循環動態が変化をするため、入浴は避けられてきましたが、入浴可となることも増えてきました。しかし、条件などもきちんと知っておかねばなりません。 

 

入浴が循環、呼吸、皮膚に与える影響と、入浴ケアの方法

入浴はリレッシュ効果、疲労回復効果、睡眠導入効果、ダイエット効果なども期待されています。また、精神的にリラックスし、QOL(生活の質)を維持する、身体を清潔に保つためにもかかえないものです。

 

入浴が可能かどうかを考えるときに、入浴が病態にどのような影響を与えるかを知らなければいけません。

 

その上で、入浴の可否を判断し、適切な入浴法を行うことが必要です。

 

循環に与える影響と入浴のポイント

高齢者が好む「熱めの湯」にゆっくり浸かる入浴は、循環に様々な影響を与えます。

入浴当初は交感神経が刺激されて心拍数が上昇し、皮膚の血管を収縮させることにより、血管抵抗が増大、血圧が上昇。

 

熱めの湯の影響を緩和する方法

入浴時間は10分以内、上がるときは徐々に立ち上がるなど、静水圧*をゆっくり解除する工夫をする。

特に心疾患が無くても、脱衣所の室温、運動や食事の直後などに注意し、循環に影響が少ない方法を選びます。

 

呼吸に与える影響と入浴のポイント

下肢の静脈が圧迫され、静脈還流量が増加。肺胞の血流がまし、肺拡散能が増加。

深い入浴で、横隔膜・胸郭が圧迫され、肺が呼気時に十分に広がらず、残気量・総排気量が減少し、呼吸数が増加する

 

呼吸器疾患の患者さんの入浴のポイント

座位の半身浴が適切。口すぼめ呼吸、腹式呼吸の指導

 

皮膚に与える影響と入浴のポイント

お風呂からでたあと、10分程度で水分は蒸発、皮膚の保湿効果が失われて乾燥がおこりやすくなる

 

ドライスキンになると、角質に隙間ができる。石けんの過剰な使用で皮脂膜が除去されるので入浴直後は、皮膚のバリア機能が低下する。

 

皮膚のダメージを少なくする入浴のポイント

熱すぎないお湯で、石けんは十分に泡だて優しく洗う。入浴後は星剤を使用すると良い。

 

入浴で免疫機能を高める

病気そのものが免疫系が十分な機能を果たさなくなりますが、病院や病気に対するストレスも、体内の副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌を高め、免疫系の活性が抑えられるので、易感染宿主*にもなります。

易感染宿主(いかんせん・しゅくしゅ、英: compromised host)は、免疫力の低下により、通常では感染することなく生体に症状が出ない微生物によっても、容易に感染を起こし、臓器機能障害・症状が出やすい状態になった人のことをいう。

常在菌と呼ばれる一部の細菌は、ヒトの体表・体内に住み着いていても、通常は共生し影響を及ぼさない。しかし、易感染宿主では、障壁(バリア)を突破し、臓器へ影響を与えながら増殖する。

出典: Wikipedia 

  

家庭内溺死~心臓を守る入浴法

入浴中の突然死の約8割は高齢者、死亡原因の6割は心疾患などの病気ですが、特別な基礎疾患が無いのに死亡している人もいます。

原因は不明確な部分が多いのですが、熱めの湯に首までじっくり浸かることは、生命を脅かしかねない様々な循環の問題が有ります。

高齢者が好む熱めのお湯に浸かるときは、入浴前に下半身から徐々に全身に「かけ湯」をし、初めの温熱刺激を和らげます。

 

首まで浸かると静水圧得腹部や胸部、血管、リンパ管が圧迫され、その結果静脈還流量が増えて心臓に負担がふえるので、息苦しさを感じる場合もあります。

半身浴のほうが負担は軽くなります。

 

一般的に熱めのお湯(42~43℃)に身体をつけると、入浴初期は、交感神経が刺激されて心拍数が上昇、皮膚の血管抵抗が増大して血圧が上昇します。一時的に静脈還流量が増えるため、心臓の仕事量も増大します。 

  

入浴の効果を得るための根拠

入浴に関する様々な研究で示されている根拠の多くは、

  • 入浴がもたらす身体の変化
  • 入浴を可能とするための条件

です。

 

身体の変化については、入浴が精神的なリラクゼーションをもたらすばかりか、NK(ナチュラルキラー)細胞による細胞障害活性を、細胞レベルで活性化することが解明されています。

 

一般には、入浴で循環動態が変化を起こすので、避けられていた心疾患患者の入浴も、方法によっては問題は無いという見解も多いようです。

 

まとめ~免疫機能を高める助けに入浴

看護は、患者さんの免疫機能を高めるための援助を必要とします。また、看護に於いては人間の本来持っている、自然治癒力を最大限に引き出すことを目的としています。

看護師はこれらのメカニズムにも十分な知識を持って、適切な入浴が行えるよう、対応することが望まれるのです。

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