健康と日々の徒然~Anのひとりごと

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子供の視力低下~原因は遺伝?環境?子供の近視進行を止める方法

子供の視力低下の原因の殆どが近視と考えられています。原因には遺伝と環境の両方が関係していると考えられていますが、遺伝による近視は予防できません。進行しないようにするための、生活習慣の改善、適切なメガネについてお伝えします。

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子供の視力低下の原因は?

増加する子供の近視。文部科学省の調査によると、裸眼視力が1.0未満の子供は小学校30%、中学校53%も。35年前と比較すると、役1.5倍です。

視力低下の原因には遠視や弱視などもありますが、殆どは近視のためと考えられています。

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裸眼視力1.0未満の者」の割合の推移

文部科学省 「平成27年度学校保険統計」pdf p10

子供の近視の主な原因は遺伝ですが、スマホなどによるゲームも近視を進める一因と考えられています。また、理由は下記で解説しますが、近視は成長とともに目の奥行きが長くなるため、起こりやすくなります。

遺伝による近視が予防できないのは、身長が伸びるのを止められないように、眼の奥行きが長くなるのも止められないからです。

 

近視の原因~遺伝と環境

遺伝 両親ともに近視ではない子供に比べ、父親、母親どちらかが近視の場合は約2倍、両親が揃って近視の場合は約5倍の確率で、子供が近視になるという報告があります。

 

ものを見る仕組み

光(像)は角膜や水晶体で屈折し、網膜で証言を結びます。その情報が電気信号に変換され、視神経をへて脳で処理されることで画像として認識、ものを見ることができます。

近視の場合は、眼の奥行きが長いため、網膜より手前で焦点が結ばれてしまうので、見えにくくなります。目の奥行きが長くなるのは、遺伝が関係していると考えられているのです。

環境 勉強、読書、ゲーム、スマホなどで、テレビを見るよりも近い距離で画面を凝視することが増えています。それが目の負担となり、近視を進行させているのでは無いかと言われています。

 

近視の進行を止めるには

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遺伝による近視をもとに戻すことはできません。進行させないことが重要です。1日1時間長く外で遊ぶと、進行が13%抑制される、という研究報告*もあります。

進行を抑えるには、外遊びの時間を増やすことが有効ということですね。

外で遊ぶ子供の姿が少なくなったのも、子供の視力低下の原因となっているようです。

そういう観点からすると、ポケモンGOも子供の近視の進行を止める一つの手段であるのかも。ただしゲームに夢中になりすぎて、道路に飛び出したりすると危険ですので、安全を確認できる場所で。

ボール遊びは視力や遠近の調節、眼球運動、立体視と言った目の機能を駆使しますので、目と脳に良い刺激となります。

読書やテレビ、ゲームなど、近くのものを見るときには、

  • 正しい姿勢で本や画面から目を30cm以上離す
  • 30分に1回は休憩をとる
  • 暗い場所、電車などの動く場所での読書やゲームはさける

などを心がけることが大切です。

 

近視の進行を抑制するのに有効とされている点眼

シンガポールでは臨床で使われており、日本でも5年後くらいには研究報告がまとめられる予定となっています。

毛様体筋を緩め、瞳孔を開かせるアトロピン点眼薬を100分の1に薄めた、低濃度アトロピン点眼薬を1日1回点眼する方法です。

また、正面だけでなく、斜めから入ってくる像にも焦点があう、軸外収差抑制眼鏡や軸外収差抑制コンタクトレンズなどの臨床研究も進められています。

通常、近視の眼鏡は周辺部ではぼやけるため、近視が進行すると考えられていますが、軸外収差抑制眼鏡や軸外収差抑制コンタクトレンズを装着すると、周辺部にも焦点があいます。

*参考: Sherwin JC.et al. Ophthalmology.2012

 

メガネをかける目安と作るときの注意点

メガネをかける目安は、健康診断や眼科での視力検査で

  • 小学校2年生まで 両目で見て0.7未満
  • 小学校3年生以上 両目で見て1.0未満

です。メガネを作るときの注意点は、

  • 必ず眼科を受診し、精密検査を受ける
  • 度数が強すぎるメガネはかえって近視を進行させる
  • 小児用フレームでずれないように顔の大きさや形に合わせる
  • 半年に一度眼科でメガネのサイズやレンズの度数を確認

することです。

 

精密検査の必要性

眼科では診断用の目薬を使って精密検査をします。近視かどうか、近視ならどの程度まで進んでいるのかを正しく判断する必要があります。

度数が強すぎる眼鏡は目に負担をかけます。かえって近視を進行させてしまう恐れがあるので、精密検査で正しく診断してもらうことが重要です。

フレームは見た目で選んでしまいがちですが、かけ心地のほうが重要。小児用フレームで、ずれないように顔の大きさや形に合わせたものの中から、好みのものを選びましょう。

成長期は近視の程度や顔の大きさなどが変化します。費用はかさみますが、半年に一度は眼科を受診し、メガネを作り直したほうが良いかどうかチェックしてもらいましょう。

視覚からの情報は、成長期の脳の発育にとても重要です。適切なメガネをかけることで、正しい情報を脳に送ることが大切です。

 

近視の程度

近視の程度は、強度、中等度、軽度の3つに分類されます。軽度から中等症の近視でも、緑内障になりやすいとの報告もありますが、強度の近視があると将来的に失明につながる下記のような目の病気を発症する可能性が高くなります。

  • 緑内障 視野が欠けて見えにくくなる
  • 黄斑症、網膜剥離 ものが歪んで見えたり、視力が極端に低下する

 

成長による近視の進行

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近視は成長とともに起こります。赤ちゃん時代は眼球が小さく、目の奥行きが短いので、目に入ってきた像は網膜の後ろで焦点を結ぶ、軽い遠視状態です。通常は水晶体の厚みを調節することで網膜に焦点を合わせます。

8歳位になると、目から入ってきた像は、網膜の中心部で焦点を結ぶ正視となり、その後成長に伴って16歳くらいまで眼球が大きくなり続け、奥行きも長くなります。

強度の遠視になると、網膜に焦点が合わせられず、弱視の原因となります。その場合は、なるべく早くメガネをかけ、視力を育てる必要があります。

成長に伴って眼球が大きくなる時期に、遺伝や環境因子によって奥行きが長くなりすぎると、焦点が網膜の手前で結ばれ、遠くのものがぼやけて見える近視になります。

目の奥行きが0.17mm長くなるだけで近視になると言われています。

目の奥行きはこのように成長に伴って一定の時期まで長くなるので、遺伝による近視は予防できないのです。

 

仮性近視

近視とは違う原因で焦点が合わなくなるのが仮性近視です。

も膜で焦点を結ぶために、毛様体筋が水晶体の厚みを調節します。本やゲーム画面を近くで見るときは、毛様体筋が収縮して水晶体を熱くしますが、長時間こうした状態が続くと、収縮した毛様体筋が痙攣を起こし、水晶体が熱く膨らんだままになってしまいます。

その結果、焦点が網膜の手前で結ばれて、近視の王に遠くのものがぼやけて見えます。このように、焦点調節の昨日が一時的に障がいされる状態を仮性近視と言います。

 

遠視、正視、近視

遠視 

眼の奥行きが短いために、入ってきた光(像)が網膜の後ろで焦点を結ぶので、像がぼやけて見えます。赤ちゃんは眼球が小さく、目の奥行きが短いため、軽い遠視の状態です。

 

正視 

目からの像が、網膜上で焦点を結ぶので、像がはっきり見えます。8歳位になると正視の状態になります。

 

近視 

眼の奥行きが長いので、焦点が網膜の手前で結ばれてしまいます。遠くのものがぼやけて見えます。16歳くらいまで眼球が大きくなりますが、遺伝や環境因子により眼の奥行きが長くなりすぎると、近視が進行します。

 

まとめ~視力低下の進行を防ぐには

子供の視力低下の原因は、遺伝と環境因子による近視が多いです。眼の奥行きが関係しており、遺伝によるものは予防はできません。

視力低下が進行しないようにするためには、目に負担をかける生活習慣の改善、適切な眼鏡の使用です。

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