ナースほど誇れる仕事はありません

健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

神経や血管の異常で起こる肩こり対策はブロック注射と血流の改善

肩こりの原因3つ目は、神経・血管の異常です。肩関節(懸垂関節)の周りには多くの神経や血管があり、神経の障害や血流の低下で肩こりが起きることも。そのメカニズムと対策をお伝えします。

神経や血管の異常で起こる肩こり対策はブロック注射と血流の改善

筋肉の間にある神経や血管が肩こりを起こす

肩甲骨を支えているのは僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋などの筋肉です。筋肉疲労が原因の肩こりについては、前回お伝えしましたが、これらの筋肉は層状になっていてその間にはたくさんの神経や血管があります。

その神経が障害されたり、血管が圧迫されて血流が低下すると、肩こりが起こることもあります。

肩こりに関係する神経は3つ、血管は2つです。神経や血管がどのように肩こりを起こすのかは後述しています。まず神経や血管に原因がある肩こり対策から見ていきましょう。

 

ブロック注射

ブロック注射は神経が原因で起こる肩こり対策です。この他、消炎鎮痛薬などの飲み薬を使うこともあります。

タイトル

 

ブロック注射とは

原因と考えられる神経周辺に局所麻酔薬を注射し、痛みの伝達を遮断(ブロック)して痛みを軽減させる治療法

代表的なブロック注射として、肩甲背神経と脳神経が交わるK点への注射が効果的。

 

K点は脳神経、肩甲背神経のどちらにも効果が期待できるポイントなので、ブロック注射の効果を見ることは、神経が肩こりの原因かどうかを知る診断にもなります。

k点へのブロック注射

神経が原因の肩こりは、K点のように神経が集中している場所の近くにブロック注射を打ち、痛みを和らげます。注射直後から症状が改善することが多いです。

 

血流の改善が重要

肩こりの原因が血管にある場合の対策は、血流の改善が大切です。圧迫している筋肉の緊張を緩めるなどで血管を広げます。温熱療法や運動などが勧められます。血管が肩こりを起こすメカニズムは後述。

温熱療法

hot_pack

医療機関などではホットパックや赤外線装置による治療がよく行われています。体が温まると血管が拡張して血流が促進するのは周知のとおりです。

自宅では肩に蒸しタオルをあてたり、温めのお湯にゆっくり入り体を温めると良いでしょう。肩の周りの血管を温めて広げることで、肩こりの原因となっている血流の悪さを改善します。

運動

shoulder_rotation

軽い運動で良いので、肩甲骨や肩関節を支える大きな筋肉を動かすように意識しながら行います。

運動は体が温まって血流が良くなるだけでなく、筋肉の疲労が原因の肩こりも、筋肉の緊張を和らげたり、筋肉から受ける神経への圧迫を軽減することも期待できます。

肩を回すなどこまめに肩を動かすようにします。ストレッチや体操のほか、水泳もおすすめです。

 

3つの神経と肩こりの関係

障害されると肩こりを起こす肩周りの神経は、肩甲背神経、肩甲上神経、副神経の3つです。

  • 肩甲背神経 肩甲骨と背骨の間を縦に走る
  • 肩甲上神経 肩甲骨の上を通って回り込む
  • 副神経   脳神経の1つで、首側面から後ろを走る

神経はとても細くMRI(磁気共鳴画像)などの画像検査では映らないので、神経と肩こりの関係、肩こりが起こるメカニズムはよく分かっていませんでした。

神経が何らかの障害を受けた時肩こりが起きる可能性がある、と考えられるようになったのは、他の病気を治療する過程からでした。

頸部のがん治療でリンパ節切除手術をしたときに、副神経の一部を切除することがあります。

術後の患者さんの調査で、副神経の一部を切除した患者さんのみに高い頻度で肩こりが起きていたのです。

肩こりはこのような手術を受けていなくても起こります。その原因は多くの場合

  • 筋肉が層状に重なっていることでその間を走っている神経が圧迫される
  • 腕の重みで筋肉と一緒に神経も引っ張られる

ことなどだと思われています。

 

肩関節(懸垂関節)の複雑な構造が原因

神経が筋肉によって圧迫されたり引っ張られたりするのは、肩関節(懸垂関節)が複雑な構造をしているためです。

前述のように神経は細くてMRI検査でも映らないので、神経が障害されている様子を確認することはできません。

筋肉の厚みが違っていたり神経の通り方が微妙に違ったりと、人によって個人差もあることが同じ構造であっても肩こりが起きやすい人、起きにくい人が別れる理由と思われます。

 

肩こりに関係する2つの血管と血流の低下

肩関節周りには神経と並び何本かの血管がありますが、肩こりの原因になりやすい血管は

  • 頚横(けいおう)動脈 首の前から後ろ、肩甲骨の内側を走る血管
  • 肩甲上動脈 肩甲骨の上を通っている血管

の2本です。

神経と同じくいずれも細いので、画像検査でどの血管にどのような異常が起きているのかを知ることは困難でした。

しかし、様々な研究が行われ、血管が肩こりを起こす仕組みがわかってきました。

 

血管が圧迫される原因

血管が圧迫される理由のひとつに肩関節の構造が上げられます。血管が通っている場所は、懸垂関節を支えるため何層にも重なった筋肉の間です。そのため筋肉が引っ張られると筋肉と筋肉の隙間が狭くなり、血管が圧迫されます。

血管には血液が流れていて、筋肉に酸素や栄養素を運んでいるので、血管が圧迫されて血流が悪くなると筋肉が酸欠や栄養不足になり、疲労感が強くなり肩こりとして感じられます。

頚横動脈の血流(拍動)を超音波検査で調べたところ、肩こりがある人は肩こりがない人に比べ拍動が強くなっていたと言う研究報告があります。

一見すると肩こりがない人のほうが拍動(血流)が強いように思えますが、肩こりのある人のほうが血管が周囲の筋肉などから圧迫を受けるため、ホースをつまんだとき水が勢い良く出るように、拍動(血流)が強くなったと思われます。

 

まとめ

血流が悪くなり肩こりが起こる。そうだなあとうなづく方が多いと思いますが、神経の障害も肩こりの原因となることはあまり知られていないかもしれません。

血管が原因の場合は血流を改善する方法を取るのが一番の対策で、運動や入浴など日常生活でも意識して行うことが出来ます。

原因によって対策も異なってきますので、肩こりの正体をつかむことは大切です。神経や血管が肩こりの原因となっていることもあるということです。

原因をはっきりさせることで、より効果的な治療の対策を考えられます。次回は肩こり対策について、もう少し細かくお伝えしようと思います。

「Anのひとりごと」~今日も1ページ