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前立腺肥大症はオトコの更年期?尿トラブル解消と夜の生活の関係

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40代頃から現れ始め、80歳以上では8割に見られる前立腺肥大症。高齢の男性にほぼ発症するので、男性の更年期症状や老化現象の一種とも言えるようです。

 

生活に支障がない場合は、特に治療は必要ありませんが、主な症状である尿トラブルなどで困っている場合は、医療機関で相談しましょう。治療薬の影響で、夜の生活に悩みがある場合も、近年は良い薬が増えていますので安心してください。

 

 

排尿障害など、尿トラブルと機能障害と薬

40代頃から現れ始める、前立腺肥大症。男性ホルモンが大きく関わっていることがわかっており、従来の治療では抗男性ホルモン薬が使われてきました。

 

副作用として性欲低下、ED、射精障害などの性機能障害が伴っていましたので、尿トラブルは改善出来ても、新たな悩みをもつ人も少なくありませんでした。

 

近年は5α還元酵素阻害薬など、副作用の少ない薬もあり、症状や性機能の考え方などから、治療薬を選ぶことも可能です。医師とよく相談して治療薬を決めることが大切です。

 

 

前立腺肥大症の原因と治療

前立腺肥大症は詳しい原因ははっきりとは分かっていませんが、加齢の他、生活習慣病との関係や、ホルモンバランスの変化、慢性的な炎症などが考えられています。

 

若い時に去勢した人や、生まれつき精巣のない人には前立腺肥大症は発症しません。このことから、男性ホルモンが前立腺の肥大に大きく関わっている、と考えられています。

 

治療

前立腺肥大症の治療は、薬物療法が中心です。近年、効果の高い薬が増えており、症状で困っている場合は医療機関での受診をオススメします。

 

薬物療法で十分に症状が改善せず、患者さんの希望がある場合は手術も行われます。最近では、ほとんどが内視鏡手術で開腹はしません。

 

手術は電気メス治療(TURP)が標準的で、レーザー光線治療(HoLEP)、高温度治療などがありますが、ここでは薬物療法についてお伝えします。尿道の閉塞を軽減する薬や、過活動膀胱を伴う場合には、膀胱の過剰な収縮を抑える薬などが用いられます。

 

性機能障害について

前立腺肥大症の治療では、まず困っている症状がポイントとなりますが、薬物療法は基本的に生活の質を高めるための治療です。副作用として起こる性機能についての考え方も重要です。

 

尿トラブルを最優先に考えるか、性機能障害が起こりにくい薬を選ぶか、それぞれ考え方は違いますので、十分に医師と相談して治療を受けましょう。

 

例えばα1遮断薬のシロドシンは、尿道の閉塞による症状を改善する効果は、最も高いのですが、射精障害が起きやすい。ナフトピジルは、蓄尿障害を改善する効果が比較的高く、射精障害は最も少ないと言われています。

 

 

薬物療法を始めるタイミングと使い方

前立腺肥大症は、基本的に生命に関わる病気ではないので、日常生活に不便を感じた時が治療を始めるタイミングです。薬を飲んで生活の質が良くなった、薬を飲む意味がある、と思えたら治療を続ける、ということで良いと思います。

 

治療薬の副作用で、性障害がおこることもあるので、性機能についての自分の考え方を医師に伝えて、治療方法を決めていくことも重要です。

 

薬の使い方

一般的に用いられるα1遮断薬は、通常一日に1~2回服用します。朝食後に飲むのが一般的ですが、夜間頻尿に困っている人は、夕食後のほうが調子が良いということもあります。

いつ飲んでも効果に明らかな差はないとされていますが、生活の質を改善するための治療なので、患者さんの感じ方も重要となります。

 

飲み続けなければいけないか

血圧の薬などとはちがい、飲み続けなくてはいけないものではありません。症状にも波があり、ずっと同じように薬が必要とも限りません。特に過活動膀胱の薬は、外出するときだけ飲む、寒い秋冬に調子が悪いならその時期、という選択をしても良いでしょう。

 

薬の服用で注意すること

α1遮断薬を使っていると、白内障などの眼科手術の際に、虹彩の緊張が緩んでたわみが出ることがあるので、予め眼科の医師に伝えることが重要です。

 

抗コリン作用のある薬はたくさんあるので、特に高齢者では、それが排尿障害を悪化させていることがあります。睡眠薬、市販の風邪薬にも注意が必要です。

 

医療機関を受診したり、薬局で薬を買ったりするときは、前立腺肥大症があること、使っている薬を必ず伝えることが大切です。

 

過度の飲酒もさけましょう。

 

 

尿道の閉塞を軽減する薬

  • α1遮断薬
  • 5α還元酵素阻害薬

が主に用いられます

  • PDE・5阻害薬という新しい作用の薬も加わりました。

 

α1遮断薬

前立腺や膀胱の出口、尿道にある筋肉(平滑筋)に多く分布しているα受容体、中でもα1受容体は、筋肉の収縮に関わっています。

 

α1遮断薬はその受容体をブロックして、筋肉を弛緩させる作用があり、過剰な緊張を和らげ、機能的閉塞を軽減して尿の通りを良くする働きがあります。

 

閉塞による排尿障害が改善すると、二次的に起きていた頻尿などの蓄尿障害の症状も緩和されるので、前立腺肥大症の薬物療法では、一般的にまずこの薬が用いられます。

 

副作用: 起立性低血圧やフラつき

α1遮断薬はもともと降圧薬として開発された薬ですが、現在主に用いられているタムスロシン、ナフトピジル、シロドシンは、排尿障害専用の薬なので、降圧作用を持つα1遮断薬のような副作用はほとんど見られなくなっています。

 

ただし、薬の種類によって、程度の差はありますが、射精障害が起こることがあります。

 

5α還元酵素阻害薬

大きくなった前立腺を縮小させ、機会的閉塞を軽減する薬としては、従来男性ホルモンの作用を抑える抗男性ホルモン薬が使用されてきました。

 

近年、デュタステリドという5α還元酵素阻害薬が登場し、代わって用いられるようになっています。ジヒドロテストステロンという活性の高い男性ホルモンの、活性を抑える作用があり、半年ほど飲み続けると前立腺の体積が3割程減ります。

 

前立腺が大きい場合には、α1遮断薬だけよりも、5α還元酵素阻害薬も併用したほうが、症状がより改善されます。α1遮断薬は4~5年すると肥大が進行し、手術が必要になるケースが増えますが、5α還元酵素阻害薬の併用で、そのリスクは3分の1まで減らせると言われています。

 

PDE・5阻害薬

2014年4月に発売されたタダラフィルという新しい薬は、用法・用量は違いますが同じ成分の薬はED治療薬としても使われています。処方されるのは

  • 尿流や残尿などの検査をし、前立腺肥大症に伴う排尿障害

と診断された場合です。

 

α1遮断薬とは異なる仕組みで、平滑筋を弛緩させ血流を改善、尿の通り道を広げて排尿障害の症状を改善する薬です。

 

新薬なのでまだ十分なデータはありませんが、蓄尿障害の症状がよく改善されるようだと感じる医師もいます。

 

注意: 狭心症の治療に使われる硝酸薬(ニトログリセリンなど)を使っている人は使えません。

 

その他の前立腺肥大症の薬

漢方薬や植物製剤など、古くから使われてきた薬もあります。主に炎症を抑えることで症状を軽減すると考えられており、慢性的な炎症が前立腺肥大に関わっていると思われる人には、効果が期待されます。

 

 

過活動膀胱を伴う場合の薬

過活動膀胱の治療薬としては、主に抗コリン薬が用いられ、最近ではβ3受容体作動薬も加わりました。

 

非コリン薬

膀胱の筋肉の収縮に拘るアセチルコリンという神経伝達物質の働きをブロックし、膀胱の過剰な収縮を抑える薬です。強い尿意を和らげる効果があります。

 

副作用: 口の乾き、便秘、尿閉

閉塞隅角緑内障がある人は使えません。また、排尿時の膀胱の収縮も若干抑えてしまうので、もともと尿が出にくい前立腺肥大症の患者さんでは、尿閉が起こりやすいので、慎重に使う必要があります。

 

最近登場した貼り薬は、薬の成分が皮膚から徐々に吸収されるので、穏やかに長時間作用し、口の乾きや便秘が少ないと言われていますが、体質によってはかぶれるので注意が必要。

 

β3受容体作動薬

2011年から使われているのがミラベグロンという薬です。尿をためている時に膀胱を弛緩させる薬で、排尿時の収縮は抑制しないので、尿閉を起こしにくい。

 

尿が出にくい人の過活動膀胱には、非コリン薬より安心して使える選択肢です。ただし、動物実験では生殖器官への影響が見られたので、生殖可能な年代の人には慎重に用いなければいけません。

 

前立腺肥大症の予防

主な原因が加齢ですので、加齢を防ぐことは出来ませんが、日常の生活習慣で気をつけたいことは

  • おしっこをガマンしない
  • 下半身を冷やさない
  • 適度な運動をする
  • 便秘に注意する

ことです。

前立腺や骨盤内部、腰部、でん部の血流を良くすることは、概ね良い結果をもたらします。

 

 

前立腺肥大症とは

前立腺に腺腫(良性腫瘍)ができ、肥大化することで頻尿や残尿、排尿障害など様々な尿トラブルが起きるのが前立腺肥大症です。

 

前立腺: 膀胱のすぐ下で尿道を取り巻くように存在する、男性特有の生殖器官。

  • 精液の成分となる前立腺液を分泌
  • 排尿コントロール(膀胱に尿をためる、尿道を開き尿を排出するなど)

健康で若い人では栗の実ほどの大きさですが、年齢が進むとともに肥大、7~8割の男性が50歳代から肥大していきます。

 

前立腺肥大症の症状

早い人では40代頃から症状が現れ始め、60歳を過ぎると半数の人に夜間頻尿や、排尿障害などが起こります。

  • 機会的閉塞(肥大した前立腺により中心を通っている尿道が圧迫される)
  • 機能的閉塞(前立腺の平滑筋が過度に緊張し、尿道が締まってしまう)

により、尿が出にくい、と言った「排尿障害」が起こります。

 

この状態が続くと、「頻尿、夜間頻尿、尿意切迫感(急に尿意を催しがまんできなくなる)」

蓄尿障害の症状を合併することが多くなります。

  • 尿を排出しようとして負担のかかる膀胱が不安定になる
  • 血流障害が起こる

ためです。

 

過活動膀胱

最近では、上記の症状から前立腺肥大症の患者さんの約半数に、過活動膀胱*と診断される状態が見られると言われています。

 

前立腺肥大症が進行すると、

  • 残尿(尿が出きらずに膀胱にたまる)
  • 尿閉(尿がでなくなる)

を起こすこともあります。

 

過活動膀胱: 尿意切迫感が有り、通常頻尿(日中に8回以上)や、夜間頻尿(寝ている間に一回以上トイレに起きる)を伴います。切迫性尿失禁(急な尿意で我慢できず尿がもれる)を伴うこともあります。

 

行為に関して

前立腺は精液の成分である前立腺液を分泌します。このためよく話題に登るのが、溜めないで出したほうが良い、という話。古い成分をいつまでも溜め込んでいるのは、確かに良くないですが、頻繁な行為も考えものです。

 

かなり前ですが、アメリカで若年層の行為が頻繁だと、高齢になった時に肥大しやすい傾向がある、というレポートがでました。一方、禁欲も肥大の傾向があるが、頻繁の行動も肥大するという見解もあります。真偽の程は定かではありませんが、程々が健康的で良い、ということでしょう。

 

 

まとめ

 

生活に支障がなければ、取り立てて治療の必要はありませんが、前立腺肥大症の薬は、効果の高いものが増えているので、尿失禁など困っていることが有れば、年令に関係なく治療のタイミングです。

 

治療薬を選んでもらう時には、困っている症状と、性機能に対する考え方も伝えて、説明をよく聞いて決めましょう。又、薬の中には急な尿閉を起こすものもあるので、他の病院を受診するときは、必ず前立腺肥大症の薬を飲んでいることを伝える必要があります。

 

 

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