トイレが近い、突然の尿意で我慢できず漏らしてしまう、大事な時に限ってトイレに行きたくなる。これらは多くの女性に身近な症状です。トイレが近い原因と女性の頻尿対策についてお伝えします。
女性に多い頻尿の原因と対処
尿の回数には、膀胱の大きさと膀胱が持つ「尿をためる力」が影響します。さらに、排尿のサインを出す脳の働きや、摂取する水分量も関係します。
女性に頻尿のトラブルが多いのは、男性に比べ尿道が短いこと、膣と尿道が近いことが影響しています。原因は病気が関係していることもあれば、精神的なストレスが影響していることもあります。
看護師のKさんと結婚を考えているMさん。最近落ち込んでいるので、共通の友人Oさんが声をかけました。
最近彼女がオレを避けているみたいなんだ。
デートに誘っても忙しいとか、時間が無いとかで。返信が無いことも多くなったし…
何か心当たりはないの?
ないよ!けんかしたわけでもないし、他に好きな男ができたのかなあ。
そう言えばデート中も、トイレの場所を気にしたり、頻繁にトイレに行っていた。
あれはその男から電話があったのかもしれない。
トイレ?
それ、もしかしたら膀胱炎とか、頻尿かもよ。
え。そんなことを気にしているの。
病気ならそう言ってくれればいいのに。
女心をわかっていないわね!恥ずかしいのよ。デート中にトイレが近いなんて。
それにね、万が一間に合わなかったらどうしようって、不安で、あなたに会うのが怖いのよ。
Kにそれとなく聞いてみるわ。
Kさん、やはり頻尿で悩んでいました。仕事中にも急な尿意で危うくトイレが間に合わなくなりそうなことが何度も。もしデート中にそんな事態になったら、Mさんに嫌われたら、と会うのが怖かったのだそうです。
Mさんに事情を話したことで気が楽になったKさん、その後Mさんのプロポーズを受け、来年結婚することが決まりました。もちろん看護師は辞めないそうです。
頻尿対策5つのポイント
一般的には昼に8回以上、夜に1回以上の排尿がある場合は【頻尿】と考えられますが、回数には個人差があるのでこれは目安です。
もともと膀胱が小さかったり、尿をためる力が弱かったりすると、それ以上の回数でもその人によっては普通と言うことになります。
頻尿を防ぐには、水分を摂りすぎない、カフェインや刺激物を摂りすぎない、ストレスや疲れをためない、体を冷やさない、排尿トレーニングをする、の5つのポイントに着目。
トイレが近くなる一番の原因、膀胱炎については、後述します。
水分を摂りすぎない
排尿量は食事や飲み物で取った水分に比例します。1日に必要な水分量は、食事で摂る分も含めて、約2リットルが目安です。
摂りすぎると頻尿の原因になります。特に冷たい飲み物のとりすぎは注意しましょう。
膀胱の大きさや容量には個人差があります。膀胱が小さくてあまり尿をためられない人は、特に水分のとり方に注意しましょう。
適度な排尿を促し、膀胱をきれいな状態に保つには、適量の水分を摂ることが大切です。
カフェインや刺激物を摂りすぎない
コーヒー、紅茶、緑茶に含まれるカフェインは、利尿作用があるので摂りすぎると膀胱に尿がたまりやすくなり、トイレが近くなります。
膀胱炎になったときは、唐辛子やにんにくなど刺激物は避けましょう。炎症を悪化させる心配があります。
ストレスや疲れをためない
ストレスや疲れは自律神経を緊張させやすい状態にします。病気への抵抗力も低下するので、雑菌が尿道から入りやすくなる、炎症を起こしやすくなる、ことにもつながります。
夜更かしを避け、できれは12時には就寝できるよう、生活を工夫しましょう。湯船にゆったり浸かる、適度な運動でストレスを発散させることも効果が期待できます。
体を冷やさない
体が冷えても自律神経が筋肉を緊張させるように働きます。膀胱の筋肉も緊張し、ためられる尿の量が減ってしまうのです。
冷えによる頻尿を防ぐには、体を温めること。特にお腹周りを冷やさないことがポイントです。
最近はおしゃれな腹巻きも販売されていますので、利用しましょう。腰に使い捨てカイロを貼るのも緊張がほぐれ、トイレが近い状態を和らげることができます。
排尿トレーニング
- 膀胱の筋肉が固くなって尿を貯める力が低下
- 尿が貯まる前に頻繁にトイレにいくのが習慣になる
などがあると頻尿になり、尿もれを招くこともあります。排尿トレーニングで尿を貯める力と適切な尿意を取り戻しましょう。
尿意を感じたら、3~5分、トイレに行くのを我慢してみます。毎回でなくても良いので少しずつ時間や回数を伸ばしてみましょう。(膀胱炎の人は行わないように)
また、膀胱を支える骨盤底筋を鍛えるトレーニングも効果があります。
膣を中心に尿道、肛門をキュッと引き締める動作を、気づいたときで良いので数回繰り返します。
主な原因の一つ膀胱炎の予防・治療
トイレが近くなる代表的な病衣は、膀胱炎です。膀胱炎には3つのタイプがあります。
- 急性膀胱炎 最も多いタイプで細菌感染で起こる
- 慢性膀胱炎 何らかの基礎疾患が原因で、何度も膀胱炎を繰り返す
- 間質性膀胱炎 頻尿や痛みはあるが、原因になる細菌は見つからない
膀胱炎を防ぐために知っておきたいこと
膀胱炎は身近な病気です。尿道に雑菌が入らないよう、普段の生活に気をつけることが予防となります。
- トイレットペパーを使うときは前から後ろに、一方向に拭く*後ろから前に拭くと、肛門や膣の周りにある雑菌を尿道に運んでしまう。
- 好意の後は必ずトイレに行く*排尿することで雑菌が洗い流される
- ナプキンやおりものシートはトイレにいくたびにこまめに取り替える*長く付けていると雑菌が繁殖しやすくなる
急性膀胱炎
細菌が尿道から入り、尿路や膀胱で炎症が起こる病気です。尿は無菌で膀胱も排尿することで、きれいな状態を保っています。しかし、女性は尿道が短いこと、膣がそばにあることから、雑菌が入りやすくなっています。
元気なときは感染しにくいのですが、疲労やストレス、冷え、無理なダイエットなどで抵抗力が落ちていると、雑菌が悪さをすることがあります。
更年期で女性ホルモンの分泌が低下しても、感染しやすくなります。膣内の様々な細菌の状態が変化するためです。
対処と治療
急性膀胱炎は適切な抗生剤を飲めば、1~3日で症状は落ち着いてきます。軽い場合は排尿を繰り返すことで雑菌が洗い流され、自然に治ることもあります。しかし、慢性化することもあるので油断は禁物。早めに病院で治療することが大事です。
症状
- トイレが近い
- 排尿時の尿道が痛い
- 下腹部の鈍痛
- 残尿感
- 尿が白濁
- 尿が濃くなる
- 尿の臭いが強くなる
- 尿に血がまじる
慢性膀胱炎と間質性膀胱炎
慢性膀胱炎
膀胱結石や尿路結石などの病気(基礎疾患)が原因となって炎症が起こり、膀胱炎を繰り返します。抗生剤の治療と、原因となっている病気を治す治療を行います。
間質性膀胱炎
原因となっている菌が見つからないのに、残尿や尿意切迫感などの症状が現れます。尿が溜まっていると下腹部に強い痛みを感じ、排尿すると軽くなるのも特徴です。
膀胱の内側の粘膜に炎症やアレルギー反応が起こり、膀胱が刺激を受けたり収縮したりして、小さくなってしまうことなどが原因と考えられています。詳しい原因は不明です。
治療は、水圧を使って縮んだ膀胱を広げる方法が中心です。痛みやアレルギーを抑える薬が処方されることもあります。
膀胱炎以外の原因と治療
トイレが近くなる原因には膀胱が小さい、妊娠・出産、冷え・水分の取り方、緊張・ストレス、加齢などがあります。
単にトイレが近いだけなら、冷えや水分の摂り過ぎによる一時的な症状の場合もありますが、排尿痛や下腹部の鈍痛、尿の濁りなどもあるときは、早めに泌尿器科を受診します。
緊張・ストレス・加齢について
たまった尿を体の外に出す、という指令はまず脳が出します。その司令を受けて自律神経が尿道を開き、排尿し終わると尿道を締める、という動きをコントロールしています。
緊張やストレスが強すぎると、これらの脳と自律神経の働きが乱れるので、尿が溜まっていないのに「膀胱がいっぱい」という間違った指令を出してしまうことがあります。その為、トイレの回数が増えてしまいます。
また、膀胱は筋肉で作られているので、加齢で筋肉が老化すると、尿を貯める力が弱くなってきます。
更年期に入ると女性ホルモンの低下の影響で、細菌感染や病気がないにもかかわらず、頻尿や残尿感などの症状を感じやすくなる人もいます。
治療
膀胱炎の治療は主に個性剤で、飲み始めるとすぐに症状は軽くなります。症状が良くなっても細菌が残っていることがあるので、薬は最後まできちんと飲みましょう。
ストレスや緊張による頻尿には、漢方薬や精神安定剤が処方されます。
原因になるような細菌が見つからず、膀胱に炎症も無いのにトイレが近い場合は、過度のストレスや緊張、あるいは更年期によるホルモン分泌の低下が、頻尿の原因の場合も。
緊張や更年期の症状を和らげるために、漢方薬の「清心蓮子飲」(せいしんれんしいん)などが処方されたり、精神安定剤を使って、不安感やいらいらを和らげることで症状を改善させることもあります。
排尿記録
急性膀胱炎を繰り返す、原因になる細菌や他の病気が見つからないのになかなか症状が収まらない。このような場合、排尿日記をつけるなどの生活指導が行われます。
1日で何回、何時頃排尿したかを記録します。緊張しやすいときにトイレが近くなるなど、特徴的な症状が見つけやすくなります。
まとめ~頻尿は予防も可能
女性に多い頻尿は、膀胱炎が主な原因です。主に抗生剤で治療し、すぐに良くなることが大半です。
体を冷やさない、ストレスや疲れをためない、水分やカフェイン、刺激物のとりすぎに注意することなどで、予防することも可能です。
尿道に雑菌が入らないように注意することも大切。トイレの後や、生理用ナプキンの取替など十分注意しましょう。
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