現在多くの患者さんが門前薬局で薬を受け取っていますが、厚生労働省は2025年までにすべての薬局をかかりつけ薬局とし、患者本位の医薬分業を目指しています。かかりつけ薬局の役割、お薬手帳の活用についてお伝えします。
かかりつけ薬局の意義
薬は使い方を間違えると十分な効果が得られない場合や、副作用、他の薬との相互作用などが起こり新たな問題が生じることも少なくありません。
薬は、使い方や効き目、副作用などについてよく知っておくことが大切です。
自分で薬に関する知識を身につける必要もありますが、薬局と薬剤師を活用し薬と上手に付き合っていきましょう。
特にかかりつけ薬局や薬剤師を持つと、薬についての詳しい情報が得られるだけでなく、健康食品やサプリメントなどを購入している場合などにも、健康管理まで含めた相談をすることもできます。
門前薬局とかかりつけ薬局
医療機関を受診し、薬が処方されると多くの場合処方箋を持って、医療機関の周りにある薬局に行きます。いわゆる門前薬局です。薬剤師は処方箋に基づき薬を調剤して患者さんに提供します。
医療機関が変わると処方箋を出す薬局も変わることが多いのが現状ですが、できればかかりつけ薬局を持つことが勧められます。
かかりつけ薬局に受診している医療機関のすべての処方箋を1箇所に集めることで、自分が服用している薬の記録を管理してもらえます。
相互作用や副作用などのトラブルを未然に防ぐ役割も果たします。
しかし、現状では自宅近くの薬局に医療機関の処方箋を持っていっても、処方された薬の在庫がなかったり、取り寄せるのに時間がかかったりすることも多い。
受診した医療機関ごとの門前薬局で処方してもらうことがほとんどです。
薬局・薬剤師の役割
出典:かかりつけ薬局が行う薬の交通整理 日本薬剤師会
かかりつけ薬局では薬の飲み合わせだけでなく、薬が重複して処方されていないか、服用する寮や回数なども細かくチェックします。
必要に応じてその場で医師に確認し、薬を変更するなどして、トラブルを未然に防ぐ役割も果たします。
薬剤師は薬を調剤して患者さんに提供する歳、薬の飲み方や副作用などについての説明も行います。
患者さんの要望が有れば健康に関わる様々な相談に応じることも行っています。
かかりつけ薬局の中でも、自分が相談しやすいかかりつけ薬剤師を見つけておくと、持病なども含めて幅広く把握してもらえ、健康管理にも役立ちます。
かかりつけ薬剤師指導料
2016年の診療報酬改定で新しくできた項目です。
「薬剤服用歴管理料(38点=380円、又は50点=500円)」の代わりに
「かかりつけ薬剤師指導料(70点=700円)」が通常はかかります。
その差額は、200円〜320円あります。実際の負担は保険が適応されるので20~100円の差がかかります。(詳しくは薬局で確認してください)
参考: 平成28年度調剤報酬改定及び薬剤関連の診療報酬改定の概要 厚生労働省保険局医療課 /www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000116338.pdf
薬に関するよくある相談
薬局では、薬に関する悩みについてもアドバイスを行っています。良く相談される、薬を飲む歳に注意したい3つのポイントをご紹介します。
- 薬の飲み方
- 薬の飲み間違い
- 薬の飲み忘れ
です。薬の治療効果を妨げないためにも気をつけるポイントです。
薬を飲む際に注意したい3つのポイント
薬の飲み方
「薬が飲みにくい」場合には、ゼリー剤などを使って飲みやすくする方法があります。
薬が大きくて飲みにくい場合は、同じ効果を持つ小さいサイズの薬や、口の中で溶けて飲みやすい錠剤に変更できる場合もあります。
薬の飲み間違い
病気の治療のために多くの種類の薬を服用している場合に、薬の飲み間違いのリスクが高くなります。
例えば夜に飲む薬を朝飲んだ場合、他の朝の薬との飲み合わせが悪くて、副作用が強くでたり、薬の効果が弱まってしまうこともあります。
飲み間違いを防ぐために、1回に服用する薬を医師の指示で1つの袋にまとめた「一包化」で対応する場合もあります。
薬の飲み忘れ
飲み忘れや、飲んだことを忘れてまた飲んでしまうことを防ぐには、薬を飲むタイミングがわかるような「薬カレンダー」の利用が勧められます。100均一でも購入できますので、試してみましょう。
薬がポケットに残っていたら飲み忘れ、なくなっていたらすでに飲んだことが一目でわかります。薬をもらってきたら自分や家族が分けて入れておきましょう。
お薬手帳の活用
医師から処方される薬の種類は大変多く、すべての薬を1つの薬局で揃えておくことは難しいのが現状です。
かかりつけ薬局で在庫がない場合は取り寄せたり、近くの薬局から譲り受けたりして対処します。
すぐに薬が必要な場合がほとんどなので、多くの場合門前薬局を利用するのが現状です。
複数の薬局を利用する際に活躍するのが「お薬手帳」です。処方された薬やアレルギーなどの情報が1冊にまとめられ、管理することができます。
薬局や医療機関で手に入れられます。
お薬手帳の使い方
自分の服用歴やアレルギー歴などを記録、また複数の医療機関で処方された薬が一目でわかるように、お薬手帳は1冊にまとめることが大切です。
医療機関を受診する際や薬局には必ず持っていきましょう。
薬局で市販薬や健康食品、サプリメントなどを購入する場合も、お薬手帳が有れば飲み合わせなどの薬剤師にチェックしてもらうことが可能です。
飲み薬から目薬、貼り薬など自分が使っている薬の情報を記録します。薬剤師が情報を記入したり、シールを張ることもあります。
薬の服用歴は、医師が薬を処方するときの参考にしたり、初めて利用する薬局でも飲み合わせの悪い薬や重複を避けることが可能です。
処方された薬の情報だけでなく、食べ物や薬のアレルギー、常用しているサプリメントなどについても自身で記入しておきましょう。
使い方のポイント
- 1冊にまとめる
- 処方薬だけでなく、市販薬、サプリメントなども記録する
- アレルギー歴等、健康状態も記録
- 医療機関を受診、薬局には必ず持参
- 外出する際に携帯する
外出の際に万が一事故や災害にあったり、持病が急に悪化した場合などでも、お薬手帳を携帯していれば医師や薬剤師が迅速かつ適切に対応することができます。
自宅では置き場所を決め、外出時の携帯を習慣づけることをお勧めします。
お薬手帳の電子化
スマホ型とクラウド型があります。紙のお薬手帳と比較したメリットは
- 携帯性が高く、受診時に忘れにくい
- 長期にわたる服用歴の管理が可能
- 運動の記録や健康履歴など健康に関する情報も管理可能
などです。
薬の飲み方については、こちらの記事もどうぞ。
まとめ
かかりつけ薬局は、健康に関する相談所ともいえ、かかりつけ薬剤師は健康アドバイザーとも言えます。
現状ではまだ理想の状況とは言えませんが、かかりつけ薬局・薬剤師を持ち、お薬手帳を活用して薬と上手に付き合い、健康管理に役立てましょう。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ
参考
患者のための薬局ビジョン 概要 厚生労働省
/www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/gaiyou_1.pdf
感謝
「合わせて読みたい」のBOXはシロマティさんのこちらの記事で教えていただきました。コピペするだけ、とっても簡単です。ありがとうございます♫