成長痛は、昼間は殆ど痛がることがなく、夕方から朝にかけて、特に寝ている時に起こることが多いです。世話をする家族が寝不足で体調を崩したり、虐待を疑われたり…成長痛、足の痛みについて簡単にまとめました。小さいお子さんのいるご家庭は勿論、多くの方が成長痛について、知識を持って対処するヒントとして活用して欲しいです。
成長痛とは
3歳から6歳位の子供に多く、ひざの痛みやすね、足首の痛みを訴えますが、検査をしても原因が見つからない場合、一般的に成長痛と呼びます。
成長痛は自然に治り、特別な治療もありません。痛み止めの効果も殆ど無いのです。
そのため痛がる子供が毎晩泣くので、ご近所の方が虐待を疑って通報した、という話もあるくらいです。
成長痛とは。子どもの足・脚のトラブル、ケガや病気との見分け方、痛みの対処法など。
痛みの原因と対処
身体が大きくなり運動量も増えてくる時期に、下肢に掛かる負担が大きくなることが、痛みの背景にあると考えられます。
小さい子供さんは「足がだるい、重い」と言った表現が出来ないので、遊び疲れたことを「痛い」という場合も少なくありません。
また、ケガや病気の可能性もないとはいえないので、注意が必要です。
成長痛は原因不明のため、対処療法となりますが、お母さんがひざやすねなどを強くさすってあげたり、話を聞いたり、抱きしめてあげたりすることも、一定の効果を見られるようです。
夜中に痛がる時の対処
大丈夫だよ、と優しく声をかけたり、抱っこしたりして不安を和らげ、痛みのあるところをさすったりもんだりすると、安心して眠れることが多いです。
成長痛では、痛み止めの効果は殆ど無いし、副作用の心配や、他の病気を見逃す可能性もあるので、薬の安易な使用は控えます。
使用する場合は、必ず医師の指示に従うことが必要です。プラセボ(偽薬)が効果的なこともあります。
あまりにも毎晩続く泣き声に、ご近所が虐待を疑ってしまうことも無いとはいえません。
普段からご近所とのお付き合いをして、お子さんの状況を知ってもらうことも大切でしょう。時には何か良い知恵を教えてくれるかもしれません。
- 暑いお風呂に足だけ浸かる、熱いシャワーを足にかける
- 足の痛い場所の上に、お母さんが足やお尻を乗せる
が効果的、と言う方もいらっしゃいましたよ。
ケガや病気と成長痛を見分けるポイント
子供がひざの痛みなどを訴えた場合、ケガや病気がある場合もあるので、一概に成長痛だからしかたがない、と放置するのは危険です。
まれに脚の骨や筋肉の細菌感染で痛みが現れることもあります。特に骨の細菌(骨髄炎)は治療が送れると後遺症が残ることもあるので注意が必要です。
注意したい症状のポイント
- 歩けない
- 足を引きずる
- 痛む部分に、腫れ、赤み、熱がある
等の場合は、打撲、骨折、関節炎などが疑われます。小児科や整形外科など、医療機関を受診してください。
- 昼間は元気に遊べる
- 夜になると痛む
場合は成長痛が考えられます。あまり心配せずに、様子を見ます。
成長痛は、時には高校生くらいまで続くこともあるようですが、あまりにも長く続く場合は、他の病気の可能性もあるので、早めに専門医を受診しましょう。
バスケットボールやサッカーなどのスポーツをしている場合、オスグッド病かも知れません。
赤ちゃんで注意したい症状
乳児の場合は赤みや腫れに気づきにくいので
- 足を動かすと痛がって無く
- 不機嫌が続く
- ミルクの飲みが悪い
などの症状に注意しましょう。
赤ちゃんで注意したい脚の病気は
- 化膿性股関節炎(かのうせいこかんせつえん)
- 先天性股関節脱臼(せんてんせいこかんせつだっきゅう)
です。
化膿性股関節炎
- 足の付根にはれや熱感がある
- オムツ替えや抱っこの時に下肢を動かすと泣き出す
等の場合はすぐに小児科を受診してください。股関節の細菌感染により起こる病気で、後遺症が残ることもあるので、早期に抗菌薬を使った治療が必要です。
先天性股関節脱臼
生まれつきの股関節の異常。両足を十分に拡げられません。重症の場合は下肢に特殊な装具を付けて治療します。
乳児検診で指摘されることもありますが、オムツ替えで下肢が広がりにくいと感じたら、小児科や整形外科で相談します。軽度の場合は、おむつを広めに当てることで治る場合もあります。
足、脚の形に注意
X脚、O脚は成長に伴う自然な場合は問題ありませんが、先天的な異常や病気などがある場合もあるので、状態をよく観察し、おかしいと感じたら医療機関を受診してください。
最近の子供は土踏まずの形成が上手くできない、へん平足の場合が多く、異常や病気に気づくのが遅くなることもあるので、特に注意が必要です。
X脚、O脚について
2歳頃まで多くの子供はO脚で、その後は次第にX脚気味になります。15歳位までに自然にまっすぐになるので、一般的には心配はありません。
まれに先天的な骨の形成異常や、神経や筋肉の病気、栄養障害などが潜んでいることもあります。乳幼児で
- O脚の程度が強く、たてない、歩けない、歩くのが遅い
- X脚の程度が強く、足が痛い、疲れやすい、低身長
などの症状がある場合は、小児科や整形外科で相談しましょう。
へん平足
へん平足、は足の裏が平で土踏まずがない状態。良くへん平足は疲れやすいと言われています。
3歳頃までは土踏まずが無いのが普通です。確りと歩けるようになって筋肉がついてくると、自然と土踏まずがはっきりしてきます。
最近は土踏まずがないこどもも増えてきているようですね。舗装された道路を機能性の高い靴であるき、裸足になる機会が減っていることも要因の1つと言われています。
- 強い変形がある
- 歩くのが遅い
等の場合は、先天的な骨や筋肉、神経の病気の可能性もあります。おかしいと感じた場合は整形外科で相談しましょう。
運動をしている時に痛い時→オスグッド病かも
小学校学年から高校生ぐらいで、運動している時にひざの痛みがある場合は、オスグッド病の可能性があります。
こちらも成長に伴って治りますが、痛みの強い時期は運動の制限も必要となります。整形外科医を受診し、適切な指示を受けることが大切です。
サッカー、バスケットボール、バレーボール、陸上競技、野球などの選手によく認められ、9割程度は軸足に発生します。
スポーツの指導者は、とくに子供の様子を観察し、保護者との連絡を密にすることも重要。保護者がオスグッド病のことを知らないこともあります。
プレーをするためのケアを教えてくれる医師に診てもらえるのがベストですが、運動をしても良いか、ダメか、だけしか判断しないケースも多いです。
オスグッド病とは
脛骨結節(お皿の下の骨)が徐々に突出してきて、痛がります。時には、赤く腫れたり、熱を持ったりします。休んでいると痛みが無くなりますが、スポーツを始めると痛みが再発します。
発育期のスポーツ少年に起こりやすいのが特徴です。
予防と治療
成長期の一過性の病気で、成長が終了すると、多くは治癒します。この時期はスポーツを控えることが大切です。
上記の症状を強くさせないためには、大腿四頭筋のストレッチングやアイスマッサージなどを行い、痛みが強いときのみ、内服や湿布をします。
出典: 公益社団法人日本整形外科学会
まとめ~成長痛か他の病気か見極めが重要
骨や筋肉などの異常、病気などがない場合の、ひざの痛み、足首の痛み、と言った成長痛は自然に治るものです。
しかし、小さなお子さんなどには、抱きしめてあげる、脚をさすってあげる、と言ったケアで痛みが和らぐ場合もあります。
重要なのは、ほかに原因となる病気などがあることに気づかず、成長痛と放置しないこと。少しでも気になることがある場合は、早めに医療機関で相談しましょう。
特に赤ちゃんや小さなお子さんは、大人がしっかり観察してあげることが大切です。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ