足首の腫れや痛み、足が疲れると行った症状がある場合、扁平足の前段階の可能性が。足の変形は殆どわかりませんが、放おっておくと足の機能が損なわれます。早い段階での対処のために、扁平足の原因と治し方を確認しておきましょう。
大人の扁平足とは
土踏まずがない足のことを扁平足、ベタ足と言いますが、いったんできた土踏まずが大人になってから崩れてしまうのが大人の扁平足です。
初期の段階では見てわかる変形は殆どないのですが、内側の足首の腫れや痛みが現れると扁平足の前段階といえます。
進行すると足の機能が失われ、歩くことが困難になる場合もあり、早期に発見して対処することが重要です。
一般的に幼児期の子供の足の裏には、まだ土踏まずはできていないので扁平(平)な状態です。学童期から思春期にかけて土踏まずができてきます。
土踏まずがあるということは、つま先からかかとにかけて縦のアーチがあり、体重の分散の働き、スムーズに体重を移動させるという重要な機能が働いているということです。足の裏が扁平になるのは、このアーチが崩れてしまうからです。
いったんできた土踏まずが崩れるほか、近年、本来できるはずの土踏まずが形成されずに、扁平足のまま大人になるケースも増えています。
土踏まずの役割と後脛骨筋腱
立っているときや歩いている時は、2本の足で全体重を支えています。このときに縦のアーチはつま先からかかと側、足の内側から外側に向かって体重を分散させる重要な役割をになっています。
また、歩くときには縦のアーチが伸縮することで、かかとからつま先の方へと体重移動がスムーズに行えます。この縦のアーチが崩れると、土踏まずが崩れ足の裏は扁平に。
縦のアーチが崩れる要因として「後脛骨筋腱」の炎症が関わっていることがわかってきました。
後脛骨筋腱とは
アキレス腱の内側から内くるぶしの後ろを通って土踏まずにあるてっぺんの骨についている腱です。土踏まずを形成する骨を支えています。この腱に炎症が起こると、骨をしっかり支えられなくなり、縦のアーチが崩れてきます。
後脛骨筋腱機能不全PTTDとは
中高年になると土踏まずを形成する骨を支えている後脛骨筋腱が、長年の負荷から炎症を起こしたり断裂したりすることで機能しなくなり、足の痛みや扁平足を起こす病気で、はっきりした原因は不明です。
後脛骨筋腱は、内くるぶしの部分で直角に曲がっているので、歩いたり足を使うたびに骨でこすられ傷ついています。
発症しやすい人は
- 中高年
- 女性
- 肥満、関節リウマチ、糖尿病、高血圧症のある人
などです。
この他転倒や捻挫などの外傷、スポーツなどによる衝撃が引き金となり炎症をおこすこともすくなくありません。ランナーなどにも多く見られます。
症状の進行
くるぶしの腫れや痛み
↓土踏まずが崩れてくる
↓外踝とかかとの間の痛み
↓アキレス腱が外側に曲がる
↓つま先でたつことが困難になる
↓足の裏のいたみ
↓足の機能が損なわれていく
大人の扁平足の初期は、見てわかる変形は殆どありません。内くるぶしの辺りに後脛骨筋腱の炎症からと思われる腫れや痛みが現れますので、このような症状が有れば扁平足、PTTDの前段階にあるといえます。
そのまま治療をせずに放っておくと後脛骨筋腱の機能が低下して土踏まずを形成する骨を支えられなくなり、土踏まずが崩れてきます。
同時にかかとが少しずつ外側をむき始めるので、外くるぶしとかかとの骨がぶつかって外くるぶしとかかとの間に痛みが生じます。
ふくらはぎの筋肉とかかとの骨を繋いでいる「アキレス腱」がかかとの骨の後ろにありますが、かかとが外側を向いていると、アキレス腱も外側に曲がりふくらはぎの筋肉の力がかかとに伝わりづらくなり、つま先で立つ動作が困難になります。
*健康な場合、アキレス腱とふくらはぎの筋肉は一直線につながっています。
足の機能が損なわれる
更に進行すると、縦のアーチが完全に崩れ土踏まずだった部分が地面に当たるようになります。足の裏にも痛みが現れてくるので、立っているときや歩くときも痛みが生じ、足の機能が損なわれていきます。
大人の扁平足の対処
一度扁平足を破掌すると、徐々に変形が進行するので、内くるぶしの腫れや痛みなどが出始めた初期の段階で、整形外科を受診することが大切です。
扁平足の症状を悪化させないために有効なのが、後脛骨筋腱に掛かる負担を軽減し、痛みを和らげる保存療法で、主なものは以下の3つです。
大人の扁平足保存療法
- 安静にする
- 足底挿板の装着
- 薬
安静にする
保存療法の基本です。
- 長時間立ち続けるのを止める
- 歩く量をできるだけ減らす
- 運動を制限する
安静にすることで、足にかかる負担を少なくすることができます。
足底挿板の装着
扁平足用の足底挿板(足底板)には、縦のアーチがかたどってあり、これを靴に入れて使うことで土踏まずを維持することができます。後脛骨筋腱に掛かる負担が軽減されます。
足底挿板は医師と相談の上、自分の足にあったものを作り使うことが大切です。基本的に健康保険の適用対象です。
土踏まずの崩れ方には個人差があります。かなり崩れた状態で無理に足底挿板で土踏まずを持ち上げると、立ったり歩いたりするときの安定性が悪くなり、歩きづらくなることもあります。
特に外出して活動する機会の多い方は、外出時にはできるだけ足底挿板を入れた靴を履くようにしましょう。室内では、スリッパなどで足の裏にかかる衝撃を和らげましょう。
薬を用いる
痛みや炎症を抑えるために非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服薬や外用薬を使用します。
悪化した場合は手術が検討
症状がかなり悪化した扁平足には、手術が必要です。
- 踵の骨を切って内側に寄せる
- 機能が低下した後脛骨筋腱を途中で切断して他の筋肉につなぐ
- 縦のアーチを形成する骨を切って形を再建して固める
などの応報があります。
手術などで足の骨を切ったり固めたりすると、痛みは減りますがその代わりに足の機能の一部が犠牲になる場合があります。
そのため、大人の扁平足では手術が必要になる前に、保存療法などで重症化を防ぐことが重要となります。
言葉の意味、時代の変遷
「ベタ足」というと一般的には「扁平足」、つまり土踏まずがない足のことだと思っていたのですが…
足の裏全体で体重を支えて立つこともベタ足というそうです。イ・ボミ選手など、主に韓国人ゴルファーが「ベタ足スイング」で注目されています。
「ベタ足を扁平足」のことと思って話していたら、「ゴルフのベタ足」のことで、話が通じなかった、何ていうことも起きているかもしれませんね。
ベタ足スイング
スポーツで下半身を使うときの体重移動は「足全体から親指の付け根」で体を動かしますが、下半身が不安定で、状態が安定しない場合があります。
ゴルフではフォームの修正に韓国人ゴルファーの「ベタ足スイング」が美しすぎる、と話題に。
「地面に足をべったり付け、体重移動をしない」ベタ足スイングがトレンドになってきているらしい。体の軸がぶれないのでスイングの軸がぶれないのだそうです。
まとめ
足が疲れやすいのは扁平足のせい。と昔から言われていますが、中高年の女性に多い一度できた土踏まずが崩れる大人の扁平足。後脛骨筋腱の炎症が発症に関わっていることがわかってきました。
後脛骨筋腱は、土踏まずのアーチを支えている腱です。長年受け止めてきた負荷によるもの、ランニングなど衝撃の強いスポーツによる負荷や転倒、捻挫などの外傷が要因となることもあります。
くるぶしの腫れや痛みが起きたら整形外科を受診して、扁平足の疑いがないか、後脛骨筋腱機能不全(PTTD)がないか診断を受けましょう。重症化する前に対処することが足の機能を損なわないためにも重要です。
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