あなたの頭痛はどのタイプ?毎日頭痛~緊張型頭痛(緊張性頭痛)の治し方、に続き、辛い頭痛の対処、予防に役立つ情報です。以下のような症状があったら。慢性頭痛の治療が必要です。
慢性頭痛のタイプとその症状、治療
- 本を読んでいたらキラキラした光のギザギザが現れて目がチカチカ!
- ズキンズキンと激しい痛みや吐き気で仕事・家事ができない
- 鎮痛薬が効かなくなって服用が増えた、頭痛の頻度が増した
長引く頭痛、慢性頭痛には、緊張型頭痛(緊張性頭痛)、片頭痛、群発頭痛、薬の使いすぎによる頭痛の4つのタイプがあります。
専門の医療機関でどのタイプの頭痛なのか診断して、適切な治療を受けてください。
前回取り上げた緊張型頭痛以外の、3つのタイプによる頭痛についてその症状、治療を解説。
片頭痛
女性によく見られる片頭痛は、慢性頭痛の中でも悩んでいる人が多いです。片頭痛と診断された場合、様々な治療法や対処法があります。
タイプによって治療法が違うので、慢性頭痛のタイプが片頭痛なのか、他の頭痛なのかをまず診断することが重要です。
片頭痛の診断となる症状
片頭痛かどうかは、閃輝暗点(せんきあんてん)や吐き気などが診断基準となります。閃輝暗点が消えてから60分以内に頭痛が起こる場合は片頭痛.
□ 1.片側に頭痛が起こる | □ 吐き気 |
□ 2.拍動性がある(ズキンズキンする) | □ 光・音に敏感 |
□ 3.強い痛みがある | |
□ 4.動くと悪化する |
この4つのうち2つ以上当てはまる場合が片頭痛の診断基準となっています。吐き気を伴ったり、音や光に敏感になることもあるので、これらの症状の有無も診断基準です。
1~4のち2つ以上当てはまり、さらに「吐き気」か「光・音に敏感」のどちらかが有れば、片頭痛と診断されます。
片頭痛の前兆である閃輝暗点(光るギザギザが5分~20分続けて見え、目がチカチカする)が現れるのは、片頭痛の約1~2割です。たいていの場合は、この偏頭痛特有の前触れはありません。
治療~頭痛が軽いうちにトリプタンを使用
偏頭痛の治療には、頭痛治療薬のトリプタンの内服薬を服用します。トリプタンを効果的に用いるには、飲むタイミングが重要です。最も効果的なタイミングは
ズキンズキンと痛みが始まったが、吐き気までは起きていない軽度の段階
です。前兆として閃輝暗点がある場合は、
閃輝暗点が消え、頭痛が始まったらすぐ
服用します。
片頭痛の原因は(理由は不明ですが)脳の中の太い血管が、拡張し過ぎることで起きます。トリプタンには拡張した血管を元の状態に戻し、三叉神経の興奮を和らげて、頭痛を抑える働きがあります。
トリプタンを使えない人
- 脳梗塞・狭心症がある人
- 重度の高血圧がある人
- 肝機能が悪い人
- てんかんがある人
など
トリプタンが使えない人は、非ステロイド系抗炎症薬で痛みを抑えます。
予防薬の使用で頭痛を防ぐ
トリプタンや非ステロイド系抗炎症薬を、月に10回以上服用していると、薬の使いすぎによる頭痛を起こす可能性があります。頻繁に薬を使用しないと、痛みを抑えられない場合は、予防薬を積極的に用い、頭痛の回数や程度を減らします。
予防薬は、脳の神経細胞の興奮を抑え、頭痛が現れるのを防ぐ作用がある
- カルシウム拮抗薬
- 抗てんかん薬
が使われることが多くなっています。
- β遮断薬
- 抗うつ薬
が使われることもあります。副作用はほとんどありません。
※カルシウム拮抗薬とβ遮断薬は、高血圧の薬としてもよく使われますが、片頭痛で使われるカルシウム拮抗薬は、血圧にはほとんど影響はありません。
予防薬の効果はすぐには現れず、少なくとも2か月以上継続して使用する必要があります。頭痛が減ってきても、3~6ヶ月は服用を続け、頭痛が月に1~2回に減ったら、予防薬を少しずつ減らしていきます。
生活上の注意
日常生活で片頭痛を起こす誘引がないか、見なおしてみましょう。片頭痛を誘引するものは、様々です。自分の誘引を見つけたら、それを避けて頭痛を予防します。避けられないものならば、予防薬や頭痛治療薬を用いて、うまくコントロールします。
誘引となるものの例
- ストレス
- 月経による女性ホルモンの変化
- 気温・気圧の変化
- 人混み
- 騒音
- 特定の食品
など
群発頭痛
眼の奥の痛み、充血や涙、鼻水や額に汗などの症状が、すべて頭の片側だけに起こります。視床下部と内頚動脈が関係すると考えられています。
視床下部は体内時計の役割を持っています。そのため視床下部の異常で神経細胞が興奮すると、一定の期間に集中して症状が現れます。
内頚動脈は心臓から脳へ向かう血管の1つで、目の動脈とつながっているため、異常が起きると眼の奥が痛い頭痛となります。
頭の片側だけに起こるのは、片側の副交感神経だけが興奮するためと考えられています。
治療
群発頭痛は一般の鎮痛薬では痛みを抑えられません。痛みを和らげるには、即効性のあるトリプタンの自己注射や、医療機関での酸素吸入で対処します。群発頭痛は一定期間、毎日起こるので頭痛が始まったら、毎日キットを持ち歩き、自己注射をします。
トリプタンの自己注射
トリプタンは拡張した血管をもとに戻す作用があります。頭部の三叉神経の興奮を和らげる作用もあるので痛みを抑えられます。内服薬では効果が出るまでに1~2時間かかるため、即効性のある注射薬を用います。携帯できる自己注射用のキットで、自分で腕や太ももなどに注射すると、5~10分で痛みが消えます。
酸素吸入
トリプタンの自己注射キットがない場合は、緊急で医療機関に行き、酸素吸入を15分程すると、症状は治まります。酸素を体内に多く取り込むと、緊張した脳の動きがもとに戻るため、痛みが和らぎます。
生活上の注意
頭痛を起こしにくくするために、飲酒や喫煙を避ける、睡眠はできるだけ規則正しくとることが大切。群発頭痛は体内時計に関係するので睡眠リズムを整えることで、症状が現れる時間帯を予測し、対処が可能となります。
薬の使いすぎによる頭痛
頭痛を感じる人の多くが、市販の頭痛薬を飲んでいます。最初のうちは症状を抑えていてもだんだん効かなくなったり、頭痛が起こる頻度が高まってきます。
これは、鎮痛薬の使いすぎで、痛みの感受性が悪化し、少しの痛みで痛みを感じ、薬も効かなくなってくるために、さらに薬の服用が増える、という悪循環を起こしているのです。以下の診断基準に当てはまる場合は、医療機関を受診してください。
診断基準
- もともと頭痛があり、月に15日以上頭痛がある
- 薬を月に10日以上を3か月以上継続して服用
以下にあてはまる人も受診することをおすすめします。
- 市販の鎮痛薬を効きが悪いのに飲んでいる
- とりあえず飲む、など鎮痛薬を飲むことが習慣化している
薬の使いすぎで起こる頭痛の診断基準は、日本頭痛学会のガイドラインと、国際頭痛分類で定められていますが、出来てからまだ日が浅い。より正確な診断を受けるには、頭痛外来や、頭痛に詳しい専門医師が望ましいです。
治療の流れ
まず大事なことは、この頭痛は薬の使いすぎによるものであることを、よく理解することです。なぜ今の薬が良くないのかを納得して治療をすることが重要です。
治療の流れは以下のように行ないます。薬の使いすぎによる頭痛が現れる前の状態に戻します。
- 原因となる薬の使用を辞める
- 予防薬で頭痛の頻度を減らす
- 鎮痛薬の使用回数を減らす
元の状態に戻す
- 偏頭痛のある人は 薬の使用を月8回以下にする
- 緊張型頭痛がある人は 薬に頼らず、リラックス法で対処する
原因となる薬の使用を辞める
頭痛が起きた時に、別の薬に変えます。例えばトリプタンも5種類あるので、別のトリプタンあるいは他の薬を処方。
数種類の成分が混合している市販薬は、その薬に含まれていない成分を含む薬を処方。(市販薬を使っていた場合、それを持参するか、薬の名前を医師に伝える)
予防薬の使用
予防薬を使用して頭痛の頻度を減らします。現在は
- アミトリプチリン(抗うつ薬の一種)
- パルブロ酸(抗てんかん薬)
- プロプラノロール(β遮断薬)
などが効果的だと分かっていますが、症状によりどれを使うかが異なるので、医師と相談が必要です。
緊張型頭痛があった場合は、前回お伝えしたリラックス法と、症状に合わせて筋弛緩薬、作用の弱い抗うつ薬・抗不安薬などを使用します。
鎮痛薬の使用回数を減らす
前述の流れで経過が良ければ、原因となる薬を辞めた後に飲み始めた薬の使用を、少しずつ減らしていきます。もともとの状態に戻ってくれば、薬の使いすぎによる頭痛は治ったといえます。
目安は、
- 片頭痛の場合、鎮痛薬の使用を週2回、月8回以下
- 緊張型頭痛なら、薬を使わずリラックス法だけで痛みに対処できる
ここまでくれば大丈夫です。
再発を防ぐ
薬の中止後半年から1年位で再発しやすいので、1年くらいは医師の指示通りに通院、処方薬の使用指示を守りましょう。
- 鎮痛薬を飲み過ぎない
- 頭痛ダイアリーをつける
- 喫煙・飲酒は控えめに
頭痛ダイアリー
自分の頭痛の傾向を把握、薬の飲み過ぎもチェックでき、診断にも役立ちます。
- 頭痛の起きた日付、時間帯
- 頭痛の強さ
- 使用した薬の種類
- 吐き気の有無
- 気候
- 飲酒の有無
などを毎日記録します。
頭痛ダイアリーは日本頭痛学会のHPからダウンロードできます。
まとめ~慢性頭痛の対処
自分の頭痛のタイプを知り、適切な対処をすることで、つらい症状を和らげたり、頭痛を予防することも可能です。薬は上手に使えばコワイものではありません
慢性頭痛は自己診断や薬に頼り過ぎないこと、専門機関での診断、治療が重要です。勿論日常生活の見直しも!
追記
長年ひどい頭痛に悩まされていたのですが、目からくる肩こり、筋肉の緊張が原因の緊張性頭痛だったようです。今でも頑固な肩こりはあるのですが、何故か頭痛はめったに起こらない。原因は不明です(笑)
頭痛が起こった時は「これは、まずい」と思った時に薬をのみます。普段薬のたぐいは一切飲まないので、すぐに効いてくれるのは嬉しいですね。
頭痛の種類や原因、対処について、また体質改善を目指すサプリメントについて頭痛が続く9つの原因~頭が痛い時の対処と頭痛のタイプでも取り上げていますので、ぜひお読みください。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ