看護師の仕事は不規則な勤務形態なので、睡眠障害をおこしやすいのですが、一般の職場でも、ストレスなどが要因となり、不眠症からうつを発症することもあります。
眠れない原因はあなたの考え方や生活習慣にもあります。不眠症改善、快眠のためにどんな工夫をすればよいのか、まずは睡眠に対する考え方を見直すことからはじめましょう。
看護師の仕事と不眠症の関係
看護師の仕事は殆どの場合、交代勤務です。不規則勤務に身体がどうしても慣れず、睡眠障害を起こしたり、身体の不調が治らずに辞める看護師も少なくありません。
また、看護師を辞めたい。日勤だけの職場に転職したい。と考える看護師も多い。
交代勤務が引き起こす睡眠障害
寝たい時に寝付けない、睡眠中に目が覚めるなどの睡眠障害に悩まされる人も少なくありません。頻繁に勤務時間が変わるので、体内時計の調整が間に合わず、体温やホルモンの分泌などの周期がずれてしまうからです。
夜型の看護師は深夜勤務も比較的うまくこなせるのですが、朝方だと非常に辛い。どうしても交代勤務に身体がついていけずに、日勤だけの職場に転職したり、看護師は辞めたいと他の職種に転職してしまう場合もあります。
体内時計の針は、遅らせるほうが身体に馴染みやすいので、シフト表を日勤、準夜勤、深夜勤と勤務時間を遅らせるように組んでもらえると、慣れやすいです。
寝たい時に合わせて「超短時間作用型」の睡眠薬を使う方法もあります。
睡眠障害~不眠症の要因と対処法
睡眠障害には
- 不眠症
- 過眠症
- 概日リズム睡眠障害
- 睡眠時無呼吸症候群
- むずむず脚症候群
と言った様々な病気などが含まれます。また、うつ病との関連も強い。
睡眠障害の背景にあるもの
「高齢化社会」、「ライフスタイルの多様化」、「24時間社会による生活の乱れ」、「ストレス」などが不眠が起こる背景にあると言われています。
加齢で体内時計の針が進んでも、睡眠の質や量は変わり、また看護師の仕事のように交代勤務であったり、夜更かしをしがちな生活も体内時計に影響を与えています。
睡眠障害のそれぞれについて、詳しく書くと膨大な量になりますので、ここでは不眠症の症状、引き起こす要因、快眠のための対処法について詳しくお伝えします。
快眠のために心がけたい考え方5つのコツ
不眠症の対処法は、まず日常生活を見なおすことと、睡眠に対する考え方を捉え直すことです。
眠れないことに恐怖を抱いて不安を感じるようになると、ますます眠れなくなりがちです。考え方を変えて、寝る前の時間をリラックスすることが大切。
不安と上手につきあう
不安を持つことは自然なことです。しかし過剰に持つ必要もありません。不安は「思慮深さ、危機管理能力が高い」ことから感じる、と考え方を良い方向に切り替えます。
不安があるときはなかなか眠れないものと考える
「今夜も眠れないかも」と不安になるのではなく、「不安があるから眠れないのだ」と発想を逆転させます。無理に寝ようとせず、別の部屋でゆったり過ごすなどして眠くなるのを待ちます。
ゆったりと夜を過ごす
寝る前はリラックスして過ごします。脳が目覚めている状態からゆるやかに、眠りたいと感じるようになり、自然に眠りにつくことができます。
こだわらず、折り合いを付けて考える
心配事や不安はいつまでもこだわらずに、「終わったことは仕方がない」「さきのことはまだわからない」と、ある意味成り行き任せで、折り合いをつけるようにしてみるのも良いです。
睡眠はこうあるべき、という考えは捨てる
8時間寝ねるべき、9時には寝床に入るべき、と言ったきめつけは、かえって睡眠を妨げます。起床時間は一定にして、眠たくなったら寝床に入るようにします。
不眠が改善しない時は、医師に相談します。生活習慣の改善の指導、認知行動療法などが行われます。
また、適度な睡眠薬で不眠を解消すると、多くの場合は不安も改善されます。
不眠症の症状4タイプ
寝付きが悪い、目が冷めて十分に眠れない、疲れが取れない…
寝床に入ってもなかなか眠れず、その苦痛が原因で「日中の倦怠感」「疲労感」「集中力の低下」などが現れて、日常生活に支障がある不眠。成人の5人に1人、男性よりもやや女性に多い不眠症の症状には、以下の4つのタイプがあります。
- 入眠障害
- 中途覚醒
- 早期覚醒
- 熟眠障害
入眠障害
寝床に入ってから寝付くまで2時間ほどかかる。これが毎日では身体は休まりませんね。寝床に入ってもなかなか眠れないのが入眠障害です。女性に多い傾向があります。
寝付くまでの時間は個人差が有り、ただ時間がかかるというだけでは、不眠症とは診断されません。一般的に、30分から1時間以上かかり、それが苦痛となっている場合に入眠障害と診断されます。
- 早く寝床に入り過ぎる
- ストレスや眠れないことへの不安・恐怖がある
- 寝る前にカフェインを多く含むものを飲む(お社、コーヒーなど)
- 寝る直前に暑いお風呂に入る
などで寝付きが悪くなります。
中途覚醒
寝ついた後、夜中に何度も目が冷めるのが中途覚醒で、非常に多い症状です。目が冷めてもまた寝ることが出来る場合は問題ありません。
不眠症は、眠ている途中で目覚め、その後しばらく寝付けずに苦痛を伴う症状がある場合です。
高齢者で寝床に入っている時間が、必要以上に多い人、昼間の活動量が少ない人などに見られます。
前立腺肥大症などの病気が原因の夜間の尿意や、寝酒で睡眠の質が低下することなども原因です。
早期覚醒
朝、起きようと思う時間よりも早く目覚めてしまい、その後眠れなくなります。目覚めても活発にすごし、苦痛を感じていなければ問題はありません。
日中に強い眠気を感じたり、夜遅くまで起きているのが苦痛の時は、対処する必要があります。
一般的に体内時計の針が進みやすくなる高齢者は、夜眠る時刻が早くなり、早朝目が冷める人が多くなります。
熟眠障害
睡眠時間は十分足りているのに、起きた時に疲れやだるさが残り、休息感が感じられません。
必要以上長く寝床の中で過ごしている人に、多く見られる症状です。殆どの場合は、他のタイプの不眠症に伴って起こることが多く、そちらの不眠症を対処すれば改善できます。
不眠症を引き起こす要因8つ
不眠症には要因が明らかなものと、よくわからないものがあります。要因がわかっているものは、その要因を取り除くことで、不眠症改善に繋がります。
- 薬
- 他の睡眠の病気
- 身体的な病気
- 脳の病気
- 心の病気
- 女性ホルモンの変調
- 不安やストレスなど漠然としたもの
- 睡眠の誤った知識
薬
病気の治療で使う薬の副作用で、不眠が起こることもあります。薬を飲み始めた後に不眠が現れた場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
薬を変えたり、用量を減らしたりなどの対処がなされます。
- 「パーキンソン病の治療薬」には、不眠が起こったり、日中の眠気を伴うものもある
- 高血圧の薬で、降圧薬の「β遮断薬」は不眠や悪夢を伴う場合もある
- 「ステロイド」でも不眠の症状が現れることもある
- アレルギー疾患の治療などで使われる「抗ヒスタミン」や「てんかん薬」には睡眠作用や鎮静作用があり、日中の眠気に繋がる
他の睡眠の病気
「概日リズム睡眠障害」
「睡眠時無呼吸症候群」
「むずむず脚症候群」
なども不眠の原因です。自覚がない場合もあるので、家族も注意が必要。
身体的な病気
「アトピー性皮膚炎」による痒み
「CPOD(慢性閉塞性肺疾患)」や「気管支喘息」によるせき・喘息発作
「前立腺肥大症」による夜間頻尿
首や腰など身体の痛み
などがあると不眠が生じやすくなります。
脳の病気
「認知症」や「脳卒中」など脳の病気も不眠が起こりやすい。
軽度の意識障害に、幻覚や妄想などが引き起こされる「せん妄」が夜間に起きて、睡眠障害が現れることもあります。
心の病気
心の病気の多くで不眠が現れます。特にうつ病は高い割合で不眠が起こります。「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」などの「不安障害」「総合失調症」などでも不眠が生じます。
女性ホルモンの変調
「プロゲステロン」と呼ばれる黄体ホルモンの一つ、睡眠を浅くさせて、日中の眠気を起こしやすい女性ホルモンです。
月経前や妊娠中、更年期など女性ホルモンの分泌が変化する時期は、不眠や日中の眠気が生じやすくなります。
不安やストレスなど漠然としたもの
特定の要因がない場合、ストレスや睡眠に対する誤った認識が、不眠を起こしていることがあります。
心配事や不安、ストレスは脳も身体も休息に適した状態になれず、眠れなくなるのです。不眠が続くと「眠らなければ」とこだわったり、「眠れなかったらどうしよう」という不安を感じたり。
するとリラックスできずに、ますます眠れなくなり、不眠が悪化する負のスパイラルに陥りやすい。
睡眠の知識
睡眠に対する誤った知識が不眠を招いていることもあります。「早寝早起き」「8時間以上眠る」など健康に良いと思ってこだわっていることが、逆に睡眠の質を落とし、中途覚醒や熟眠障害に繋がる可能性もあります。
加齢により、脳や身体が必要とする睡眠の量は減っていきます。個人差もあるし、男女でも差があるので、例えば夫婦で夫の生活に合わせようとして、妻に睡眠障害が起こることも少なくありません。
まとめ
看護師は比較的転職がし易い職種です。看護師辞めたいと思う理由が、「交代勤務がどうしても身体に合わない」ということなら、日勤だけあるいは夜勤だけ、と言った勤務形態の職場に転職することもできます。
しかし一般企業やフリーランスの場合は、転職することは難しい。快眠のための工夫、不眠症改善の治療をきちんとして、「職場うつで休職・退職」といった重症化を予防しましょう。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ