ぎっくり腰とまでいかなくても急な腰痛に襲われた時、安静にして様子を見ても良い痛みなら、痛みを少しでも和らげ、悪化させないために自分でできる対処、応急処置の方法を知っておいて損はありません。
知っていて損をしない腰痛対処法
腰痛で悩んでいる人はいわゆる腰痛症*が多いのですが、今回は家の中や外出中などで急に腰の激痛に襲われた時の対処、応急処置について知っていて損をしない方法をまとめました。
もちろん、すぐに医師の指示を仰ぐ必要がある腰痛もあるので、今回お伝えしている対処は状況をよく判断し「安静にして様子をみる」場合の一例です。
以下の項目に該当する場合は、整形外科医、場合によっては内科、婦人科、泌尿器科、外科などの受診が必要な場合もあります。
すぐに受診したほうが良い場合と安静にして様子を見る場合の判断はケース・バイ・ケースですが、一般論を挙げておきますのでご参考まで。
*腰痛症:骨や筋肉、神経などに異常が見つからず原因がはっきりしない腰痛を便宜的に腰痛症といいます。若い人に多く見られます。
すぐに受診した方が良い場合
腰に激痛が起こったときに以下の項目に当てはまる場合は、すぐに受診してください。
急を要する腰痛チェック
すぐに受診 | 症状など |
---|---|
腰痛の起こるきっかけがない (慢性腰痛) |
重い荷物を持ち上げたなど急に腰に負担がかかった くしゃみをした、振り返ったなど日常の動作 長い間座りっぱなし、立ちっぱなし などのきっかけがない |
骨折や脊髄損傷の疑い (自動車事故や怪我など) |
膝や足首が動かない つねっても痛みを感じない |
安静にしていても痛む | 腰だけでなくそれ以外も痛む |
腰痛に伴う他の症状がある | 頻用や血尿、発熱・嘔吐・下痢、麻痺・手足のしびれなど 内蔵などに別の病気がある可能性 |
*すぐに医師の診察を受けたほうが良い腰痛の主な特徴ですが、当てはまらなくても急を要する症状の場合もあります。一般的な見解ですので参考までにとどめてください。
安静にして様子をみる腰痛とは
腰痛は後述するように、主に4つの原因から起こりますが、一般的に加齢とともに少しずつ老化現象として腰痛が多くなります。
急に激痛が起こった場合、安静にしていて様子を見る痛みであれば、無理をしてすぐに受診せず、痛みが和らいでからでも大丈夫です。
簡単にまとめると安静にして様子を見る腰痛は
- 「急を要する腰痛チェック」で当てはまる項目はない
- 腰痛が起こるきっかけがあった
- 激痛である
- 安静にしていれば痛まない
- 動いたときに痛むのは腰だけ
- 腰痛以外の症状はない
ということになります。
*一般論ですので、必ずしも当てはまるとは限りません。
自分でできる急な腰痛の対処法、応急処置
安静にして様子を見る場合、具体的にどのような対処があるのかを簡単にまとめました。
自分でできる応急処置です。急な腰痛でなくとも、腰痛症などの痛みを和らげることも可能です。覚えておいて損はありません。
痛みが和らいだら整形外科など専門医を受診しましょう。無理をしてすぐに受診し、かえって腰痛を悪化させないようにしましょう。
家の中などで激痛が起きた場合
とにかく横になることが大切です。自宅なら硬めの布団やマットレス、会社や施設などでは固いソファー、床などに一番楽な姿勢でそっと横になります。
- その場を動かない
- 壁は柱にもたれて体を支え、呼吸を整える
- 横になり背骨にかかった負担を取り除く(楽な姿勢で)
外出中、横になれない場所で起きた場合
まず周りを見渡して体を休められるものが無いか探してみましょう。壁や立木、手すりなどがあればもたれてしばらく体を休めます。台に寄りかかるときは膝を曲げると楽になります。
階段や腰掛けられるものがあればそっと腰をおろしたりして、休み呼吸を整え落ち着いたら移動しましょう。
そばに人がいれば手助けしてもらえないか声をかけたり、痛くない方の手に傘や棒など杖代わりに持つと歩くのが楽になります。
移動に乗り物を使う場合は、電車やバスなどは振動が腰に良くないのでできるだけ控え、タクシーや自家用車を利用します。
車に乗るときの姿勢
和服で乗るときのように、まず腰をおろしてから足を揃えて車内に入れます。膝をたてて座ったり、体を丸めて横になると良いでしょう。
腰への負担が少ない姿勢4例
自分が一番ラクな姿勢で横になり、安静にするのが腰痛の一番の対処法です。仰向け、横向きどちらでも良いですが、膝を伸ばすと腰に負担がかかるので、いずれの場合も膝を曲げます。
硬めの布団や体があまり沈まないマットレスを敷いて横になります。
仰向けに寝て膝を立てる~腰への負担が一番軽い
仰向けで膝を少し上げる~膝の下に座布団などを入れ、腰を安定させる
膝を高く上げる~膝の下の座布団などを積み重ね痛みが和らぐ高さに調節する
腰を丸めて横を向いて寝る~左右どちらを下にしてもOK。痛みがひどい場合両膝の間に枕や座布団を挟むと痛みが軽減する。抱きまくらを利用しても良い。
(妊婦にとって楽な姿勢、としてよく紹介されています。シムス体位)
腰を温める
安静の状態を確保できたら、腰を温めましょう。ただし、赤く腫れたり熱を持っている場合は最初は冷やします。
温湿布
- 熱いお湯に浸して絞った大きめのタオルを2~3枚使い、腰を覆うように当てる。ビニールをかぶせてバスタオルで覆うようにする。
- 仰向けに寝ている場合は腰にあたるように敷く。タオルが冷えてきたら再度温め、温湿布を繰り返す。
使い捨てカイロや温湿布効果のあるグッズなどを利用しても良い。
*汗をかいた場合はよく拭き取ります。
ぬるめのお湯にゆっくり浸かるのも体の緊張をほぐし、腰を温めることができます。
血流の循環が良くなり新陳代謝も活発になるので、痛めた腰を治そうとする働きが促進し回復が早まることが期待できます。
冷湿布
長時間冷やし続けず、途中で休みを入れることが大切です。
- タオルを冷水に浸して絞り腰を冷やす。
- アイスマッサージ:痛むところに氷を入れた袋をあて、30秒くらいゆっくり円を描くように冷やす。
休みを入れながら数回繰り返し、体の水気をよく拭き取る。
2、3日して赤みや腫れ、熱などがひいたら温湿布をします。
冷湿布の作り方
ビニール袋に製氷機の氷やダイヤアイスを3~4個入れ、塩を少し加えて温度を下げ、口を縛る。ビニール袋の上からガーゼやハンカチなどで包むのも良い。
100均でも、ミニ氷のうを売っていますので、見かけたときに購入しておくと便利です。熱中症対策や急な発熱、寝苦しい夜などに重宝しますよ。
100均のミニ氷のう。メーカーにより多少大きさが違います。
腰に負担をかけない工夫
腰痛は再発しやすいので、じっくり治すことが大切です。痛みがあっても横になってばかりはいられませんので、普段の生活でも腰に負担をかけない工夫を。
- すわるときはなるべく壁や椅子の背もたれなどによりかかる
- 床の上では膝を伸ばさない(ひざが伸びると腰椎に負担がかかる)
- 入浴は温めのお湯で積極的に(家族の介添や滑らないような工夫、浴槽に入るときの姿勢にも注意)
このほか、コルセットなどで腰部をしっかり安定させる方法もありますが、長い時間つけているとコルセットの頼りがちになるので、3ヶ月程度をめどにしましょう。
杖の利用も歩くときの体の支えとして腰の負担を軽くできます。長さは脚の付け根に握りが来るぐらいのものが良いでしょう。実際に試し体にあったものを選んでください。
腰痛の主な原因は4つ
大きく分けて腰痛には4つの原因があります。
タイプ 担当医 | 特徴 | 原因 |
---|---|---|
骨や筋肉の異常 整形外科 |
椎間板ヘルニア 腰痛症 脊椎分離症 など原因として一番多い |
日常生活での姿勢の悪さ 運動不足 長時間労働に寄る疲労・緊張 栄養の偏り 過激な運動 |
内蔵などの疾患 内科、泌尿器科、婦人科 |
胃炎、腎盂炎、尿路結石など 腫瘍など |
血管・リンパ管の障害 がんなどの腫瘍 子宮筋腫など婦人科系の疾患 |
神経の疾患 神経内科 |
神経の疾患に寄る麻痺 | 麻痺により筋肉が弱くなる |
精神的要因 精神科 |
神経症、ストレスなど | 精神的要因 |
腰痛を起こす主な病気は腰痛症、変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、椎間板変性症、脊椎分離症・すべり症などですが、一番多いのが原因がはっきりしない腰痛症です。
肥満や姿勢に注意し、腰への負担を軽くする工夫を日頃から行うことも大切です。
年代別に起こりやすい腰痛
腰痛は老化現象でもありますが、年代別に起こりやすい腰痛もあります。
- 10~20歳代 過激なスポーツによる椎間板ヘルニアや脊椎分離症など
- 30~40歳代 運動不足、長時間労働、肥満、ストレスなどが原因のぎっくり腰屋脊椎分離症
- 50歳代以上 老化による変形性脊椎症、骨粗鬆症
まとめ~安静にして様子を見ても良い腰痛の対処法
腰痛の原因はいろいろありますが急に腰に激痛が起こった場合、安静にして様子を見てからでも良い腰痛であれば慌てずに対処しましょう。
とにかく腰に負担をかけないように体をもたれかける、横になるなど安静にして、その後温湿布(場合によっては冷湿布のあと温湿布)します。
また、腰痛は再発しやすいので、普段から腰に負担をかけない工夫をすることも大切です。肥満や悪い姿勢も腰痛の原因になるので思い当たる場合はそちらも対処してくださいね。
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