健康と日々の徒然~Anのひとりごと

心と体の健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

慢性腰痛の改善~血液循環とドパミン効果の運動が有効

長くストレスにさらされていると、痛みの信号が脳に伝わっても、痛みを抑える仕組みが機能しなくなり、脳が痛みを感じてしまいます。慢性腰痛の原因と、慢性腰痛を改善する2つの働きがある運動についてお伝えします。

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慢性腰痛とストレスの関係

ストレスや不安でも慢性腰痛は悪化します。ストレスは脳で感じるので、一見腰痛とは関係が無いように思えますが、ストレスは、脳の痛みを押さえ込む仕組み(下行性疼痛抑制系)を妨げるのです。僅かな腰の痛みでも強く感じたり、痛みが長く続くようになります。

ストレスの原因を取り除くことで、下行性疼痛抑制系を活性化させ、痛みを感じにくくし、腰痛の改善につながりますが、現実には対応が困難な場合も少なくありません。

 

慢性腰痛の治療は運動療法がメイン

慢性腰痛の治療には、運動療法、薬物療法、認知行動療法などで取り組むことが重要となります。

治療の中心は運動療法で、補助的な役割を果すのが薬物療法と認知行動療法です。慢性腰痛は痛みが収まるまで安静にするほうが良いと考える人もいます。

しかし、運動療法が慢性腰痛の治療に最も効果が期待できることは、科学的にも証明されています。

強い痛みが常にあるわけでは無いので、十分体を動かすことは可能です。

 

運動の2つの働き

運動は、体の動きを良くする働きがありますが、慢性腰痛を改善するための2つの働きもあります。

  • 脳の血液循環を良くする働き
  • 楽しく運動することで、ドパミンの放出を促す働き

です。運動で下行性疼痛抑制系が活性化し、痛みが軽くなると考えられています。脳内のドパミンは、楽しいことや嬉しいことがあると放出されます。好きな運動を楽しみながら行うことがポイントとなります。

 

認知行動療法

認知行動療法は、考え方を変えることで行動を変えていく治療法です。運動療法の補助的な役割を果たします。

「腰痛で何もできない」

と考えるのではなく

「痛いけれど、買い物にはいける」

というように、前向きに考えます。できることが少しずつでも増えていくと、生活も改善され、腰痛が良くなる効果が期待できます。親しい人と食事をする、音楽を聴く、など自分の好きなことをするのも、腰痛の軽減に効果があります。

 

腰痛のストレスチェック「BS-POP」

福島県立医科大学附属病院整形外科と精神科の医師が共同で開発した問診で、慢性腰痛にストレスが関係あるかどうか調べます。

本来は痛みに心理的要因が関わっていないかどうかを確かめるために開発されたものです。

自己チェックだけでは心理的要因を評価するのは難しいので、医師や看護師が患者さんの心理的要因を評価する、治療者用のチェックリストも使われます。

 

BS-POP問診

全部で10問の問診に対して、それぞれここ1ヶ月以内の状態で当てはまるものを選んでください。選んだ選択肢の点数の合計で診断します。

  いいえ ときどき ほとんど
いつも
泣きたくなったり
泣いたりすることがある
1点 2点 3点
いつも惨めで
気持ちが浮かない
1点 2点 3点
いつも緊張していて
イライラしている
1点 2点 3点
ちょっとしたことが
癪に障って腹が立つ
1点 2点 3点
食欲が旺盛である

3点 2点 1点
1日の中では
朝方が一番気分が良い
3点 2点 1点
何となく疲れる

1点 2点 3点
いつもと変わりなく
仕事ができる
 3点  2点 1点
睡眠に満足できている

 3点  2点 1点
痛み以外の理由で
寝つきが悪い
1点 2点 3点

合計で15点以上なら、心理的要因が関係している可能性があると考えられます。治療者(医師等)用のチェックリストと合わせて診断します。

参考: 心因性腰痛 みんなの家庭の医学 コミコミクリニック アーカイブ

archive/kaisyo/youtsu/shinin/monshin.html target="_blank"

心理的要因が関わっていると診断されると、痛み止めの薬などを併用して、ストレスに対する治療も行います。運動が最も効果的です。

関わっていない場合は、薬や物理療法、手術などの治療を検討します。

*BS-POPはBrief Scale for Psychiatric Problems in Orthopaedic Patientsの略。

「整形外科患者における精神医学的問題を知るための簡易問診票」

 

腰痛の原因

腰痛は、以下の3つの原因が絡み合って起こっています。

  • 筋肉・関節の炎症
  • 神経の圧迫・炎症
  • ストレス・うつ・不安

一般に腰痛は、発症してから1か月以内に良くなることが多いのですが、痛みが起きてから3か月以上続く場合、慢性腰痛と呼んでいます。

慢性腰痛の場合は、特にストレス・うつ・不安の影響が大きく、腰の痛み強くしたり、長引かせる原因となっています。

 

重大な病気とは関係ないのがほとんどですが…

慢性腰痛の大部分は、重大な病気とは関係がありません。しかし、時には脊椎の腫瘍や感染症、骨折などの重い障害が隠れていることもあります。

腰痛が長引く場合は、整形外科を受診し、検査を受けましょう。

 

ストレスの主な原因

主な原因となるものは、

  • 家庭の人間関係
  • 職場の人間関係
  • 仕事の内容

などがあります。

ストレスの感じ方は、人によって差がありますが、家庭の人間関係では、夫が家庭を顧みない、姑と反りが合わない、高齢者のひとり暮らしや高齢者だけの世帯で、将来が不安、寂しいといったこともストレスになります。

上司と相性が悪い、同僚との関係がうまくいかない、などが職場での人間関係として上げられます。

仕事に不満がある、給与など正当に評価されていない、と言ったこともストレスとなります。

 

下行性疼痛抑制系の働き

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最近の研究で、腰痛は脳で起きていることがわかってきました。脳には体で感じた痛みを抑える、下行性疼痛抑制系という仕組みがあり、腰痛と深く関わっています。

ストレスに長くさらされていると、痛みの信号が脳に伝わっても、下行性疼痛抑制系が機能しなくなるので、少しの腰の痛みも強く感じたり、長く痛むようになります。

 

μオピオイドとドパミン

  • 体に痛みが起こると痛みの信号が脳に伝わる
  • 脳の中心部でドパミン(神経伝達物質)が放出される
  • その刺激でμオピオイド(脳内麻薬物質)が多量に分泌されて、痛みの信号が脳へ伝わる経路を遮断する。
  • それにより、痛みが抑えられる

腰痛に関する過去エントリーです。合わせてどうぞ。

www.nurse-diaries.com

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まとめ~楽しみながら運動して慢性腰痛の改善

様々なストレスにさらされている現代、慢性腰痛の痛みに悩む方はとても多いです。腰をかばって運動を控えたりしがちですが、慢性腰痛の改善には、運動が最も有効な治療法でもあります。

無理はもちろん禁物ですが、楽しみながらの運動は、脳の痛みを押さえ込む仕組みを正常に機能させ、痛みが軽くなる効果が期待できます。

ただし、運動をする前に、医師に相談することも重要です。

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