健康と日々の徒然~Anのひとりごと

心と体の健康を大切にしたい方へ贈るひとりごと

集中力を高める呼吸法~セロトニン神経を元気にする丹田呼吸法とは

ストレスや嫌なことがあると、ノルアドレナリン神経が活性化し、嬉しいことや楽しいことがあるとドーパミン神経が活性化します。2つの感情のバランスをうまく取り、平常心でいながら集中力を高める呼吸法についてお伝えします。集中力を高める呼吸法、丹田呼吸法とセロトニン神経

忘れ去られた深い呼吸法

昔の日本人にはお腹を使った深い呼吸法が定着していました。生活をするために、深い呼吸が必要だったからです。この呼吸法が丹田呼吸で、吸う、止める、吐くという呼吸法のそれぞれにコツがあります。

しかし現在は日常生活で深く呼吸する必要性が減ったため、息の仕方を忘れてしまいました。その結果常にイライラしたり、疲れやすくなる、子供は落ち着いて集中できない、すぐにムカつく、キレやすいと言った事態に陥ってしまうようになりました。

丹田呼吸法を行うことで失ってしまった呼吸力を取り戻せれば、心身の状態を一定に保ち、余裕も産まれます。昔の人が呼吸を技として身につけていたように、丹田呼吸法を繰り返すことにより体に定着していきます。

 

丹田呼吸の効果

丹田呼吸はお腹(腹筋)をしっかり使って行う意識的な呼吸で、指令を出すのは大脳ですが、通常の呼吸は横隔膜を使い、呼吸中枢によって調節されている無意識の呼吸です。セロトニン神経は、丹田呼吸のような意識的な動きの刺激を受けなければ元気になれません。

丹田呼吸をするとα波が現れますが、通常目を閉じると脳がリラックスして現れるα波とは周波数が違い、高い周波数のα波が現れます。これは脳がリラックスしながらも活発に働き、意識がはっきりしていることを表しています。

丹田呼吸法のやり方

ここでは椅子に座って行う方法をご紹介します。

鼻から息を吸って鼻から息を吐くのが原則です。吸うよりも細く長く吐くようにします。まず、体をリラックスさせることから始めましょう。

1.上半身をリラックスさせる体操

  • 体操の前に、深く深呼吸する
  • 椅子に座り足を少し開き、両手は膝のあたりに置く
  • 背もたれに寄りかからずに3回程度鼻で軽く深呼吸して体の力をぬく
  • 深呼吸を続けて行う。みぞおちの下(おへその指2本分くらい上)を堺にして体を少し前に倒す
  • 折り曲げたところ(体に横線ができる場所)に右手の小指の脇をあて、左手を丹田(おへその少し下の部分)の上に置く

*股関節から折り曲げない

  • 3秒かけて息をすいながら胸を張り、ゆっくり状態を起こす
  • 5秒かけて息を吐きながら、体を少し前に倒す
  • 背中が丸くなって姿勢が悪くなってもOK。みぞおちのあたりを柔らかくするつもりで行う
  • 途中で右手と左手を変え、左右各6回ずつ行う

2.丹田を意識する

  • 両方の手のひらを丹田の上に置く(丹田を包み込むようにする)
  • 息を吸いながら体に沿って胸のあたりまで手をすりあげ、胸をそらす
  • 息を吐きながら体に沿って手を丹田まですり下げていく
  • 丹田に意識を集中させて4~6回行う

丹田呼吸法のやり方

1、2の動作は半跏趺坐(はんかふざ=どちらかの足首をももの上に乗せる座り方)や正座で行っても構いません。半跏趺坐の時は、お尻の下に座布団などをしくと安定して楽にできます。

3.丹田呼吸法

  • 手を膝の上に自然に置く
  • 5秒位かけて息をゆっくり吸う
  • この時、丹田が膨らんでいることを意識する
  • 2秒位そのままの姿勢を保ち、丹田をしっかり意識する
  • 10秒位かけて丹田に力を入れゆっくり息を吐く
  • 口を閉じたまま「むー」とスコチ声を出すようにするとしっかり息を吐くことができる
  • 20~30分間くらい繰り返す。時間に余裕がない場合は、15分程度でも効果がある

丹田呼吸法Q&A

 

うまくできているかどうかわかりません。

 

まず、丹田を意識してください。次に声を出して「ひと~つ、ふた~つ」と数えながら息を吐きましょう。
声を出すとしっかりおなか(腹筋)が使われる仕組みになっています。
声を出して息を吐くことで丹田呼吸になります。

 

テレビを見ながらでも良いですか。

 

呼吸することに専念することが大事です。
何かをしながら行うことは効果を減らしてしまいます。
他のことにはあれこれ思いを巡らせず、意識を集中して呼吸することだけを考えましょう。

 

丹田呼吸法はやればやるほど良いですか。

 

丹田呼吸を初めて5分ほどで、セロトニンの放出量が増加することがわかっていますので、最低5分間は行ってください。
しかし、長ければ良いというわけでもありません。
セロトニン神経の活性化は、丹田呼吸を始めてから10~15分くらいでピークになり、30分くらいまではこの状態が続きます。
それ以上長くやると疲れが出て、逆にセロトニンの働きが抑えられてしまいます。
座禅がお線香が1本燃え尽きる時間(20~30分)が基本であることも、この点からも理にかなっているといえます。

 

長く息を吐くと、次に息を吸えません。

 

頑張り過ぎは良くありません。
まず自分のできる範囲で調節しながら無理なく行いましょう。
上記3の丹田呼吸法の秒数は、あくまでも目安です。
終わった後に気分がスッキリしていれば大丈夫。
慣れてくれば自然に長く吐くことができるようになります。

 

いつ行うと良いのですか。

 

セロトニン神経は覚醒に関係する神経です。
朝目覚めたときにセロトニンが脳全体に放出されます(睡眠中は放出されません)。
なので、丹田呼吸は朝行うと特に効果的です。
朝日をあびることもセロトニンの活性に効果があります。

 

どのくらい効果は続きますか。

 

丹田呼吸を終えた後30分~1時間程度で、セロトニンの放出が元の状態に戻ります。
効果は1時間程度と考えられますが、毎日1回以上、3か月くらい続けることで、セロトニン神経が普段から活発になります。
常に平常心を保つ効果が持続されるようになるので、是非習慣化してください。

 

集中力を高める丹田呼吸法

丹田呼吸法とは座禅の呼吸法です。気分がスッキリし、気持ちが落ち着くという効果が科学的に証明されています。この呼吸法はセロトニン神経を元気にして、冷静に物事に対処する平常心を作る働きをしています。

セロトニン神経が弱ってくると、感情のバランスが崩れ生活が乱れてしまいます。うつ病の人は、セロトニン神経が衰えセロトニンの量が少なくなっていることがわかっています。丹田呼吸法はセロトニン神経に活をいれ、働きを良くします。

丹田呼吸法をしたあとは、気分がスッキリして気持ちが落ち着く、集中力が高まると感じるのは脳がこうした状態になっているからです。

セロトニン神経とは

セロトニン神経は脳の中でも「脳幹(呼吸や心臓の働きをコントロールし、生命に関わる部位)」という大切な場所にある神経です。

セロトニン神経は、セロトニン(神経伝達物質)を放出し、脳の広い範囲に影響を与えています。目覚めているときの意識を調節し、冷静に物事に対処する平常心を作る働きをしています。

平常心を作るセロトニン神経

嬉しい、楽しい、辛い、悲しいなどの観葉の変化にはいろいろな神経が関わっていますが、大きくはノルアドレナリン神経(不快な感情)とドーパミン神経(心地よい感情)にわけられます。

2つの感情のバランスがうまく取れていれば良いのですが、どちらかが強すぎると、不安や憂鬱で落ち込んでしまったり、むやみに興奮したりして物事がうまく運ばなくなります。

セロトニン神経はこの2つを適度に抑えてくれるので、ストレスや嫌なことがあってもやたらに落ち込まず、嬉しいことや楽しいことがあっても、むやみに舞い上がったりすることが無くなります。

セロトニンを増やすには

セロトニンを増やすには、こちらでご紹介した集中力を高める呼吸法、丹田呼吸の他にも、朝太陽の光を浴びる、ウォーキング、呼吸、咀嚼をしっかり行うなどがあります。

ウオーキングと言っても意識を集中できる環境(視覚、聴覚、嗅覚などの刺激がない環境)で行うことが大切です。人が少ない朝の静かな公園などが適しています。

また、疲れない程度に行うことも重要です。疲れるとセロトニン神経の抑制機能が働き逆効果になってしまいます。

呼吸は、普段無意識にしている横隔膜による「吸う呼吸」ではなく、腹筋を収縮させながら意識して「吐き出す呼吸」です。

参考

▶論文 日本医事新報社 No.4453 (2009年8月29日)基礎医学から
リズム運動がセロトニン神経系を活性化させる
東邦大学医学部医学科統合生理学教授(名誉教授) 有田 秀穂

▶セロトニンDojo www.serotonin-dojo.jp/article03.html

 

まとめ

単に脳をリラックスさせるだけでなく、集中力を高める呼吸法、丹田呼吸法は集中して行えば、いつ、どんなところで行っても効果があります。仕事の合間や乗り物の中など、ちょっとした合間を見て是非やってみましょう。気分が落ち着き体が快適になります。

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