日常生活で意識したい認知症予防のヒントをまとめました。セルフチェックツールなどもご紹介しています。認知症発症のリスクを知り対処することで、健康長寿を目指しましょう!
認知症予防のヒント
最近認知症を患いながらも、社会で活躍されているかたたちを取り上げた記事やニュースを、よく見かけるようになりました。
病気との向き合い方、捉え方も劇的、と言っても良い変化も見られるように感じます。とはいえ、認知症を予防できるならそれに越したことはありません。
様々な研究報告などから、認知症を予防し健康長寿を目指すには
- 常に脳に刺激を与える
- 積極的に行動する
- 生活を楽しむ
などが推奨されています。
脳トレや指先などをよく動かすことも、認知症予防に役立つと言われているのも納得できます。
認知症発症のリスクを知る
ネット上では、認知症発症リスクを知るツールなどもあります。簡単にチェックできるのでぜひ試してください。ここでは
- 自己診断テスト
- 認知症リスクスコア表
- 病院などで実施されている検査例
に加え、
「健康なカラダと心を作るヒント」(冊子からの抜粋)
をご紹介します。
将来認知症を発症するリスクや現在の状況を知るヒントにしていただき、健康長寿を目指してください!
認知症予防に利用できるツール
まずはネット上でダウンロードできる、認知症予防の自己チェックツールとパンフレットをご紹介します。
認知症自己診断テスト
一般社団法人 認知症予防協会のホームページで診断できます。問10まで(全17問)。手軽にできますので「まだまだ大丈夫」という方も一度試してみてください。
スタートボタンを押すと設問が表示されますので、解答欄に答えを入力、「次へ」をクリックします。
10問の回答が終わると、結果と点数が表示され、80点未満だったり内容が難しい、理解するのに時間がかかったなど不安がある方には、専門医の受診を勧めています。
認知症リスクスコア表
認知症予防学会HPで公開された論文でJAGES(一般社団法人 日本老年学的評価研究機構)が開発した認知症の発症リスクを点数化するツールが紹介されています。
チェック項目は13(うち問5は更に15の小項目)、回答に応じた点数(スコア)を合計して、今後5年間で認知症を発症するリスク割合を見ます。
【最終版】認知症リスクスコア表pdf JAGES
(jages.net/以下のアドレスです。active_action=multidatabase_view_main_detail&block_id=65&content_id=80&multidatabase_id=1)
要介護認定を受けていない高齢者6,796 人を5 年間追跡し、366 人が認知症を発症しました。分析の結果、5 年後の認知症発症の予測因子として、
下表1の13 因子が確認されました。点数化に基づく認知症発症割合は、追跡開始時点において15 点満中1 点の人では1.3%、4 点では4.2%(3.4 倍)、7 点では13.7%(10.5 倍)、9 点以上では43.6%(33.5 倍)でした。
竹田徳則,近藤克則,平井寛,尾島俊之,村田千代栄,鈴木佳代,斉藤雅茂,三澤仁平.認知症を伴う要介護認定発生のリスクスコアの開発:5年間のAGESコホート研究.日本認知症予防学会誌4(1),2016,25-35
健康な体と心を作るヒント
JAGESパンフレット(住民向け 全11ページ)では、健康な体と心を作るヒントを6つ紹介しています。以下、見出しを抜粋。
NHKスペシャルでも取り上げられました。2016年9月19日、2017年3月26日放送
健康に長生きする秘訣は積極的に人と会うこと?
親戚や友人、ご近所の人と交流を
運動は仲間とすると介護予防に効果的?
1人で食事をしているとうつ病になりやすい?
運動や食事は、みんなと一緒に
「通いの場」に行くと活動的になる?
頻繁に参加すると介護や認知症予防に?
まちの人と交流できる「通いの場」へ
参加する組織が多いほど要介護になりにくい?
仲間と楽しむ趣味やスポーツもおすすめ
グループや組織で役割を持つほどうつ病になりにくい?
役割を持っている人は長生きする?
グループや組織で役割を持つのがおすすめ
交流が盛んな地域に住むと、歯の健康に良い?
人の絆が強い地域に住むと介護予防になる?
まちの皆さんと地域づくりに参加しませんか?
パンフレットダウンロード→ライブラリー - JAGESプロジェクト
病院で行われている検査
認知症予防の検査には、様々なものがあり、検査の結果をもとにして認知症予防のアドバイスが行われます。評価は医師が行いますので、ここでは
- 運動機能検査
- 心理検査
について簡単にご紹介するにとどめます。自宅でもできるものは、脳トレや体の体操のつもりで楽しみ、認知症予防のヒントとして役立つかもしれません。
実際の検査については医療機関で詳細をお聞きください。
運動機能検査
Time Up Goテスト
足の能力、バランス、転倒のしやすさなどを検査します。
- 両足が床につくように椅子に座り、手は大腿部の上に置く
- 椅子から立ち上がって歩き、3m先の目印(コーンを置く)を回って折り返して椅子に座る
- この間の秒数を計る
重心動揺テスト
運動機能低下が認知症発症のサインとなる、レビー小体型認知症などの早期発見に役立ちます。(医療機関では重心動揺計を用いて測定)
- 両足てたった状態で目を閉じる
- そのまま立っていられるかどうかを見る
*転倒しないように注意が必要です。
心理検査
後出し負けじゃんけん
じゃんけんで、わざと後出しをして負けることができるか
三宅式記銘力(みやけしききめいりょく)検査*
有関係対語(関係性の深い単語の組み合わせ)、無関係対語(関係性の薄い単語の組み合わせ)それぞれ10組の単語を記憶できるかを調べる検査です。
- 記憶の検査を行うことを伝える
- 例題を2、3回練習することが望ましい
- 有関係対語、例えば「こども-おとな」「海-山」など、を10対読み上げる
- 順番に始めの単語(こども)を言い、対語(おとな)を答えさせる
- 正解、不正解にかかわらず検査用紙に答えを記載、回答時間も記入する
- 回答まで10秒(30秒という場合もあり)以上かかったら次に移る
- 同じ対語で3回繰り返す。ただし1回めまたは2回めで全問正解の場合はそこで打ち切る
- 10分ほど休憩したら、無関係対語で同じように検査する
- 関係のない単語の組み合わせであることを、きちんと伝えてから行う
*1923年に三宅紘一氏(精神医学者)などにより開発され、東大脳研式名力検査とも呼ばれる超覚醒言語の記憶検査のひとつ。対語リストもいくつかある。
ストループテスト
- 色を表す漢字(赤、青、白、黒など)が、その漢字が表す色とは別の色のインクで書かれた24文字を見て、インクの色を答える。
- 例えば、青色のインクで書かれた「白」という漢字は、青と答えれば正解。
数唱
順唱と逆唱があります。
- 順唱:6桁の数字を聞いて覚え、同じ順番で答える
- 逆唱:4桁の数字を覚え、逆の順番で答える
言語流暢性(りゅうちょうせい)検査
意味性課題と音韻性課題があります。
- 意味性課題:決めたテーマで名詞を1分間でできるだけたくさん言う。
(例:「乗り物」なら、電車、車、自転車、オートバイなど) - 音韻性課題:一文字目の音を決め、その音がつく名詞を1分間にできるだけたくさん言う。
(例:「か」なら、傘、カメ、かき、かるたなど)
コース立体組み合わせテスト
色付きの積み木を使い、支持された模様に組み立てる
まとめ~認知症予防のヒント
超高齢化社会がもうすぐやってきます。
著名人でも認知症を公開する方、すでに認知症を発症していても、病気の特性をうまく生かして社会で活躍されている方などの存在も、クローズアップされてきています。
日常生活にも認知症予防のヒントはあります。認知症発症のリスクを自分でチェックするツールやリストなども活用し、健康長寿を目指しましょう。
認知症予防については、日常生活でできることなどをご紹介した記事もあります。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ