リンパを流すマッサージで血の巡りも良くなり、ビーナスリターンもスムーズに。血液を心臓に戻す大きなポイント、ふくらはぎのエクササイズやマッサージ、リンパのゴール地点鎖骨へ流す、顔のリンパマッサージなどをお伝えします。
ビーナスリターンとは
心臓から送り出された血液は、体中をめぐり老廃物などと一緒に静脈を通り心臓へ戻ってきます。立って暮らしている人間は、足の静脈は重力に逆らって下から上に流れます。
この血液の流れをビーナスリターン(venous return)、静脈還流と言います。
血液やリンパ液は、体にたまった余分な老廃物を排出する働きもあります。小さな老廃物は静脈から、大きな老廃物(静脈に入りきれなかった分)はリンパ管から排出されます。
ビーナスリターン、リンパの流れは老廃物を排出し健康を維持するために、非常に重要な役割を果たしています。
ふくらはぎの筋肉のポンプ作用
ビーナスリターンをスムーズに行うため、幾つかの重要な働きがありますが、一番大きな働きをするのがふくらはぎの筋肉です。
ふくらはぎの筋肉が、歩いたり動いたりするときにポンプのような働きをして、血液を上(心臓)に戻しています。
静脈の中には半月状の静脈弁があり、血液が逆流しないようにしています。
静脈弁とふくらはぎの筋肉の収縮による筋ポンプ作用で、足から心臓、下から上に向かってのビーナスリターンがスムーズに行われています。
※女神を意味するビーナス(ヴィーナス)はvenusです。
リンパ液の働き
血液と同じく全身を巡っているのがリンパ液です。リンパ液も老廃物を集め最後に鎖骨の静脈と合流します。
血液は一般的な成人の体を約40~50秒で一周していますが、リンパ液が一周するのにかかる時間は12時間~24時間と言われています。
血液には心臓と、第2の心臓と言われるふくらはぎの2つのポンプがありますが、リンパには無いからです。
老廃物はできるだけ早く出したいので、リンパの流れも早くしたいですよね。リンパマッサージはいわばポンプの役目をしているのです。
リンパを流すマッサージは、血の巡り、ビーナスリターンを良くします。余分な老廃物を体にためないためにも、どんどんリンパを流すことが大切です。
リンパは周りの組織から刺激を受けると活性化されるので、リンパマッサージや運動、呼吸(横隔膜を動かす)を行うことでスムーズに流れるようになります。
リンパマッサージの仕方は、後述しています。
リンパ節と免疫
全身には様々なリンパ節がありますが、リンパ節はリンパ球(免疫細胞)がたくさん集まっている場所で、細菌やウイルスが全身に広がらないよう、食い止める働きをしています。
このリンパ節も一緒に刺激すると、よりリンパの流れが良くなり全身の免疫力もアップ!
リンパを流すマッサージの基本は、心臓に遠いところから近い方へ向かって柔らかく撫でるように行います。
ヨガやピラティスなどを行ったことがある方は、リンパマッサージについては良くご存知のことと思いますので、リンパマッサージの方法は飛ばしてください。
リンパを流すマッサージ
むくみやたるみ、冷えなどが現れやすい足のリンパを流すマッサージから始めましょう。椅子に座ってもできますが、ここでは床に座って行っています。
足の指には体中につながるツボがあるので、まず足の指をほぐすマッサージから始めてみましょう。
ポイント
- 足の指をほぐす
- ふくらはぎのリンパを下から上に向かって流す
- 耳の後ろから首、鎖骨へリンパを流す
脚のリンパを流す
- 右脚の足首あたりを左脚のももの上に乗せる(左脚が痛い場合はタオルなどを挟む)
- 足の指を一つずつ前後左右に開く
- 指の間、付け根をもむ
- 足の指の間に左手の指を挟み込み、右手で右脚の足首を押さえながら足首を回す
- 手の指を外す
- 右脚を床におろし、足裏のツボを押したり、左手の拳で叩く
- 左脚も同じように行う
入浴中などにも行えるので、毎日続けてください。
ふくらはぎのリンパを流す
- 右脚をたて、足の甲を両手で交互に軽くなで上げる
- 両手の人差し指をCの形にしてくるぶしの周りを軽くなでる
- 両手の人差し指と親指で大きなCの形をつくり(残りの指は人差し指に一体化)、ふくらはぎをCの形で包み込むように、下から上に向かって撫でるようにマッサージ
- ひざの後ろのグリグリ(リンパ節です)を押しもみ
ゆらゆらトントン
これはアスリートの間でも取り入れられ、非常に効果があると実証されている方法です!
- 両脚を伸ばして座る
- ひざの下に巻いたタオルなどをあてる
- ひざを左右に揺らす、ひざの後ろをタオルにトントンと軽く押しあてるようにする
- これを繰り返す
この時、脚やひざに無理に力を入れず、脱力した状態で行うようにするとよいです。
足底筋のストレッチや足指じゃんけん、タオルギャザーなどを同時に行っても良いでしょう。
顔のリンパを流す
優しく撫でるだけ。どんどんリンパを流しましょう。
- 右手を左耳の後ろにあてる
- そのまま顎の下に向かって優しく撫でる
- 同様に左手も行う
- それぞれ10回
- 次に耳から顎の下、鎖骨まで流す
- 左右10回ずつ
鎖骨はビーナスリターンのゴール地点です。最後に鎖骨の凹みに人差し指と中指2本をあてて、軽く押しもみしましょう。
顔には多くのリンパ節があります。もう一つマッサージの方法を。
- 左右の後頭リンパ節(後頭部下部首の上あたり)に4本の指をたてに置く
- そのまま指を動かさずに小さくうなずいたり、首を軽く左右に振る
「いやいや、うんうん」体操、と名付けていますが首を小さくいやいやしたり、ウンウンと頷く動作を行います。首の疲れなどにも効く気がします。
ふくらはぎの筋ポンプ作用を高めるエクササイズ
気づいたときに簡単にできるエクササイズですが、老廃物を含んだ静脈の血液を心臓に押し戻す、大事な働きをしているふくらはぎの筋ポンプ作用を高め、ビーナスリターンがスムーズに行えるようにします。
デスクワークの合間、台所仕事をしながら、駅で電車を待っている時など、思いついたときに行ってください。
特にデスクワークで座りっぱなしが多い方は、1時間毎に意識して行うようにすると良いでしょう。
やり方はいたって簡単。かかとの上げ下げ運動をするだけです。
- つま先を付けたままかかとを上げ下げする
- かかとをつけたままつま先を上げ下げする
立った状態で行う時は、安定した机や壁などのそばで行いましょう。
つま先の上げ下げのほうが辛い、うまくできないことが多いと思いますが、それはふくらはぎが硬くなっているためです。
ふくらはぎのストレッチ、リンパを流すマッサージを意識して続けていきましょう。
第2の心臓、ふくらはぎの働き
足の血液を重力に逆らって心臓に戻すビーナスリターンは、ふくらはぎの筋の収縮による筋ポンプ作用と静脈弁が重要な働きをしています。
筋ポンプ作用は、足を動かしたときにふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返して、ポンプのような働きをして、血液を心臓に向かって押し上げていて、第2の心臓とも言われています。
静脈弁
しかしそのままでは、筋肉が緩んだときに血液は下に戻ってしまいます。この逆流を防ぐ働きをするのが静脈弁です。
筋ポンプ作用と静脈弁が正常に働くことでビーナスリターンもスムーズに起こります。
ふくらはぎの筋ポンプ作用を促すエクササイズを行うことで、血液の流れを正常に戻しむくみや冷えなどのトラブルの改善に役立ちます。
静脈弁は非常に繊細で壊れやすい。静脈弁が損傷すると血液が逆流して、その下にある静脈にたまってしまいます。
それが何年も続くと静脈が太くなり、更に太くなるとくねくねと曲がった状態、下肢静脈瘤を引き起こします。
下肢静脈瘤が起こると、見た目も悪くなりますが、汚れた血液がたまったり静脈の圧力が高くなって炎症が起き、様々な症状が起こるようになります。
下肢静脈瘤を起こさないためにも、リンパを流すマッサージでビーナスリターン!
まとめ
足底筋膜炎のかかとの痛み、扁平足、外反母趾など足のトラブルの対処には、ふくらはぎのストレッチや足底筋を鍛える体操などを行うことをお伝えしました。
ふくらはぎは、血液を心臓に戻すポンプとして重要な役割を果たしていて、全身のビーナスリターンにも、大きな影響を及ぼす大事な場所です。
ふくらはぎのマッサージやエクササイズは、リンパを流し、ビーナスリターン、血の巡りも良くするので、足のトラブルだけでなく全身の健康にも関わるポイントといえます。
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