ストレスをためないためのリラックス法、トレーニングで手に入れましょう。体の面からのリラックス法は,、毎日の習慣にしたい呼吸法と自律訓練法です。トレーニングの方法とコツを覚えてください。
ストレスをためない習慣~リラックストレーニング
おそらく誰でも経験したことがある、病名がつかない体の不調。日常生活や仕事に支障が起こり病院を受診しても、大抵の場合
- 疲労
- ストレス
- 加齢
が原因と言われます。辛くてなんとかしたい、と思って相談しているのに「そりゃないでしょ!」と思いますよね。
まあ、確かにストレスは万病のもととも言いますし、心配な病気ではなかったことが判明したことはホッとする要素ではありますが…
自然な加齢による不調はある程度仕方ないとしても、疲労、ストレスは工夫次第で軽減することは可能です。
ここではストレス対策として、体の面からリラックスするためのトレーニング法を2つご紹介します。意識してリラックスすることでストレスをためない習慣を!
おすすめのリラックストレーニング
毎日何かしらのストレスにさらされている現代では、リラックスすることがとても大切ですが、意識しないとなかなか難しい。
リラックス法には体の面からと心の面からのリラックス法がありますが、今回は体の面から、
- 思い立ったときにすぐ、どこでも簡単にできる呼吸法
- 覚えるまでちょっとコツはいりますが、誰にでもできる自律訓練法
をできるだけわかりやすくまとめてみました。
※それぞれの詳しい方法や説明はネットで探すといろいろありますので、もっと詳しく知りたい方はご自身で調べてください。
自律神経とリラックス
詳しくは自律訓練法の項目で説明していますが、リラックスと深く関わる自律神経の対象的な働きを簡単にまとめました。
交感神経と副交感神経はそれぞれ対象的な働きを持っています。
交感神経 | 脳 | 副交感神経 |
---|---|---|
速い→→→ | 心臓 | ←←←ゆっくり |
収縮→→→ | 血管 | ←←←拡張 |
固い→→→ | 筋肉 | ←←←柔らかい |
思い立ったら腹式呼吸
呼吸法には胸式呼吸と腹式呼吸があります。
胸式呼吸: 胸の筋肉を動かして肋骨を広げたり閉じたりして呼吸する
腹式呼吸: 横隔膜を上下させ、大きくゆっくり呼吸する
※両方の呼吸を合わせた全呼吸、丹田呼吸法など用途や流派により様々な呼吸法がありますが、大本は胸式、複式の呼吸法です)
リラックス方としてよく知られているのは腹式呼吸で、気持ちを落ち着かせるために行い、誰でもすぐに、いつでもどこでもできます。
朝起きた時や夜寝る前、ストレスや緊張を感じた時など日常生活に取り入れ習慣化します。ストレスを翌日に持ち越さないことも大切です。
腹式呼吸のやり方
大きくゆっくり腹式呼吸を行い、リラックス効果を得るために呼吸回数を減らすのがコツです。
- 姿勢を安定するため、椅子に座り肩の力を抜く(立ったままでもOK)
- 肩を動かさないようにする
- お腹に手を当てて行う(お腹を意識するため:慣れてきたら置かなくても良い)
- 10カウント(約10秒)で1セット、できれば6セット(1分間)行う
- おへそを背中にくっつけるようにお腹をへこませながら、口からゆっくり息をはく(6カウント)
- はききったら少し息を止める(1カウント)
- →お腹が凹み、横隔膜が上がるのを感じる
- 鼻から息を吸う(3カウント)
※吸った時間の約2倍の時間をかけて、口から息をはききる
リラックスのコツ
大きくゆっくり呼吸を行うことがコツです。
呼吸回数が減るので興奮を抑制するホルモンの分泌が増加したり、副交感神経(リラックスに関わる)が活性化することがわかっています。
呼吸法については以下の記事でもご紹介していますので、参考にされてください。
自律訓練法(autogenic training)
自律神経には交感神経と副交感神経があり、リラックスにも大きく関わっていますが、全身の臓器や筋肉の働きを調節する神経です。脳が自動的に司令を出しています。
交感神経と副交感神経のバランスが重要ですが、ストレスや緊張が強いと交感神経が活発になりすぎ、心身が疲弊してしまうのです。
自律神経をコントロールするトレーニングが「自律訓練法」で、自分の体に暗示をかけるようにして交感神経と副交感神経のバランスをとっていきます。仕事や学習、スポーツなどに集中力が倍増されるとされています。
トレーニングは背景公式と6つの公式からできています。訓練のイメージを掴むまでちょっとわかりにくいかもしれませんが、動画も参考にして練習してみてください。
※今まで自律神経はコントロール出来ないと思われていましたが、1932年にドイツのベルリン大学教授、シュルツ博士によって自律訓練法が考案され、現在ではリラックストレーニング法として広く採用されています。
自律訓練法の準備
- 背もたれのある椅子に姿勢良く座る(仰向けに寝ても良い)
- 目をつぶり、力を抜き、脚は軽く開く
- 体を締め付けるもの(ベルト、時計、めがねなど)は外す
- 暗く、静かな場所で行う
すべての公式を行うと15分~20分程度かかるので、時間の無いときは第2公式まででも構いません。
1~6までの内容は積み重なっていきますので、第6公式ではすべての内容を心身が感じている状態になります。
実践方法
まず背景公式で気持ちを落ち着けます。「気持ちが落ち着いている」と心の中でゆっくり繰り返します。背景公式は1~6の公式の合間にもつぶやくようにすると良いです。
動作を行っている体の部分(腕、脚、胸、呼吸、お腹など)に意識を向けて行います。
第1公式は両腕・両足に重さを感じます。ストレスを受けると筋肉が緊張するので、まずほぐします。
利き腕(右の場合)、「右腕が重たい」「右腕がとても重たい」と心の中でゆっくり繰り返します。ついで、左腕、右脚、左脚と意識を向けて両腕、両足が重いことを感じます。
第2公式では同様に両腕・両脚に暖かさを感じます。温感を得るための訓練です。
以下第6公式まで、毎日1~2回を目標に行いたいですが、時間が無いときは第2公式まででも構いません。両手両足の重さ、暖かさを感じます。
起床時、就寝時の実施が特に効果があると言われています。
終了するときは必ず消去動作を行います。自律訓練法では自己暗示をかけていますので、特有の生理的変化やめまい、脱力感などの意識障害が生じた場合取り消すためです。
随分前になりますが、私が受けた自律訓練法では「○○がだんだん重くなる(暖かくなる)」という言葉を心の中で繰り返しました。
練習のため、湯船の中で腕を前に伸ばしてこれを繰り返すと、腕が実際に沈んでいくのが実感できてコツをつかんだことを覚えています。(真似をする場合、のぼせないよう気をつけてくださいね)
リラックスできたかどうかが実際に分かる仕組みもありました。リラックス状態になるとα波が出現します。
ヘッドホンをつけると通常は松虫の声が聞こえるのですが、α波の出現で鈴虫の声にかわるのです。
標準訓練の構成
背景公式
気持ちがとても落ち着いている。
第1公式 腕と脚に順番に「重たい」と暗示をかける
手足が重い。-「右腕が重たい」「左腕が重たい」「右脚が重たい」「左脚が重たい」/「両腕が重たい」「両脚が重たい」/「両手両脚が重たい」
第2公式 腕と脚に順番に「温かい」と暗示をかける
手足が温かい。-「右腕が温かい」「左腕が温かい」「右脚が温かい」「左脚が温かい」/「両腕が温かい」「両脚が温かい」/「両手両脚が温かい」
第3公式
心臓が静かに打っている。
第4公式
呼吸が楽になっている。
第5公式
お腹が暖かい。
第6公式
額が心地よく涼しい。
1から6までの公式を順番に心の中で繰り返しつぶやき、自己催眠状態に導く。
最後にかならず消去作動を行う(そのまま寝るときはしなくてもよい)
- ゆっくり目を開ける
- 両手を前に出し、力を入れてグーパー運動をする
- 大きく背伸びをする
- 深呼吸する
この分野の第一人者である七田真博士による自律訓練法の動画です。参考にされてイメージをつかみ、自分のペースで訓練ができるようにすると良いでしょう。
交感神経:
- 体が活動している時や昼間に活性化。活性化すると全身を緊張させる。
- 心臓の鼓動が早くなる
- 血管が収縮する
- 筋肉が硬くなる
副交感神経:
- 安静時や夜に活性化。全身をリラックスさせる。
- 心臓の鼓動がゆっくりになる
- 血管が拡張する
- 筋肉が柔らかくなる
まとめ~リラックストレーニングでストレス対策
腹式呼吸は誰でも、いつでも、どこでも、簡単にできるリラックストレーニング法です。ストレスを感じたときや緊張したときだけでなく、毎日の習慣として気軽に行うと良いですね。
自律訓練法はコツを掴むまではちょっとわかりにくいと思います。効果が見られないとすぐ諦めず、とりあえず1ヶ月程度練習してみてください。
「Anのひとりごと」~今日も1ページ
参考:自律訓練とは
自律訓練法は、1932年にドイツの神経科医のシュルツによって体系化されました。シュルツは1920年代の科学的な催眠に誘導された人が、腕や脚の温かさをしばしば報告するという事実から、その感覚を自己暗示により生じさせ、催眠状態をつくることを考案しました。自分自身でいつでもどこでも行えるという良さがあり、種々の効果が実証されている心理生理的訓練法です。
目的・効果
リラックスした状態、つまり、余分な緊張のない適度な心身の弛緩した状態、ゆったりとくつろいだ状態が、自力で得られるようになることです。具体的には、
- 緊張・不安の軽減
- 疲労の回復
- 集中力を高める
- 自己統制力が増し、衝動的な行動が少なくなる
- 身体の痛みや精神的苦痛が緩和される
などの効果があります。
もちろん個人差はありますが、身体と心の活動が安定するようになります。
出典:日本自律訓練学会