健康と日々の徒然~Anのひとりごと

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腰痛の原因は脳にあり!腰痛治療の新常識~慢性化、再発防止策

腰痛の原因は、腰への負担だけでなく、ストレスなども大きく影響していて、脳も腰痛に大きくかかわっています。慢性化、再発防止に新常識!腰痛に関する最新の考え方、腰痛改善の対策をご紹介します。 

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腰痛は腰ではなく脳で起きている

腰痛は多くの人が悩みを持つ疾患と言えます。慢性化や再発を繰り返したりすることも少なくありません。

実は、腰痛の慢性化、再発には、ストレスなどの心理・社会的な要素も大きく関わっています。腰だけでなく、脳でも腰痛が起きているのです。

最近の研究から、腰痛の慢性化や再発には、脊椎の問題の他にも、心理・社会的な問題も強く関わっていること、腰痛の治療も、出来る限り普段通りの生活を続けたほうが良い、ということがわかってきています。

 

腰痛治療の新常識

従来の考え方では、腰痛は脊椎の問題として、例えばぎっくり腰は、重いものを持つ、激しい運動をする、くしゃみをするなど、腰への負担が大きいことだけが原因と考えられていました。 

しかし、腰痛の大部分は検査で原因が特定しきれません。腰への負担という考え方だけでは、腰痛で悩む人を減らすことは出来なかったのです。 

治療しても効果が見られず、再発を繰り返すなどの慢性腰痛*に悩まされている人は、腰痛で悩む人の約半数と言われています。

*慢性腰痛:3か月以上痛みが継続する腰痛

 

腰痛の概念が劇的に変化

最新の研究で、慢性腰痛の原因としてクローズアップされたのが、脳!

さまざまな要因によって生じる「生物・心理・社会的疼痛症候群」として腰痛を治療するようになってきました。腰痛の概念が劇的に変わったのです。 

脳の働きを改善する腰痛対策が、大きな成果をあげています。 

 

安静にしすぎない

従来の腰痛治療は、「痛みが収まるまで安静にする」というのが一般的でしたが、長期間安静にするよりも、可能な限り普段通りの活動をした方が、治りが良いことが解りました。

強い痛みのある急性の腰痛では、安静が必要ですが、大抵の場合は1~3日程度安静にしていれば、痛みは軽減します。

 

治るまでの安静は避けたほうが良い理由とは

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安静にして長期間寝たきりでいると、骨や筋肉が衰えたり、足の静脈に血栓(血液のかたまり)ができて、肺の血管などに詰まるリスクもあります。 

安静を長く続けると「自分の腰は問題がある。大事にしなければいけない」と言う意識が強くなりすぎ、腰をかばって他の部分に負担をかけたりもします。 

さらに問題なのは、腰痛が怖くて体を動かさなくなり、気分も滅入って精神的ストレスになり、神経が過敏になって、腰痛も悪化という悪循環に陷ることです。うつ傾向になることもあります。

 

慢性腰痛の治療~認知行動療法

人は長い間痛みを感じていると、いつでも痛みのことばかり考えてしまうようになります。腰痛への不安や恐れが強まり、気分も落ち込み、負のスパイラルに陷る。 

「痛くて出来ないこと」を考えるのではなく、「痛くてもできること」を考えるようにすること(認知行動療法)が、慢性腰痛には効果が期待できます。

「痛みがあってもやれることはたくさんある」と意識を変えていくことが大切です。

 

腰痛対策4つのポイント

  • 痛みと上手に付き合う
  • 体を動かす
  • ストレスを溜めない
  • 好きなことを諦めない(スポーツや趣味など)

腰痛のある全ての人が、普段通りに体を動かしたほうが良いわけではありません。

腰痛体操などもありますが、行うときは必ず医師の指示に従いましょう。

 

痛みと上手に付き合い、体を動かす

腰痛があっても、「治るまで安静」ではなく、出来る範囲で仕事や家事などを行うほうが良い、というのが最近の考え方です。 

勿論ぎっくり腰など急性の腰痛で、痛みが強い場合は、痛み止めの薬を服用しながら、1~2日程度は安静にする必要があります。 

欧米では既に、腰痛が有っても「重度の慢性化を防ぐためには、できる範囲内で仕事や家事などを行って活動的でいよう」という考え方が一般的になっています。

 

ぎっくり腰でも体を動かす!

日本でもぎっくり腰の患者さんに、普段通りに体を動かしてもらったら、安静にしていた患者さんよりも再発が少ない、という研究も報告されています。

まだ、こういった治療法は広まってはいませんが、今後は欧米と同じような考え方に基づいた治療が進んでいくと思われます。

 

腰痛の原因

  • 原因が特定しきれない腰痛(非特異的腰痛・約85%)
  • 原因となる病気が特定できる腰痛(特異的腰痛・約15%)

腰痛が起こる原因は様々です。検査を行っても、特定しきれない腰痛は約85%あります。

  • 動作や姿勢により、痛みが変化するもの(多くの場合はこのタイプ)
  • 心因的な要素が強いもの

残りの15%は、原因となっている病気が特定できる腰痛です。

 

原因が特定しきれない腰痛(非特異的腰痛)

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慢性腰痛のメカニズム 

体の何処かに痛みの原因があると思われても、X線検査、MRI検査などを行っても原因を特定しきれない腰痛で、一般に「腰痛」と呼ばれるものです。

脳が記憶した痛みを勘違いして、僅かな刺激や感情の変化も、強い痛み刺激にしてしまいます。その結果、常に痛みの信号が腰部に送られて痛みを感じることでも起こります。

  • 筋筋膜性疼痛症候群(MPS)
  • 緊張性筋炎症候群(TMS)
  • 心因性腰痛
  • 線維筋痛症

動作や姿勢によって痛みが出たり、消えたりします。ストレスなどの心理・社会的な要因によっても腰痛を起こします。 

非特異的腰痛は、安静にし過ぎないようにして、できるかぎり普段通りの活動を続けます。

 

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)

主に筋肉のこり(トリガーポイント)が原因で起こります。

筋肉の強い緊張状態、ストレスなどが原因で局所的に筋肉の拘縮が起こり、血流が悪くなるため、発痛物質(ブラジニン)が大量に発生し、痛みを感じます。

治療は初期はマッサージ、トリガーポイント注射などで筋肉の拘縮をほぐします。

3か月以上続く場合は、「慢性疼痛症候群」という病気になってきます。

ストレッチや筋力トレーニングで、日頃から腰痛予防に備えましょう。

 

緊張性筋炎症候群(TMS)

心の緊張により筋肉が硬くなって痛みを起こします。ニューヨーク大学、ジョン・サーの教授が提唱しました。

強いプレッシャー、悩み、緊張、不安などのストレスが原因で、トリガーポイントが活性化し、痛みます。

潜在する不安を取り除いたり、筋肉をリラックスした状態に持っていくのが、TMSの解消に重要です。必要以上に痛みを恐れないことが、腰痛などの痛みを解消することに繋がります。

※TMSは不快な感情から注意をそらし、感情を抑圧しないように働く、心の防衛機能の一つ。

 

心因性腰痛

人間関係、仕事に対する評価、家庭内不和などのストレスや、心の問題が腰痛にも大きく影響しています。慢性腰痛の約80%の人に、抑うつ状態が見られるとも言われています。

まず痛みを取り除くことを優先し、薬物療法を行ないます。先進的、心理的な要因の改善には、抗うつ薬が有効なケースも。

心因性腰痛は、痛みを摂るだけの治療ではなく、話を聞く、相談出来るということが重要。心療内科や精神科での治療を行ったほうが良い場合もあります。

話を聞いてもらうだけでも楽になることもあります。厚生労働省でも心の耳という電話での悩み相談窓口があるので、以下にリンクを貼っておきます。

心の耳 厚生労働省

 

線維筋痛症

通常なら痛みを感じない程度の刺激でも、強い痛みを感じます。脳の痛みを抑える機能がはたらかないため、睡眠障害、うつ状態、こわばり管、関節痛など、様々な合併症状が現れます。

心理的・社会的なストレスや外傷がきっかけ、と考えられていますが、現在も研究が進められています。 

運動療法、認知行動療法、温熱療法、薬物療法などが行われます。

 

原因となる病気が特定できる腰痛(特異的腰痛)

腰痛の原因となっている病気が特定できるのは、約15%です。

病名 特徴
椎間板ヘルニア
脊髄管狭窄症
腰痛よりも、主におしりから太もも、ふくらはぎにかけての痛みやしびれが強い
など
圧迫骨折 高齢の女性や長時間ステロイド薬を使っている人に起こりやすい
など
対処 医療機関で適切な検査や治療を受ける

 

※さほど多くありませんが、生命に関わるものもあるので注意が必要です。

生命に関わる病気 特徴
感染性の脊髄炎
寝ている姿勢でも痛む


感染しやすい状態
結核になったことがある
熱がある
がんの脊椎転移 がんを発症したことがある
体重が減少している
解離性大動脈瘤 高血圧がある
冷や汗が出て激しく痛む
対処 医療機関を受診して、適切な処置を受ける

 

腰痛の原因が特定しきれない場合は、体を動かしても特に問題はありません。

むしろ、腰痛を怖がって体を動かさなくなる方が、慢性化や再発につながりやすい。

 

心理・社会的な要因の見極め

日本整形外科学会と日本腰痛学会は、腰痛の発症や慢性化には、心理的なストレスが関係しており、原因を特定できない非特異的腰痛が大半である、という診療ガイドラインをまとめています。

しかし、慢性的な痛みを得意とする整形外科は、多くありません。 

心の問題が改善されると、腰痛が緩和されることもあります。上記「心の耳」のような、電話相談窓口を利用するのもおすすめです。

 

まとめ~腰痛治療の新常識

慢性腰痛では、出来る範囲でいつもと同じような活動を続け、また、痛みに対する思い込みやストレスなどの、心理・社会的な要因を解消することも大切。 

日常生活で、筋力をつける運動や正しい姿勢、ストレスの解消などにも注意して腰痛の予防をすることも重要です。 

正しい姿勢とは、腰で上半身の重みを支えるのではなく、腹筋と背筋で支えるイメージです。 

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