寝たきりは、寝たきりになった本人も、介護や支援をする家族なども様々な問題を抱えます。寝たきりにつながる足腰の衰えを遅らせ、寝たきりを予防するのに役立つロコモ予防、寝たきり予防の3つのポイントをお伝えします。
寝たきりの原因
寝たきりになる原因は主に「運動器」の病気です。関節疾患、骨折や転倒などのケガ、脊髄損傷などを言います。運動器とは、体を動かす役割を持つ部位のことで、骨、関節、筋肉、神経などの総称です。
寝たきりになると、要介護や要支援の原因になることは、厚生労働省の「国民健康基礎調査」からもわかっています。
介護や支援が必要な状態になったり、そうなる可能性が高い状態をロコモティブシンドローム(運動器症候群)、ロコモと呼んでいます。
つまり、ロコモの予防が寝たきりの予防につながります。積極的に運動をして、筋力やバランス力を養うことが大切です。
要支援・要介護の主な原因
出典:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成25年)より
寝たきり予防3つのポイント
ロコモの予防や改善のために、自宅で誰もができる寝たきり予防3つのポイントは、
- 自分の体を知る
- 自分にあった運動を行う
- 継続する
です。
自分の体を知る
ロコモを予防するには、まず自分の体を知ることが大切。寝たきりの予防は特に足腰の筋力やバランス力が大切なので、開眼片脚立ちを行って確認してみましょう。
脚にも効き脚があり、左右で差があるので両脚で測ります。
転ぶと危ないので、とっさのときに手をつけるようなテーブルや壁のある場所で行いましょう。支えのある側の脚をあげます。
開眼片脚立ち
- 目を明けたまま、片脚を5cmほどあげる
- そのままの状態を保てる時間を測る
- 左右の脚を入れ替えて同じ動作を行う
目標時間
~40歳代 | 50歳代 | 60~74歳 | 75歳以上 |
---|---|---|---|
1分30秒~2分間以上 | 1分間 | 30秒間 | 20秒間 |
年代ごとの目標となる時間と、自分の時間を比べ、自分の筋力、バランス力を確認します。
自分にあった運動
開眼片脚立ちの結果を3つの段階に分け、それぞれ自分にあった運動を行います。左右の脚で保てる時間にかなりの差がある場合は、弱い方の脚を中心に考えます。
簡単な運動なので、運動器の病気がある人も痛みを軽くしたり、力をつけたりすることが可能なので、無理のない範囲で実践しましょう。
目標時間に達した場合
今のままウオーキングや自分の好きな運動を、無理の無いように行います
目標時間には達しなかったが、15秒以上できた場合
開眼片脚立ちやスクワット*を1日に3セットぐらい行い、目標時間に達するようにします
15秒未満の場合
転倒する恐れがあるので、まず椅子を用意し、椅子からの立ち上がり*を行います。それでは物足りなくなってきたら、開眼片脚立ちやスクワットを始めます。
無理をしない
運動を始めると、回数や時間を増やそうと頑張りすぎてしまう人がいますが、無理をすると膝や腰に負担がかかり、逆効果になることもあります。適度な運動が重要です。
- 片脚立ちを少ししかしていないのに膝や腰が痛い
- もともと関節や腰が痛い
- 極端なO脚など膝が変形している
場合などは、運動を始める前に医療機関を受診して、相談してください。
運動を初めて数カ月たっても改善が見られない場合には、目、耳、筋肉や神経などの病気が隠れていることもあります。医療機関を受診してください。
スクワット
- 脚を肩幅より少し広げてたつ
- お尻を下げるようにしゃがむ(膝はつま先の方向で、膝がつま先より先に出ないようにする)
- 立ち上がる
- 1セット5~6回、一日3セット行う
*息を止めない。左右の太腿の付け根に手を当てて挟むように行うと正しい姿勢が取れる。
椅子からのたちあがり
- テーブルの前の椅子に座り、両手をテーブルに乗せる
- テーブルを支えにしてたつ
*椅子とテーブルは安定しているものを使う。
継続
何事も継続が大切。殆どの人が運動をはじめて1週間位たつと効果を実感し、1ヶ月から数カ月たつと、数字にも効果が現れてきます。
良くなったからと言って運動を辞めてしまうと、もとに戻ってしまいます。
「3日坊主」「飽きやすい」という人は、何か目標を持つと良いでしょう。旅行をしたいとか、好きなスポーツがしたいとか、なんでも良いのです。
また、家族などの協力も有効です。高齢の親と離れて暮らしている子供や孫が、定期的に連絡をして励ますなども継続する力となります。
生活習慣も重要
上記3つのポイントの他にも、毎日の食事も大切です。高齢になると粗食が一番、と思う人もいるようですが、骨や筋肉を作るカルシウムやタンパク質などもしっかり摂りましょう。
- 適度な運動
- バランスの取れた食事
- 規則正しい生活習慣
が寝たきりにならない体づくりのために重要です。
ロコモの原因、特徴
ロコモに結びつく代表的な病気は、
- 変形性膝関節症
- 腰部脊柱管狭窄症
- 骨粗鬆症
などがあります。病気を起こしていなくても、
- 膝や腰が痛い
- 関節が動かしにくい
- 足しがしびれる
- 転びやすい
と言った経験がある人はロコモの恐れがあります。
ロコチェック
中には、自覚がなくてロコモに該当する人もいます。ロコモかどうかを判断する目安として、ロコチェックがあるので試してみましょう。
一つでも当てはまる場合は、手足の筋力、バランス力、持久力などが弱くなっている恐れがあります。
□ 片足立ちで靴下がはけない
□ 家の中でつまずく、滑る
□ 階段をあがるのに手すりが必要
□ 5分ぐらい続けて歩けない
□ 横断歩道を青信号で渡りきれない
□ 2kg程度の重いものを持ち帰るのが困難
□ 掃除機の持ち運び、布団の上げ下ろしなどの家事が困難
詳しいチェック方法、ロコモ対策などはこちらのエントリでご紹介しています。
ロコモは高齢になるほど増え、50歳代以上の7割の人がロコモの恐れがあると言われています。
チェック項目に当てはまった場合、トシだからと思って見過ごさないようにしましょう。特に
- 痩せている場合は、筋力や骨が弱くなっている
- 太っている場合は、関節や腰に負担がかかっている
恐れがあります。
ロコモが増える原因
現代の生活は便利になっている反面、ロコモの大きな要因になっているといえます。階段を使わずにエスカレーターやエレベーターを使ったり、電車や車の利用で歩く機会を失ったりしています。
便利になった環境の中で運動不足になりがちです。意識的に体を動かさない限り、体力も筋力も衰えるばかりです。
運動不足による弊害は子供時代から見られ、そのまま大人になるとロコモになりやすくなります。ロコモ予防のためにも、子供の頃から体を動かすことが大切です。
まとめ~ロコモ予防で寝たきりを防ぐ
寝たきり予防には、ロコモの予防が役立ちます。積極的に運動して筋力やバランス力を養うことが大切。本人も家族も辛い寝たきりを防ぎ、超高齢化社会を元気にすごす!
寝たきり予防3つのポイントにそって適度な運動を行い、バランスの取れた食事や規則正しい生活習慣を実践して寝たきりを予防しましょう。
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