健康やダイエットにも大きく関わる呼吸は、呼吸筋が働くことで息を吸ったり吐いたりできます。健康長寿、ダイエットを目指し呼吸筋を鍛える簡単な筋トレを4つご紹介。COPDなど肺の病気がある人にもおすすめの運動です。
呼吸筋を鍛える運動4つ
呼吸筋には息を吸う筋肉と息を吐く筋肉があります。無意識に行っている呼吸も、呼吸筋や方法を意識して行いましょう。
呼吸筋を鍛え深い呼吸ができるようになると、健康やダイエットなどに様々なメリットがあります。
自宅でもできる、呼吸筋を鍛える簡単な筋トレを4種類ご紹介します。
吸う筋肉を鍛える運動
- 胸の筋肉
- 背中の筋肉
- 横隔膜
吐く筋肉を鍛える運動
- お腹周りの筋肉
*呼吸筋の種類と場所は後述しています。使う筋肉を意識して運動を行うようにしましょう。
吸う筋肉を鍛える運動
胸の筋肉
画像出典:ERCA環境再生保全機構より編集
外肋間筋と胸鎖乳突筋を伸ばします。
- 足を肩幅に開いて立ち、両手を胸の上に置く
- ゆっくり口から息を吐く
- 吐ききったらゆっくり鼻から息を吸いながら、あごを上にあげ、顔を後ろへ倒す
- この時胸が持ち上がるので、手で押し下げるようにする
- 息を吸いきったらゆっくり口から息を吐きながら、顔をもとの位置に戻す
- 3回を1セットとして、3セット行う
背中の筋肉
画像出典:ERCA環境再生保全機構より編集
脊柱起立筋や僧帽筋など、背中の筋肉をほぐします。
- 足を肩幅に開いて立ち、両手を組んでお腹にあてる
- その姿勢でゆっくり口から息を吐く
- ゆっくり鼻から息を吸いながら大きなボールを抱えるように両腕を前に伸ばし、おへそをへこませるようにして背中を丸めていく
- 背中を丸めきって筋肉を十分伸ばしたら、ゆっくり息を吐きながらもとの姿勢に戻す
- 3回を1セットとして、3セット行う
*重心が常にかかとの上にあるように注意してください。
横隔膜
呼吸運動の7割を担っている横隔膜を鍛え、本来の働きを学習する運動です。椅子とバスタオルを1枚~数枚用意します。
- 仰向けになり、大腿部が垂直になるように椅子に足を乗せる
- お尻の下にたたんだバスタオルを敷き、腰が床から10cmほど持ち上がるようにする
- この姿勢で胸とお腹が同時に膨らむよう意識して、5分間深呼吸を続ける
腰を高くして仰向けになると、内臓が横隔膜を押し上げてドーム状になります。
この運動を続けると、横隔膜を鍛えると同時に横隔膜が本来の働きを学習するので、立ち上がっても深い呼吸ができるようになります。
吐く筋肉を鍛える運動
お腹周りの筋肉
内肋間筋や腹直筋、腹斜筋などを伸ばします。
- 足を肩幅に開いて立ち、両手を腰の後ろで組む
- ゆっくり口から息を吐く
- 鼻からゆっくり息を吸いながら、両肩を丸めるようにして前方に閉じる
- 口からゆっくり息を吐きながら、組んだ両手を後ろへ伸ばし、胸を張る
- お腹を突き出すようにしてお腹の筋肉を伸ばす
- 息を吐ききったらもとの姿勢に戻す
- 3回を1セットとして、3セット行う
呼吸筋とは
呼吸をするときに、肺そのものは伸び縮みしていません。肺の周りの筋肉の収縮が肺を動かしています。この運動に関わる筋肉のことを呼吸筋と呼びます。
息を吸うときに働く筋肉
- 外肋間筋(がいろっかんきん):肋骨の間
- 胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん):首
- 脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん):背中
- 僧帽筋(そうぼうきん):背中
- 横隔膜:肺の下
息を吐くときに働く筋肉
- 内肋間筋(ないろっかんきん):肋骨の間
- 腹直筋(ふくちょくきん):腹部
- 腹斜筋(ふくしゃきん):腹部の外側
横隔膜
横隔膜は特に重要な働きをしています。横隔膜はドーム状の筋肉で、息をはいたり吸ったりすることで収縮、緩むをくりかえして肺を動かしています。
横隔膜は収縮すると平面的になるので肺が下にさがり、緩むとドーム状に戻るので肺が上に縮みます。
横隔膜が衰えるとドーム状ではなく平面的になるので、肺を上下させる幅が小さくなり、呼吸が浅くなってしまいます。
深い呼吸のメリット
呼吸筋を鍛える運動で呼吸筋をうまく使えるようになると、深い呼吸ができるようになり、全身に酸素が十分に行きわたります。
- 集中力を高める
- 疲れにくくなる
- 病気の急変が起こりにくくなる
- 免疫力があがる
- 痩せやすい体になる
- 自律神経とも関わっているのでリラックスにも役だつ
など体の外も中も若返ることにつながります。
また、呼吸筋を鍛えると体幹も強くなるので
- 姿勢が良くなる
- 安定して長く歩ける
- 高齢者の転倒予防に繋がる
など様々なメリットが。
呼吸は誰でも自然に行っていますが、実は呼吸筋を十分に使えていない人も少なくありません。加齢によっても呼吸筋は衰えていくので、意識して鍛えることが大切です。
丹田呼吸法
お腹(腹筋)をしっかり使って意識的に行う丹田呼吸法を繰り返すと、深い呼吸法が体に定着しやすくなります。
*丹田呼吸法は座禅の呼吸法です。ストレス社会で集中力を高め、平常心を作るセロトニン神経に活を入れ、働きを良くすると言われています。
呼吸法に関しては以下の記事でも取り上げています。
- 寝つきを良くする方法は体温にあり!睡眠と入浴のよくあるQ&A
*腹横筋というインナーマッスルを鍛える呼吸法、ドローイングを動画でも紹介しています。 - 危険!40歳以上の喫煙者に深く静かに進行す~COPDの症状と治療
*COPD(慢性閉塞性肺疾患)の方にもおすすめの口すぼめ呼吸を紹介しています。
呼吸とは
生物が生命維持に必要なエネルギーを得るために、酸素を取り入れて養分を分解し、その際に生じた二酸化炭素を排出する現象。体外とガス交換を行う外呼吸と、それにより運ばれた酸素による細胞内での内呼吸(細胞呼吸)とがあり、一般には外呼吸をさす。また、酸素を必要としない無気呼吸もある。 出典:コトバンク 呼吸
参考
古い資料ですが、呼吸筋のストレッチ体操を解説したPDFがダウンロードできます。写真付きで詳しい説明がされていますので、興味のある方は以下のページからダウンロードしてみてください。
ERCA環境再生保全機構 呼吸筋ストレッチ体操(解説編)PDF(平成14年版)
(jp以下のURLは/yobou/pamphlet/form/04/archives_891.html)
慢性呼吸器疾患のある患者さん向けのストレッチ体操です。指導用なので解説が長く読みにくく感じるかもしれませんが、
- 2.息を吸う胸の呼吸筋のストレッチ
- 4.息を吸う背中と胸の呼吸筋のストレッチ
- 6.息を吐く胸壁の呼吸筋ストレッチ
が今回ご紹介した呼吸筋を鍛える筋トレの参考になると思います。その他のストレッチ体操も簡単にできるし、練習法なども解説されています。
まとめ~呼吸筋を鍛える筋トレのすすめ
呼吸筋を鍛える筋トレは毎日の生活で、ちょっとしたスキマ時間にも簡単に行えるものです。
腹式呼吸、胸式呼吸に始まり、完全呼吸、丹田呼吸法やドローイングなどなど、健康維持やダイエットなどを目的とした様々な呼吸法があります。
呼吸筋を鍛えることでより効率よく、それぞれの呼吸法のメリットを得ることも可能です。
普段無意識に行っている呼吸。呼吸筋の筋トレを日常生活でもちょっと意識して行い、健康長寿を目指しましょう。
*呼吸で筋トレ、ダイエットにも役立つ呼吸法。腹式呼吸、胸式呼吸、完全呼吸を紹介しています。
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